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消滅都市 豊島区=B23区屈指の単身世帯率を記録する中での取り組みとは!

都市計画・再開発/東京 ニュース

2018/08/19 配信

消滅都市宣告≠受けた東京都豊島区。日本創生会議が2014年に発表した896自治体の中に含まれて衝撃が走った。大手マスコミがこぞって取り上げたのは記憶に新しい。

豊島区の人口は1997年の24万6000人を底に増加に転じ、2017年1月1日時点では28万4307人となっていただけに、豊島区民としても「我々が消滅する!?」と意外に感じたのではないか。ただ同区の「豊島区人口ビジョン」では、このまま何も対策を講じなければ2025年から人口が減少するとも分析している。

豊島区の人口動態を見ると、単身者にバイアスが掛かっているのが特徴だ。国勢調査によると、2015年の単身世帯は11万1692世帯と世帯総数の63.3%を占めて、東京23区の中でも新宿区、渋谷区、中野区とともに単身世帯割合が高い。

豊島区では、2004年6月からワンルーム規制に乗り出し、専有面積30u未満の住戸が9戸以上になると1戸につき50万円を建築主に課税している。ただ、単身世帯数の割合を見る限り効果を発揮していない。課税されてもなお採算ベースに乗るとして、新規供給が衰えないのが実情である。

このため、学生や若年サラリーマンなど将来家庭を持つと転居する可能性の高い層の流入に歯止めが掛かっておらず、住民が定着しにくい(流動性が高い)構造だとの指摘がされている。

流動性が高ければ、一見、賃貸需要が旺盛なエリアと考えるかもしれないが、実は空き家率も東京23区で最も高い。

2013年の住宅・土地統計調査によると、豊島区の空き家は3万0370戸で住宅総数の15.8%を占めており、その内、賃貸住宅は83.8%に達する。賃貸住宅のうち97.1%をアパートなどの共同住宅が占めている。

また、豊島区が2016年に実施した「空き家実態調査」では、外観の目視調査によって空き家と判断した建物の所有者にアンケートしたところ、戸建て住宅は594戸で空き家率2.1%、民間の賃貸住宅が4588戸で同4.3%、分譲マンションが981戸で同2.2%だった。

見た目は空き家でも親族が利用していたり、物置・倉庫としての活用や事業用として貸し出している、週末・休暇時に居住している、となんらの形で活用されている事例も多かったようだが、空き対策が急務な状況に変わりない。

豊島区庁舎跡地開発イメージパース
豊島区庁舎跡地の再開発「Hareza(ハレザ)池袋」の完成イメージ図(出所:豊島区)

空き家対策では、街の魅力を引き上げることも重要だ。「豊島区住まいに関する意識調査」では、区内に住む魅力について聞いているが、その理由として複数の路線を使えるアクセス環境の良さが最も高い評価で8割近くを占めている。

その一方で、住みたくない理由は、治安の悪さ(35.8%)と地域・街のイメージの悪さ(25.7%)を挙げており、両方を合わせて6割に達する。利便性は高いが居住環境への不安が空き家化につながっているとも言える。

一方、外国人の豊島区に対する評価は高い。「豊島区外国人区民意識調査」(2015年12月実施)では、いつまでも住み続けたい(34.6%)と当分住み続けたい(39.0%)を合わせて7割超を占める。ただ、外国人が偏見・差別を受けた場合として、住まい探し(51.6%)を挙げる人が半数以上を占め最も多かった。

また、日本賃貸住宅管理協会によると、賃貸オーナーは、高齢者世帯と障害者がいる世帯に対する拒否感が7割を超えている。家賃の滞納や居室内での死亡等に対する不安を挙げて家主が貸したがらない。

住民の流動性が高く、賃貸需要が旺盛に見える現状であっても、豊島区内の空き家率が高い背景として、このような需給のミスマッチがあるのではないか。

こうした中で豊島区は、空き家活用の取り組みを強化している。豊島区居住支援協議会は、NPOと連携して住宅確保要配慮者の入居支援や「としま居住支援バンク」という空き家バンクの運営を推進しており、空き家の利活用に必要な耐震診断・耐震改修に補助制度を設けている。

また、「リノベーションまちづくり構想」を策定し、専門家に参画してもらい実在する遊休不動産の活用方法などの提案を受け、実現したケースもある。例えば、築45年の元とんかつ店をリノベした「シーナと一平」は宿泊施設とカフェの複合施設として再生した。1階にカフェ、2階に旅館として5つの客室を備えて、まちづくり会社が運営している。

今年4月には「豊島区空家活用条例」が施行された。同条例では、一定条件を満たした場合は、用途変更なしに住宅をシェアハウスとして利用できるようにした。それまでは、用途変更に必要な改修コストがかかるため、利活用をあきらめる所有者が少なくなかった。規制を緩和して空き家の解消につなげる狙いだ。

シーナと一平
築45年の元とんかつ店をリノベ再生した事例(出所:豊島区)

母子家庭などひとり親家庭向けの住居確保対策と空き家対策を結び付けた事例もある。総戸数6戸のマンションのうち空室になっていた3戸を、豊島区居住支援協議会のコーディネートによって満室にした。NPOが3戸をオーナーから借り上げ、ひとり親世帯を対象にサブリースで運営しているもので、同協議会の事業として家賃助成なども提供している。

魅力的な街づくりの推進では、豊島区庁舎跡地と豊島公会堂跡地の再開発事業が起爆剤になると期待を寄せる地元住民は多い。庁舎跡地には地上33階地下2階建て延べ6万8000uのオフィス・商業の複合施設、公会堂跡地・分庁舎跡地に地上8階地下2階建て延べ1万uのホール棟がそれぞれ整備される。ミュージカルや伝統芸能の劇場、サブカルチャーなどが楽しめる空間を備えて2020年夏にグランドオープンする予定だ。

こうした豊島区の現状を見ると、商業施設の整備や高い交通利便性に加え、魅力ある街づくりや、いわゆる住宅弱者に対する行政側のサポート(補助制度)が空室の解消につながると言える。不動産投資家にとっては、自治体の施策とその取り組みに注目しながら投資エリアを選別することが欠かせない。

健美家編集部

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