ソニーの本社があったことから
「ソニー通り」の愛称で親しまれるエリア
江戸城(現在の皇居)から見て南に位置する「城南地区」のなかでも、オフィス街、学生街、歓楽街、住宅街の4つの側面を併せ持つのが、五反田エリアだ。駅周辺は隣の大崎駅周辺と並び、大崎副都心に指定されていて、近年は再開発ラッシュに沸いている。
なかでも注目なのが、五反田駅から1.5㎞ほど、品川駅からだと約1㎞にある、御殿山エリアだ。
五反田駅から新八ツ山橋交差点にかけての道は、かつてソニーの本社があったことから「ソニー通り」と呼ばれ、現在も同社の御殿山テクノロジーセンターなど関連施設が残っている。社名を冠したストリートということからも、五反田~御殿山エリアがソニーの城下町として発展してきた歴史が垣間見える。
御殿山小学校前交差点で1万4000坪超の
大規模オフィスタワーが建築中
五反田駅からソニー通りを御殿山方面に進むと、沿道には有名な飲食店やホテルが建ち並び、人気店には行列も見える。一本奥の目黒川沿いはすでに大規模開発が進んでいて、大崎駅までタワマンや高層のオフィスビルがたくさん。ハイソなエリアに生まれ変わった。
さらに通りを歩くと、御殿山テクノロジーセンターのある、御殿山小学校交差点にたどり着く。ここには、9年前に竣工した、2000坪という国内でも最大級のフロアを有するオフィスビルの「ガーデンシティ品川御殿山」があり、大手企業やクリニックなどがテナントして入居しているようだ。
気になるのは、その斜め向かい。住友不動産による「(仮称)住友不動産 大崎東プロジェクト」が進められていて、ここには1万4000坪を超える大規模なオフィスタワーが2022年2月に竣工するという。
高輪ゲートウェイ駅の開業や2027年の品川駅のリニア開通により、周辺でオフィス需要は高まっていて、ガーデンシティ品川御殿山もそのひとつ。
住友不動産は1994年にソニー通り沿いに「住友不動産高輪パークタワー」を竣工していて、2018年には大崎駅近くに「住友不動産大崎ガーデンタワー」を竣工し、大盛況だ。こうした追い風を受け、同エリアでのオフィスビルの供給を推進するのが狙いだろう。
「大崎東プロジェクト」では、地上19階地下2階塔屋1階建ての免振ビルが建つ。配電線が1本断線しても他の2本で継続送電が可能で、変電所で事故が発生してもビルに貯蔵する重油により72時間の送電ができる、BCP対策がほどこされたビルというのも特徴だろう。周辺では空地や緑地が計画的に整備されていて、同物件でも敷地内に広大な緑地や広場を構える方針だ。
この物件が完成すれば、ソニー通り沿いや近隣に大規模なオフィスビルがそろい踏み、大崎駅から五反田駅にかけての一体感も高まることに。エリア全体の付加価値は高まるに違いない。
これに伴い、新たな店舗や住居も開発されていくだろう。正直なところ、現在はどの駅からもほどほどの距離があり、御殿山周辺は陸の孤島の印象がぬぐい切れない。再開発により賑わうとバスなど交通網が充実する可能性もあるだろう。
さらなる進化が待ち遠しい場所だ。
健美家編集部(協力:大正谷成晴)