コロナ禍に突入して早2年。各企業のテレワーク導入や出勤者数削減への取り組みが定着したことにより、首都圏に居住する人々の働き方・暮らし方は大きく変化した。
特に顕著に表れているのが「郊外居住志向」だ。総務省が2022年1月に発表した『住民基本台帳に基づく人口移動報告』によれば、神奈川県の転入超過は全国最多に。
県外からの転入者23万6157人のうち、都内からの転入者は9万6446人と約4割を占めており、横浜・川崎のほか、藤沢・茅ヶ崎といった湘南エリアへの移住が目立つ結果となった。
海にも山にも近い移住先、小田原
海に近い湘南エリアの人気が急上昇するなか、“海にも山にも近い移住先”として秘かに注目を集め、ここ数年転入超過が続いているのが小田原市だ。

実は小田原市の人口は、2018年時点で平成元年以来29年ぶりに19万2000人を割り込み、「人口減少と高齢化に歯止めがかからない自治体」と危惧されていた。
しかしコロナ禍突入後、初の緊急事態宣言が明けた2020年6月頃から転入が増加し、2022年2月時点の統計でも転出を上回る状態を継続している。市全体の人口は依然減少しているものの、働き盛りの若者世代の転入が増加傾向にある点は「コロナ禍がもたらした大きな変化」と言えるだろう。
駅前再開発完了で
東口の雰囲気が華やかに変化
小田原への移住を後押しするもう1つの要因として考えられるのが「再開発効果」だ。1986年の計画策定以降、事業者の経営破綻など紆余曲折はあったものの、約35年の年月を経て進められてきた「小田原駅東口お城通り地区再開発事業」が2020年12月に完了。まさに絶好のタイミングで駅前の雰囲気が大きく変わった。




まだまだ続く小田原駅前再開発、
第2ステージは住宅街に近い西口側
しかし、小田原駅前の再開発はこれで終了したわけではない。現在は第2ステージとも言える西口側に舞台を移し、「小田原駅前分譲共同ビルマンション建替事業開発計画」が進行している。



これまで『小田原』駅西口には、1975年竣工の「通称:新幹線ビル(小田原駅前分譲共同ビル)」が建っていたが、老朽化に伴う建替え工事が2020年7月からスタート。地下1階・地上17階建ての住商一体型ビルは、4階以上が総戸数190戸の分譲マンションとなるほか、地下から3階には店舗や医療施設等のテナント出店が計画されている。完成は2024年6月の予定だ。

観光地から暮らすまちへ──。駅前の機能が変化し人流が増えると、その周辺には様々な投機が生まれる。コロナ禍の郊外居住志向が追い風となっている「小田原のまちの進化」に今後も期待したい。
■健美家編集部