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<豊島区の逆襲>「池袋」消滅可能性都市からの脱却「本気の街づくり」

都市計画・再開発/東京 ニュース

2020/07/17 配信

今回は、豊島区役所の周辺(南池袋、東池袋地区)の大規模再開発事業について紹介する。池袋で創業74年、地元新栄堂書店の柳内崇社長にお話を伺った。

■消滅可能性都市の屈辱

2014年5月豊島区は23区で唯一、「消滅可能性都市」と指摘された。これを脱却するため、豊島区は、高野区長のもと、緊急対策本部を開き、魅力的な街づくりに取り組んでいる。

「豊島区国際アート・カルチャー都市構想」「としま100人女子会」などユニークな施策を掲げ、行政と民間が一体となったプロジェクトが進められている。翌2015年には11事業、約8800万円を予算化、妊娠・出産の相談や「子育てナビゲーター」の設置など、子育てしやすい環境の整備を始めた。

2016年には対策の中心となる「女性にやさしいまちづくり担当課」を設置し、その長を民間公募し、宮田麻子さんが就任。前職においてマーケティング職や、大手グローバル企業の広報などを務めてきた経験を活かし、現在、豊島区のまちづくりの中心的存在として、様々なプロジェクトのかじ取りをしている。

※「消滅可能性都市」とは、人口流出、少子化が進み、存続できなくなるおそれがある自治体を言います。

左が豊島区役所(49階)のある豊島エコミューザタウン。中央が池袋サンシャイン(60階)右が東池袋駅直結のエアライズタワー(42階) 写真手前側の敷地で大規模な再開発が予定されている。(南池袋2丁目再開発予定地、2020年6月撮影)
左が豊島区役所(49階)のある豊島エコミューザタウン。中央が池袋サンシャイン(60階)右が東池袋駅直結のエアライズタワー(42階)
写真手前側の敷地で大規模な再開発が予定されている。(南池袋2丁目再開発予定地、2020年6月撮影)

■池袋のポテンシャル
池袋駅は、JR東日本線、東武池袋線、西武池袋線、東京メトロ(丸ノ内線、有楽町線、副都心線)が通る。1日の平均利用客数は264万人。

JR東日本の利用客数は新宿駅に次ぎ、第2位となる。駅周辺には、多くの百貨店、商業施設があり、多くの人で賑わっている。だが、交通の利便性は良いが、池袋駅を乗換だけで通過していく人は多い。学生など単身世帯は多いが、転出入が多い。子どもが遊ぶ大規模公園が少なく、ファミリー向け住宅も少ないなど。2014年の日本創生会議では、「定住率が低く、若い女性が少ない」という問題点を指摘された。

また街づくりでは、新宿や渋谷に比べて、再開発面で出遅れていた。人口の増加傾向からみると、豊島区は消滅危機に直面しているわけではないが、将来をみすえた、魅力的なまちづくりの対策が必要であった。

池袋駅東口から豊島区役所方面に伸びるグリーン大通り。サンシャイン通りにかけては、商業施設、飲食店、映画館などもあり、たくさんの人で賑わう。
池袋駅東口から豊島区役所方面に伸びるグリーン大通り。サンシャイン通りにかけては、商業施設、飲食店、映画館などもあり、たくさんの人で賑わう。

池袋駅東口に2016年4月に、約5年の工事期間を経て、リニューアルオープンした「南池袋公園」。広大な芝生とカフェがあり、休日にはたくさんの家族連れで賑わう。(写真は2020年6月撮影。芝生は養生中。)
池袋駅東口に2016年4月に、約5年の工事期間を経て、リニューアルオープンした「南池袋公園」。広大な芝生とカフェがあり、休日にはたくさんの家族連れで賑わう。(写真は2020年6月撮影。芝生は養生中。)

■地元老舗書店が語る池袋
新栄堂書店が池袋に誕生したのは、戦後間もない1946年。「祖父がリヤカーで神田まで本を仕入れ、戸板の上に本を並べて売ったのが始まりです。」3代目の柳内崇社長(52)は語る。

当時の池袋は、雑司が谷霊園も近く、江戸のはずれのイメージ。街の形もまだなく、駅前では闇市が横行していたという。崇さんの父親の時代は、高度経済成長時代で書店も拡大路線であった。

だが、地元で長く愛され続けてきた駅前の新栄堂書店本店は2006年、サンシャインシティ内のアルパ店は2017年5月に、崇さんが閉店を決断した。現在は、再開発が進む「豊島区役所」近くで営業を続けている。

