埼玉県内の大宮、浦和は、住みたい街ランキングの常連に定着した感がある。近年では、大宮、浦和以外の埼玉県南部の街も、ランキング上位に顔を出すようになった。
そのうちの1つとして注目されるのが、JR埼京線の武蔵浦和駅である。武蔵浦和は、大宮よりも都心に近く、JR埼京線の中では最も顕著に再開発が進んでいる街である。商業施設、公共施設も集積し、タワーマンションが次々と建設されている。
また、JR埼京線沿いでは、さらに都心寄りの戸田市でも再開発が計画されており、今後が期待される。
武蔵浦和の概要とこれまでの再開発状況
武蔵浦和は、昭和60年に開業したJR埼京線のJR武蔵野線との乗り換え駅として設置され、職住近接型の複合都市を目指して開発が進められて来た。
快速、通勤快速の停車駅であり、新宿まで乗り換えなしで30分かからない。埼京線は、りんかい線や相鉄線にも乗り入れており、羽田空港や横浜方面へのアクセスも良い。
家賃相場は、1Kで6.63万円、2DKでも7.76万円と手ごろである(LIFULL HOME‘S 武蔵浦和駅家賃相場)。
武蔵浦和駅周辺では、10以上の街区に分けて順次開発が進められてきた。現在は、複数の大型商業施設や公共施設が集積しており、生活利便性も高くなっている。
平成11年に竣工したラムザタワーを皮切りに、平成13年にURのライブタワー、平成18年にはミューズシティザファーストタワー、平成20年には西口ナリアに2つのプラウドタワーが建設された。ミューズシティには、オリンピックとニトリが入居し、ナリアにはマルエツがある。
平成25年には、西口プラムシティに、南区役所、図書館などの複合公共施設サウスピアが建設され、プラウドタワーが竣工した。
平成28年には、西口オアシス地区にタワーマンションのスカイ&ガーデンが竣工している。
このような近年の再開発は、人口や地価にも影響を与えているとみられる。全体的に人口増加率の高いさいたま市であるが、中でも武蔵浦和の位置する南区の人口増加率は、令和2年に6.3%と高めである。世帯当たり人員も2.23人となっており、ファミリーの多い地域となっている。
地価についても、武蔵浦和駅近辺の公示地価は、平成25年以来、毎年僅かながら上昇を続けている。
西口駅前に新たなタワーマンション建設中
現在、武蔵浦和駅西口前のケーズ電気跡地(第1-A地区)に、駅直結のタワーマンション「プラウドシティ武蔵浦和ステーションアリーナ」が建設中だ。同地区は、武蔵浦和駅前の西口の再開発地域としては、最後のピースである。竣工は、令和5年2月に予定されている。
第7-1街区、第8-2街区も再開発が進行中
また、第7-1街区、第8-2街区でも、再開発計画が進行中である。
第7-1街区では、地元権利者と市が協議して権利者の意向調査を含めた勉強会等がおこなわれている。この第7-1街区は、武蔵浦和駅周辺の再開発地域でも約5.2ヘクタールと最大規模である。この地域はまだ民家や駐車場が点在しており、実際にはほぼ再開発は手が付けられていない状態といえる。
第8-2街区では、平成30年11月に「武蔵浦和駅第8-2街区市街地再開発準備組合」が設立され、具体的な検討が進められている。オリンピック、ニトリが入居するミューズシティに隣接し、武蔵浦和駅にもより近い地域であり、利便性は高い。現在、事業協力者の選定中である。
現状は、民家や飲食店、駐車場などがある地域であり、今後どのような再開発が進められていくのか、注目される。
武蔵浦和駅周辺は、実際に歩いてみると、非常にコンパクトに生活に必要な施設がまとまっている。また、いわゆる繁華街のようなものも小綺麗なビルに整理されており、街並みも清潔感があるように感じられる。ファミリー向けの住環境としては良質であるといえるだろう。
埼京線埼玉南部では、戸田でも駅周辺再開発に向けて動き
埼玉県南部のJR埼京線沿いでは、武蔵浦和駅よりも東京寄りになる戸田市の3駅周辺にも再開発の動きがある。北戸田駅前地区と戸田駅周辺地区、そして戸田公園駅西口駅前地区である。
埼玉県が、商業・業務、医療、子育て等の複合的な都市機能の拠点地域として、再開発を促進すべき地区として位置づけて再開発計画を立てている。
具体的には、低層階に商業施設を備えたマンション建設を誘導し、市街地形成を睨んで土地区画整理事業や都市計画道路、交通広場、公共下水道等の都市基盤整備をおこなう、としている。
北戸田駅前地区と戸田駅周辺地区では、既に土地区画整理事業が進行中である。こちらも、武蔵浦和駅のような再開発がなされていくのか、注目される。
取材・文:
(さとうえいいちろう)