近年、人口が急増し、2022年の住みたい街ランキングでは人気が急上昇しているのが、千葉県の流山である。
その中でも、「千葉のニコタマ」と呼ばれるようなった「流山おおたかの森」を含め、つくばエクスプレス沿線の3駅周辺で大規模な土地区画整理がおこなわれた。一部では、まだ区画整理が続いているところもある。
従来のメイン路線であった東武アーバンパークラインの江戸川台でも、駅前の再整備計画が持ち上がっている。
■ 住みたい街ランキングで人気急上昇中の流山。千葉の「ニコタマ」と呼ばれるように
千葉県の流山市の人気が急上昇している。
2016年に人口増加率が全国の市の中で首位に踊り出て以来、2021年までその座を維持している。人口増加数ランキングでも、2021年には9位まで上昇してきた。
このような人口増加の背景には、つくばエクスプレスの流山おおたかの森の開発が成功したことが大きく影響している。
2007年に「流山おおたかの森S・C」が初めて大型の商業施設を開発してから、2014年に「ANNEX」、2021年に「FLAPS」、2022年には「ANNEX2」がオープンしている。「緑のまちづくり」に相応しく、緑が多い中にも、モダンにデザインされた街並みが形成されている。高級ブランド店も数多く出店している。
「流山おおたかの森S・C」の開発を手掛けたのは、高島屋子会社の東神開発であり、世田谷の二子玉川の「玉川高島屋S・C」を開発した会社だ。こうしたこともあり、「千葉のニコタマ」と呼ばれるようになった。
実際の街の人気も「ニコタマ」に相応しいものとなりつつある。2022年のスーモ住みたい街ランキング(㈱リクルート調べ)では、千葉県では船橋に次ぐ順位であり、前年からの得点ジャンプアップランキングではトップとなっている。
■ つくばエクスプレス沿線3駅の周辺地区では、現在も土地区画整理事業が進行中
流山市では、つくばエクスプレスの開通に伴い、まちづくりと鉄道整備を一体的に進める国の方針に則り、土地区画整理を進めてきた。
流山おおたかの森駅周辺では、自然を維持・活用し、都心的な魅力を兼ね備えた複合的生活空間を形成するという基本方針の下、URが主体となって約275ヘクタールの土地区画整理が行われて来た。2000年から始まった区画整理は、2019年に完了している。
流山セントラルパーク駅周辺では、千葉県が主体となって、約232ヘクタールの土地区画整理が進められている。市の総合運動公園と駅周辺の商業業務市街地をそれぞれの特性を踏まえたゾーンに分けて、整備している。2029年度に完了予定であり、現在も事業は進行中である。
この他、JR武蔵野線との乗り換え駅である南流山駅近隣でも、土地区画整理事業が進行中だ。松戸市と江戸川に接した約68ヘクタールの地域で、千葉県が主体となって、戸建住宅を中心とした住宅地の形成を目指し区画整理を行っている。
■ 東武アーバンパークライン・江戸川台駅前でも再整備計画が進行中
つくばエクスプレス沿線の再開発を中心に、劇的に人気の街へと生まれ変わっている流山であるが、取り残された形の東武アーバンパークライン沿線でも、再整備計画が持ち上がっている。
具体的には、東武アーバンパークラインの江戸川台駅東口の再整備である。
江戸川台駅東口には昔ながらの商店街がある。いささか老朽化してはいるが、青果店、精肉店、和菓子店、洋品店、美容院、薬局、居酒屋、文具店など30店舗が構える充実した商店街である。
2022年8月には、この商店街を活用するための実験プロジェクトが実施された。プロジェクトでは、ハンドメイド雑貨店やキッチンカー、屋台居酒屋などが出店するイベントが開催され、盛況であった。
このような社会実験の結果を踏まえ、同年11月には、「江戸川台駅東口周辺地区エリアビジョン(案)」がまとめられた。それによると、商店街通りは、歩行者優先道路化して、回遊・滞留できるようにする。
空き地になっているジェトロ江戸川台宿舎跡地を活用し、ここに行政機能と賑わい機能を集約した施設を整備する。さらに、駅前広場を拡張して歩行者が滞在しやすく、イベントなども開催できるようにする。まちなかを歩いて回遊し、楽しむことができる街づくりを目指す。
ジェトロ跡地の施設整備は2026年度、駅前広場は2028年度の共用開始が見込まれている。つくばエクスプレス沿線の洗練されたモダンな街とは一味違った、人の触れあいによって活気づくような街になるのか、注目される。