「池袋は、物価も家賃も安く、住みやすいと思いますよ。大学も多いので、学生さんも多いですね。だが数年後、「本社(新栄堂書店)のあるこの周辺の景色は様変わりしますよ。」と崇さんは言う。

2015年49階建ての大型ビル内に豊島区役所が移転。東京メトロ副都心線も延伸。有楽町線の東池袋駅と接続予定。そして更なる大規模再開発で、50階建て越えのタワーとモールが建設の予定。

「もともと池袋は、自然、緑、文化(アニメ、おたく、文学)の街だったんです。再開発では、池袋の良い面を生かしつつ、自然、公園、広場、空間、劇場などを意識した、住みやすい街に整備されます。」とのこと。古くからの地元の方にも、新しく生まれ変わる池袋への期待感は大きいようだ。

南池袋の新栄堂書店本社ビルから。かつては木造住宅の密集地帯。まさにこのあたりで、南池袋二丁目の大規模再開発が予定されている。50階建てのタワーや、商業施設が2025年に完成予定。
南池袋の新栄堂書店本社ビルから。かつては木造住宅の密集地帯。まさにこのあたりで、南池袋二丁目の大規模再開発が予定されている。50階建てのタワーや、商業施設が2025年に完成予定。
手前側が南池袋二丁目再開発B街区。奥に見える緑地は雑司ヶ谷霊園。
手前側が南池袋二丁目再開発B街区。奥に見える緑地は雑司ヶ谷霊園。
南池袋二丁目再開発計画図 A街区は豊島区役所のある 豊島エコミューザタウン。 開発予定のB街区、C街区に は50階以上のタワーが3棟 建設予定。
南池袋二丁目再開発計画図A街区は豊島区役所のある豊島エコミューザタウン。
開発予定のB街区、C街区には50階以上のタワーが3棟建設予定。

●南池袋二丁目B地区市街地再開発
豊島区役所のある超高層タワー「としまエコミューゼタウン」(A街区)の南側のブロックで進行中の再開発プロジェクト。超高層のA棟と低層のB棟・C棟で構成され、超高層のA棟は高さ約195m、地上57階建てとなる。

2022年度着工、2025年度竣工を目指している。住宅・オフィス・商業施設・保育施設等
木造住宅密集地域の改善を行なうとともに、豊島区役所等の防災拠点と連携した防災機能を導入し、災害に強いまちの実現を図る。

●南池袋二丁目C地区市街地再開発(北街区、南街区)
街区再編による道路、広場及び歩道状空地とあわせて、東京メトロ有楽町線東池袋駅に接続するバリアフリーの地下通路と地下広場を整備する。

地区面積は約1.7ha、施設の延面積は約189,410m2。I-I街区(北街区)とI-II街区(南街区)からなり、階数・高さは、I-I街区が地下2階/地上53階・約190m、I-II街区が地下2階/地上50階・約185m。2025年に建物竣工予定。

南池袋二丁目C街区に建設予定の2棟の高層タワー完成予定図。いずれも50階建て以上となる。(豊島区ホームページより引用)
南池袋二丁目C街区に建設予定の2棟の高層タワー完成予定図。いずれも50階建て以上となる。(豊島区ホームページより引用)

●としまみどりの防災公園(造幣局跡地)
柳内さんが次に案内してくれたのは、造幣局東京支局跡地の広大な敷地。池袋駅東口を出て、さらにサンシャインを超えたあたりである。造幣局は2016年10月に閉鎖。

2020年7月に「としまみどりの防災公園」と「としまキッズパーク」がもうすぐ開園予定。「池袋保健所」はすでに移転している。防災公園については、地域住民との共同で街づくりについて検討が行われていた。「災害に強い文化と賑わいを創出する街づくり」の象徴となるビックプロジェクトとのこと。

造幣局跡地で建設がすすむ、「としまキッズパーク」と「防災公園」。写真は2020年6月撮影。もうすぐ完成予定である。
造幣局跡地で建設がすすむ、「としまキッズパーク」と「防災公園」。写真は2020年6月撮影。もうすぐ完成予定である。

●東京国際大学の新キャンパス(造幣局跡地)
埼玉県川越市にある東京国際大学が、造幣局跡地に「池袋国際キャンパス」を開設することが決定。3,500人の移転を予定している。2023年9月に開校予定。

川越キャンパスと池袋国際キャンパスは、東武東上線・有楽町線一本で接続できる立地。「池袋国際キャンパス」と名付けた新キャンパスでは、同大学の特徴である国際色を強調したカリキュラムが組まれる。3500人のうち2000人を留学生とすることで、同大学のグローバル化を進め、池袋はその拠点となる。

