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虎ノ門、麻布台はどうなる?森ビルが取り組むイノベーション創出と都市づくり

都市計画・再開発/東京 ニュース

2020/11/23 配信

2014年の虎ノ門ヒルズ森タワー誕生以来、2020年には虎ノ門ヒルズビジネスタワー、2021年には同レジデンシャルタワー、2023年にはステーションタワーと着々と街づくりが進む虎ノ門ヒルズエリア。周辺ではもうひとつ、六本木ヒルズと同時期に計画がスタートしたという虎ノ門・麻布台プロジェクトも進行している。2020年10月30日に港区を大きく変える開発に取り組む森ビル株式会社の担当者が語るイノベーション創出と都市づくりに関する講演があり、参加してきた。

変わるものと、変わらないもの

広尾にあるJPI(日本計画研究所)で行われた講演のタイトルは「虎ノ門ヒルズ、虎ノ門・麻布台プロジェクト事例を踏まえた 森ビル株式会社が取組む『イノベーション創出』と街づくり」。

単にビルを作る話ではないことはこのタイトルからも想定できたが、実際の内容は想像以上に幅が広く、壮大な話だった。

リアルな参加者の他にオンライン参加者も多数
リアルな参加者の他にオンライン参加者も多数

森ビル営業本部オフィス事業部営業推進部部長補佐の竹田真二氏による講演は大きく3つの要素から構成されていた。まずは「イノベーション創出の必要性と可能性」として世界における東京のポジションやポテンシャル、その中での虎ノ門・赤坂・六本木エリアの立地特性が語られた後、同社が取り組むイノベーション創出について、そして最後が森ビルの街づくりである。

そのうち、不動産に関心のある人であれば最後の街づくりの話への関心が高いだろうが、忘れてはいけないのはその前段である。

非常に簡単に言ってしまえば、世界の都市と比較すると東京には強み、弱みの双方があるものの、イノベーション創出という点でみれば東京に人、情報、資金などが集まる大企業が集積している点が大きなアドバンテージであるという。それらの企業と、アイディアや技術などのあるスタートアップ企業との適切なマッチングが行われれば、イノベーションが生まれる可能性があるというのである。

そこで同社では六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズなどに人が集まる場や仕掛けを次々に作り、さらにそこで生まれた技術やアイデアを六本木ヒルズなどを舞台に実証実験してきたという。

3年前には自動走行する宅配ロボット、2年前にはオンデマンド型シャトルサービスなどの実証実験が行われたそうである。さらにそうした取組みについての情報発信も行われている。

聞いていて受けた印象としては人が交わり、イノベーションが起きる場を作ると同時にそれによって生まれた新しいアイデアが場を更にアップデートしているというところだろうか。

実際、同社の街づくりの中には多くの新しいテクノロジーが導入されている。1986年のアークヒルズでは3ウェイダクトが導入されると同時にサントリーホールの上には、当時はまだ珍しかった屋上庭園が作られ、2001年の愛宕グリーンヒルズではグリッド天井システム、2003年の六本木ヒルズでは2011年の東日本大震災時に注目されることになった都市ガスによる電気の供給とそれをバックアップする計3重の電源システムが2014年の虎ノ門ヒルズでは立体道路制度の活用が話題になった。常に最新の技術や制度を組み込みながら街づくりが行われて来たのである。

ここで大事なことは「変わるものと変わらないもの」という点だろう。社会や技術は常に進化、変化している。一方で、人と人が交わることの大切さ、豊かな生活を求めることなど本質的な価値は変わらない。街であれ、モノであれ、それを踏まえて作り、進化し続けなければ選ばれない。

今では当たり前のセキュリティゲートだが、アメリカの同時多発テロ事件のあとすぐに日本で初めてアークヒルズで導入したそうで、そうした変化への対応が陳腐化を防いでいる。作るものが一般の人を対象にした住宅だとしても、これまで通り、いつも通りに作っていれば良いと考えるのは危険というわけである。

虎ノ門・麻布台プロジェクトの壮大さに驚き

続いては現在進行中の2つの街づくりについて。まず、虎ノ門ヒルズだが、ここでは冒頭に述べた通り、着々と高層建築物が誕生しつつある。虎ノ門病院の建替え事業や森ビルが手がけるもの以外でも様々な開発が進んでいることはご存じの通り。

面白いのはオフィスだけではなく、様々な要素が含まれた開発であるという点。特に虎ノ門ヒルズではホテル、商業、住宅、カンファレンス、ビジネス発信拠点などに加え、新駅、バスターミナルと言った交通機能、さらに沿道の機能更新を促進するシンボルストリートの整備など実に多様である。森ビルの開発はアークヒルズの頃から多様性に富んだものだったが、時代はさらに複雑な要素を求めているようである。

竹田氏によると臨海部と都心を結ぶBRTも運行開始が遅れていたが10月から運行が始まったそうで、これにより、虎ノ門は新たな交通結節点として動き始めてもいる。

同社の手掛ける開発それぞれの位置関係。相乗効果の期待できる関係であることが分かる
同社の手掛ける開発それぞれの位置関係。相乗効果の期待できる関係であることが分かる

