埼玉県東北部にある人口15万人のまちで
次世代まちづくりプロジェクトがスタート
埼玉県久喜市は県東北部にあり、2010年に久喜市、菖蒲町、栗橋町、鷺宮町が合併して現在にいたる。豊かな自然環境と都心へのアクセスの良さからファミリー層・単身者問わず幅広い世代が暮らし、近年は15万人台で推移している。
そんな同市の南栗橋駅前で、次世代の住まい方を感じさせる再開発プロジェクトが始動している。
寺社や史跡など観光名所にも恵まれる久喜市。約500個の提灯を飾り付けた山車を引き回す「久喜の提灯祭り」も有名だ。
それが、久喜市や東武鉄道、トヨタホーム、イオンリテール、早稲田大学の小田野弘士研究室による「BRIDGE LIFE Platform(ブリッジライフプラットフォーム)構想」だ。昨年11月に「まちづくりに係る連携・協力に関する協定書」を締結している。
プロジェクトの舞台は東武日光線の南栗橋駅前に広がる16.7haのエリアで、5者が連携して住宅・商業・生活利便施設・公共施設からなるまちづくりを推進するという。

※出所:プレスリリース
産官学の5者連携で取り組む、新たなまちづくり。近年はコロナ禍によるリモートワークの推進によりワークスタイルが変わり、郊外生活のニーズが高まっている。
一方、デジタル化による便利で安心・安全な生活環境の構築も進んでいて、同プロジェクトではこれらの需要を実現するのが狙いだ。各者の役割は、以下のように定められている。

※出所:公式ホームページ
同プロジェクトでは南栗橋8丁目の開発地16.7haに4つの街区を開発するが、その概要は次の通り。
@戸建街区・クラブハウス(トヨタホーム、東武鉄道)
街区面積約3.8haの土地に172戸の戸建て住宅を建設。全戸に太陽光発電設備を備え、外出先から施錠・開錠などができるIoT設備を導入。5GWi−Fi敷設によるリモート環境も整備する。街区では歩車分離や防犯カメラ設置、無電柱化、地盤強化など、安心して暮らすことができる設備も用意する。クラブハウスも整備し、住民間でのイベント・ワークショップなども実施する予定。2022年5月のまちびらきを目指す。
A商業街区(イオンリテール)
約2.4haの商業街区に、スーパーマーケットなど商業施設を開業。コミュニティ形成の場としても活用される。2022年5月に開業予定。
B生活便利街区(東武鉄道)
子育てや介護をサポートする機能を、約2.5haの街区に集約。すでに保育所やシニア施設が開業している。
他にも、久喜市は約3.6haの公園と約3.5haのスポーツ広場を整備。遊歩道や桜並木沿いにベンチを設けるなど、街に住む人々が気軽に集まり交流できる場所を創出する。
早稲田大学の小野田研究室は、自動宅配や無人ゴミ収集の実証実験をはじめとした次世代モビリティシステムを導入し、環境配慮など社会課題の解決とともに、住民の利便性が高まるサービスを展開する計画だ。
東京都市圏としても機能する好立地
各種交通も発達し通勤・通学に便利
ことし5月にまちびらきを控えた、同プロジェクト。次世代の暮らしを実現する、スマートシティの事例として注目されるだろう。
そもそも、久喜市では子どもの医療費の無償化拡大などにより、子育て家庭の経済的支援を実施。地域子育て支援センター、ファミリー・サポート・センターなどの各種事業も行っている。公立・私立の認可保育園の整備も進めるなど、待機児童の解消にも積極的だ。先進的なまちづくりと行政による家庭への支援は、新たな住民を誘致する要素になるだろう。
何より、同市には東北道や圏央道、国道4号・122号といった広域幹線道路が整備されていて、高い交通利便性を有する。圏央道の整備にあわせ「菖蒲南部産業団地」や「清久工業団地周辺地区」といった産業基盤づくりも進めるとともに積極的な企業誘致を進めてきた結果、多くの企業が拠点を構え、新規雇用の創出にもつながった。
また、鉄道ではJR宇都宮線、東武伊勢崎線、東武日光線が乗り入れ、3路線5駅が市内には点在する。なかでも南栗橋駅を通る東武日光線は、東武伊勢崎を経由して東京メトロ半蔵門線・東急田園都市線、さらには東京メトロ日比谷線に直通する列車があり、東京方面への通勤・通学に非常に便利だ。とりわけ、都内であれば東京や新宿、渋谷などへアクセスがしやすく、乗車時間は1時間半もかならない。
こういった地域で次世代のまちづくりが進められることでファミリー層を中心に世帯が増え、まちが発展することで単身者を中心とした雇用も活発になるかもしれない。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))