東京国際大学「池袋国際キャンパス」完成予想図。地上22階の建物となる。(東京国際大学ホームページより引用)
東京国際大学「池袋国際キャンパス」完成予想図。地上22階の建物となる。(東京国際大学ホームページより引用)
造幣局跡地。東京国際大学「池袋キャンパス」の現地。たくさんの学生で賑わうことになる、2023年の開校が楽しみである。2020年6月撮影。
造幣局跡地。東京国際大学「池袋キャンパス」の現地。たくさんの学生で賑わうことになる、2023年の開校が楽しみである。2020年6月撮影。

●Hareza池袋
池袋駅東口の豊島区役所庁舎跡地に完成した新複合商業施設。ミュージカルや伝統芸能を公演するホールや、アニメ、サブカルチャーを楽しめる空間など個性の異なる8つの劇場を備える。

2019年に竣工・開業した「東京建物ブリリアホール(Brillia HALL)」(ホール棟)、そして「としま区民センター」および「中池袋公園」を含めたエリア全体を指す。「中池袋公園」は、アニメファンの女の子たちの交流の場。コスプレイベントの会場として連日賑わっている。

「ハレザ タワー(Hareza Tower)」オフィス棟は、7月1日グランドオープン。7月3日(金)より「TOHOシネマズ池袋」がオープンしている。

●豊島区立トキワ荘マンガミュージアム
2020年7月7日、「トキワ荘マンガミュージアム」がオープンした。手塚治虫氏、赤塚不二夫氏、石ノ森章太郎氏、藤子不二雄両氏ら昭和を代表するマンガ家が若手時代を過ごし、1982年(昭和57年)12月に解体された伝説のアパート「トキワ荘」を「当時の姿を忠実に再現」したミュージアム。

豊島区では地域と一体となり、トキワ荘マンガミュージアムを中心に、回遊性を持たせたマンガによる街づくり「南長崎マンガランド事業」を進めており、ミュージアムに面するトキワ荘通りには、ミュージアムグッズが購入できる「トキワ荘通りお休み処」、トキワ荘ゆかりのマンガ家たちの作品を手に取って閲覧できる「トキワ荘マンガステーション」がある。

●都電荒川線とIKEBUS(イケバス)
南池袋市街地再開発地区(東京メトロ東池袋駅周辺)には、昔ながらの都電荒川線が通る。また2019年、池袋副都心内を安全に快適に移動できる新たな移動サービスとして、環境に優しく池袋を象徴する乗りたくなるような「電気バス(イケバス)」が開業。

Aルートでは、池袋駅東口、Hareza池袋、南池袋公園、東池袋駅、サンシャインシティ、豊島区役所を循環する。

昔ながらの都電荒川線。高層のオフィスやタワーマンションが建設されている東京メトロ東池袋駅とのアクセスも便利である。
昔ながらの都電荒川線。高層のオフィスやタワーマンションが建設されている東京メトロ東池袋駅とのアクセスも便利である。
新交通システム「イケバス」。豊島区役所から、豊島区の話題スポット、公園などを循環する。
新交通システム「イケバス」。豊島区役所から、豊島区の話題スポット、公園などを循環する。

■南池袋、東池袋地区の将来性について
祖父の代から、池袋で書店を経営し、池袋の街と一緒に歩んできた柳内崇さん。ご自身も池袋の大学に通い、池袋エリアの歴史、文学、文化と向き合ってきた。

インターネットの影響で、本や書店の衰退は避けられない状態ではあるが、「豊島区国際アート・カルチャー構想」には期待を寄せている。

実際、街には劇場、公園、空間、広場が増え、イベントやコンサート、パレードも行われ、若い人が街に増えてきたことを実感している。これから、高層ビルやタワーマンション、大学が出来ることで、街に人は増え、さらなる賑わいを見せるはず。これからの豊島区、池袋エリアに注目してほしい。

L柳内社長

(取材協力)
会社名  株式会社 新栄堂書店
創業   昭和21年(1946)1月11日
代表取締役 柳内 崇
本社   〒171-0022 東京都 豊島区 南池袋2-47-2ワイズビル9階  03-5396-5151

取材・文 和田野学

【プロフィール】(株)リクルートで住宅情報事業部、(株)リクルートスーモカンパニーで不動産広告事業に携わる。首都圏、関西、広島、九州エリアの営業、取材活動を通じて、多くの不動産デベロッパー、ハウスメーカー、地元不動産会社とのパイプを持つ。現在は会社経営。

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