水戸街道の宿場町として栄えた「小金宿」が由来
駅周辺には商業施設や住宅街が広がる郊外都市
千葉県北西部に位置する松戸市。人口は約49万人と、千葉市、船橋市に次ぐ第3位の規模を誇るまちだ。
江戸川を挟んで東京都と埼玉県に隣接し、都心から約20㎞の距離にあり、松戸駅からだと上野駅まで18分、東京駅24分、霞が関駅34分と、都内主要駅へのアクセスは悪くない。
松戸市は首都県の住宅都市として栄えていて、人口・世帯人口共に増え続けているのが特徴。昭和50年代後半に40万人を突破し、直近では50万人に迫る勢いだ。
市内には常磐線や上野東京ライン、武蔵野線などのJR線、他にも北総鉄道北総線や東武アーバンパークラインなど6本もの鉄道が走り、20を超える駅が点在している。
都心と常磐・東北方面を結ぶ国道6号線が市の中心部を縦断し、外環道のインターチェンジもある。交通の便は非常によく、近隣や都内で働くビジネスパーソンにとって、住みよいエリアと言えるだろう。
こうした環境を背景に松戸駅周辺では再開発の機運が高まっているが、そこからほど近いJR常磐線北小金駅の南口でも2棟の複合施設の建設計画が動き始めている。それが「北小金駅南口東地区第一種市街地再開発事業」だ。
同事業の準備組合が推進し、野村不動産と長谷工コーポレーションが事業協力者として参画しているが、昨秋に松戸市より都市計画決定の告示を受けている。
北小金駅は水戸街道の宿場町である小金宿に位置する駅で、常磐緩行線(各駅停車)と武蔵野線が乗り入れている。
駅にはJR東日本都市開発が運営する駅ビル「スキップ北小金」、ほど近くにはUR都市機構の再開発ビルの「ピコティ北小金東館」、「ピコティ北小金西館」があり、駅前には小金北商店会(商店街)も広がる。
再開発の計画地は、同駅南口に位置する約0.9haの区域。区域内は老朽化が進行したり、狭隘道路や未接道により建て替えが厳しい建物が散見し、長期間にわたり利用されていない低未利用地も目立つ。周辺に市民の憩いの場となる公園や広場もなく、防災性や安全性でも課題を抱えていた。
そんな課題解決を目指し、本事業では地区内の基盤整備を進め、防災性の向上・オープンスペースの創出・快適な住環境の整備を推進。
事業エリアを2つにわけ、1街区(北敷地)には地上20階、延床面積2万500㎡で住宅(220戸)と商業施設、2街区(南敷地)には地上14階、延床面積9400㎡で住宅(80戸)と商業施設を開発し、まちの憩いの場となる広場(約1000㎡)も設ける。すでに施行済の「北小金駅南口地区第一種市街地再開発事業」との連続性にも配慮するという。
今後は、2023年度に再開発組合が設立認可、2024年度に権利変換計画認可を経て、2025~26年度に着工、2028年度に竣工を目指す。
不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、北小金駅の標準的な賃貸マンションの賃料は直近3年間で3.18%上昇し、これは千葉県の同期間における変動6.61%に比べると低い水準。
ただし、標準的な中古マンション価格は直近3年間で23.61%上昇していて、千葉県の変動の18.71%に比べるとやや高い。駅周辺マンションの資産価値は高くなっていて、こうした状況は賃料相場にも波及するだろうし、今回の再開発が影響する可能性は高い。
さらなる発展・成長が期待できるエリアであり、松戸市全体の活性化にも寄与するだろう。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))