
2025年度に
完了予定
埼玉県にある西武線所沢駅の西口で、大規模な土地区画整理事業が進んでいる。
対象となっているのは、駅西口を出てすぐのところにある約8.5ヘクタールの敷地だ。

※引用:所沢市
開発事業のコンセプトは人々が「通り過ぎる街」から「集い・過ごす街」への変化だ。
西口エリアの開発は「広域型の商業を核とした複合施設」を作ることとされている。
西口を出てすぐのところ(上の図でいう所沢駅西口と赤い網掛けの間にあたる部分)にはそごう・西武が展開する西武所沢S.C.がある。
2021年には上の図でいう赤い網掛けの右肩部分に「シティタワー所沢クラッシィ」という複合タワーマンションが建っており、低層階に商業施設が入るとともに、駅までつながるペデストリアンデッキが設けられた。

※引用:住友不動産 住友商事
コチラの図でいうところのC地区については、既に既存建物の解体と整地まで完了しており、新たに映画館を含む商業施設が建設されることが判明している。
現地の工事現場に掲出されている看板では工事期間予定が2024年6月末までとなっているため、2024年〜2025年頃に商業施設がオープンすると思われる。
なお、建物規模は地上7階建てで、主要用途として住宅は入っていないため、現在の予定ではゲタ履きマンションなどにはならないことがわかる。
東京23区と比較すると
所沢は狙い目か
西武鉄道は、高田馬場や池袋といった東京都心から西東京を経て所沢・入間・川越など西埼玉の都市部をつなぐ路線を展開している。
特に利用されているのは西武新宿線と西武池袋線だが、両方の路線が乗り入れているのは所沢駅だけだ。

所沢から高田馬場・池袋の両駅までは急行で30分前後と都心へのアクセスは良い。
交通利便性の高さから西武鉄道全体で見ても所沢駅の乗降客数は多く、2020年度の統計では約78,000人となっている。
※参照:西武鉄道
JR東日本の都心部と比較すると、同年度の乗降客数では西東京の町田駅とほぼ同数であり、赤羽・川口・浦和などの駅よりも多い。
※参照:JR東日本
町田・赤羽・川口などの都市と比較すると所沢は地味なイメージが強いかもしれないが、乗降客数の統計からは可能性が感じられる。
便利な土地柄からか所沢を訪れる人は多いものの、所沢市としては駅周辺にしか人が集まらないことを課題視している。
このため、所沢市では東口も含めて駅周辺のエリアを複数に分け、都市開発を進めることとなった。

所沢が持つポテンシャルは高い上に、駅周辺での開発が進んで利便性が高まれば、賃貸需要も拡大することが期待できる。
なお、西武鉄道がホームページで公表している情報によると、所沢駅周辺に住む人々の家族構成は以下の通りだ。
- 単身者:41%
- DINKS(夫婦のみ):19%
- ファミリー:39%
2015年の国勢調査に基づく情報であり、少し古いが単身者またはファミリー層の居住ニーズは強いと予測できる。
また、家賃相場についても同様に公表されており、それぞれ以下の通りとなっている。
- ワンルーム:平均47,000円
- 1LDK〜2DK:平均68,000円
- 2LDK〜3DK:平均81,000円
※引用:西武鉄道
なお、総務省統計局が発表する小売物価統計調査によると、2022年5月における所沢市の1坪当たり民営家賃は4,636円だった。
現代ではDINKS向け物件の投資が効率的とされる向きもあるが、所沢ではファミリー向けでも採算が取れそうに思える。
東京都内で特に物件価格が高騰する2022年時点では、都市開発の波が広がる所沢で物件を探してみるのも良いのではないだろうか。
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取材・文:
(はたそうへい)