東京ドーム3.5個分の広大な敷地に
「向ヶ丘遊園」駅の新たなシンボル登場
1927年の開園以来75年間人々から愛され、2002年3月に閉園した向ヶ丘遊園(神奈川県川崎市多摩区長尾2-8-1)。現在その跡地で再開発が進んでおり、2023年度には温泉やショッピングモール、自然体験ゾーンを備えた新施設が完成する予定となっている。
開発地は小田急線「向ヶ丘遊園」駅から徒歩16分、JR南武線「宿河原」駅から徒歩15分の場所。開発面積は約162,400㎡。東京ドーム3.5個分に及ぶ。
小田急電鉄の発表によると、跡地利用計画は2004年11月に川崎市と締結した「向ヶ丘遊園跡地に関する基本合意書」を踏まえ、川崎市等の関係機関と協議しながら進められてきた。
同計画では「人と自然が回復しあう丘」を開発コンセプトに、跡地全体を「商業施設エリア(29,900㎡)」「温浴施設エリア(25,600㎡)」「自然体験エリア(39,300㎡)」の3つのゾーンに分け、身近なレジャーやちょっとした非日常を感じられる特別な空間や体験を創出するとのこと。
「商業施設エリア」はゆとりある広場空間を設けるなど、買い物や飲食等をゆっくりとくつろぎながら楽しめるエリアになる予定。
また、「温浴施設エリア」は、緑に囲まれた環境の中で、伝統的な温泉旅館を連想させる日本家屋様式の特徴ある温浴施設を展開するエリアとなるという。
豊かな自然環境と都心までの眺望を併せ持つ露天風呂や、都心周辺部では希少な貸切個室風呂や多様な機能を備えた規模感のある着衣サウナなどが設けられる。
ゆっくり滞在でき、施設規模や機能面で全国有数の温浴施設を目指すことで、コロナ禍終結後に見据えられるインバウンド需要も含め、高い集客力を持つ魅力ある施設を目指すとしている。
そして、3つ目の「自然体験エリア」は、アウトドア系施設やグリーンショップ等、これまで生田緑地になかった新たな機能の導入により、計画地の豊かな自然を体験できる中核エリアになるという。
都心に近く気軽に利用できるアウトドア系施設にはグランピングやキャンプ等の宿泊機能を計画するほか、事業者の企画力や施設運営力を活かして、他エリアとも連携した特徴のあるイベント等を実施するそう。
新施設登場で期待される「向ヶ丘遊園」
隣駅「登戸」との勝負はいかに!?
「向ヶ丘遊園駅」までは、新宿から小田急線急行で20分ほど。これだけ都心から近い場所でキャンプやグランピング、温泉、ショッピングが楽しめるとなれば、かなりの人気施設となることが期待される。「向ケ丘遊園駅」にとっても、大きなイメージアップにもなることだろう。
快速急行停車駅である隣駅、「登戸駅」と比べると、居住区としてやや見劣りする感があった「向ヶ丘遊園駅」。
土地代データによると、「向ケ丘遊園」の2021年(令和3年)公示地価、基準地価平均は38万6000円/㎡。変動率は+0.82%。坪単価127万6033円/坪。
これに対して「登戸」は2021年(令和3年)公示地価、基準地価平均39万8200円/㎡。変動率は+1.68%、坪単価131万6363円と、やはり「向ヶ丘遊園」の方がややリーズナブルとなっている。
一方で家賃相場は「向ケ丘遊園」がワンルーム6.29万円、1LDK13.41万円、2DK9.02万円。「登戸」はワンルーム6.22万円、1LDK13.31万円、2DK8.8万円と、「向ケ丘遊園」の方が少し高めの設定だ(LIFULL HOME’Sより)。
今回の再開発で「向ケ丘遊園」の不動産価値がどう変化していくのか、今後も見守りたい。
健美家編集部(協力:
(さいとうかずみ))