もうひとつの虎ノ門・麻布台プロジェクトは 平成元年にスタート、令和元年にようやく着工したもので、約300人もの地権者と協働する事業だという。時間がかかるわけである。

この開発、現地をご存じの人ならお分かりだろうが、非常に高低差のある大きな窪地をひとつ丸ごと開発するもので、約8.1haという広い土地に約330m、64階建てのA街区、約270m、64階建てのB-1街区、約240m、53階建てのB-2街区、3棟のタワーと低層棟2棟が建つ計画。竣工後の規模でいうと六本木ヒルズを凌ぐ。

東京メトロ南北線六本木一丁目駅から同日比谷線神谷町駅の間に、街がひとつ新しくできると考えると分かりやすい。もちろん、東西、南北を繋ぐ道路も整備され、これまで高低差に邪魔されて不便だった往来が非常に便利になるなど、近隣への貢献も大きい。

高低差が大きく、分断されていた地域が繋がり、地域一帯が大きく変わる
高低差が大きく、分断されていた地域が繋がり、地域一帯が大きく変わる

この規模の説明にも驚いたが、それ以上に具体的な計画の中でびっくりしたのは中央に約6,000uの広場が作られ、敷地全体で約2.4haが緑化されるという点。広大な緑の回りに建物が配されることになるのだ。

都心に広大な緑地が生まれる計画だ
都心に広大な緑地が生まれる計画だ

講演で示された完成予想図は大規模再開発というよりも、森の中のビル群といった雰囲気。立川や竹芝など近年の開発では緑をふんだんに配したものが目に付くが、広さその他を考えると先行事例をはるかに超えたものになろう。

そこで建設されるものとしてはオフィスは213,900uで就業者数は約2万人を想定、住宅は約1,400戸で居住者数は約3,500人を見込み、商業施設は約150店に加えて約4,000uのフードマーケットも。ホテルは標準客室面積約60uのゆとりのあるレイアウトの約120室、約9,000uのミュージアムやギャラリーもあり、さらに世界50か国以上の国籍を持つ生徒数約700人が学ぶインターナショナルスクール「ブリティッシュ・スクール・イン・東京」も作られるという。規模は示されなかったが、保育園、クリニックもあり、住宅の中にはサービスアパートメントも。ひとつの街なのである。

完成予定は2023年。建物その他の建設と同時に街のDX化も進められる予定で「サービスをひとつのIDに紐づけ、パーソナライズすることで街を快適に使い倒せるようにする。」(竹田氏)という。近年、住宅内で必要な情報や操作をひとつのアプリにまとめる動きがあるが、おそらく、それの進化形ということだろう。

オフィス不要論は妥当か?

最後に会場及びオンライン出席者との質疑応答があったのだが、そこで出たやりとりのうちで興味深かったものをいくつかご紹介しよう。

最初に出た質問はオフィス不要論について。リモートワークで済むならオフィスは要らないと考える人もいるようだが、「これまでと同じやり方ではないものの、逆にリアルで会うことの大事さを実感するようになったはず」と竹田氏。

「経理などの事務作業のようにオンラインでできることはますます進行し、いずれAI化や、アウトソーシングという方向に行くだろう。しかし、実際に会うことで生まれるもの、例えば企業文化の共有や価値の継承、新しい事業の創出などを志向する企業にとっては、オフィスが全て不要になるとは考えられない」というのが竹田氏の意見だった。

オフィスに関してはもうひとつ、サテライトオフィスのニーズについても言及があった。横浜、大宮、千葉など住まいの近くのターミナル駅周辺のオフィスに対するニーズは確実に高まっているという。ここには民間の事業者にも参画の余地があるのではなかろうか。

前述した虎ノ門・麻布台プロジェクトもそうだが、同社の開発案件では附置義務以上に緑化されていることについて、成果、費用対効果を問う質問もあった。

これに対して竹田氏の答えは数値で押さえているわけではないとしつつも、「緑は景観を作るとともにコミュニティ醸成、環境教育、生産性向上などに広く寄与するとして、開発の中で重要なものとして考えている」というもの。コロナ禍で働く場、暮らす場ともにこれまで以上に緑や自然が求められていくとすると、同社のやり方はそれを先取りしていたことになる。冒頭に戻るが、やはり社会全体を考えてモノを作ることは大事なのである。

最後に今回、講演を聞かせていただいたJPI(日本計画研究所)について。今回の講演が15165回(!)ということからも分かるように、同社では様々な分野の第一人者、担当者による講演を数多く開催しており、リアル、オンラインいずれでも参加が可能。

今後の講演の中には「Withコロナ時代における日本が選択すべき未来とその実現方策」「データセンター投資の最新動向、今後の成長と課題」「神戸市の官民連携による新しい駅前空間の創出」「『北海道ボールパークFビレッジ構想』と北広島市の新たなまちづくり」など興味深いテーマも多く、最先端の知識が得られ、役に立つはずだ。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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