
下町情緒豊かな「小岩駅」だが
人口減少や小売販売額減少などの課題も
JR中央・総武線の各駅停車が停車する、東京・江戸川区の「小岩駅」。開業したのは、明治32年。100年以上の歴史を誇るとあって、昔ながらの小さな商店街も多く、下町情緒豊かな街並みが魅力である。
「小岩駅」からJR「秋葉原駅」までは約20分、JR「新宿駅」までは約40分。また、千葉方面ではJR「船橋駅」まで約14分と、東京方面、千葉方面への通勤・通学に便利な立地。
家賃相場が1ルームで6.11万円〜、1LDKで7.5万円〜、2DKで8.45万円(ホームズ「小岩駅の家賃相場情報」より)と、都心部にくらべて手頃なこともあり、単身者にとっても、ファミリー層にとっても、暮らしやすいエリアといえるだろう。
そんな「小岩駅」だが、若い世代や子どもの減少により、年間の小売販売額は年々減少。また、道幅の狭い道路に多くの老朽化した木造住宅が密集し、災害の危険性も高い状況にあるなど、いくつかの課題を抱えていた。
100年栄える街づくりを目指し
駅の南北で再開発が進行中
これらの課題を解決するべく、江戸川区は2019年に、「JR小岩駅周辺地区まちづくり基本計画2019」を発表した。これは、2009年に策定された「JR小岩駅周辺地区まちづくり基本構想」と、2014年に策定された「JR小岩駅周辺地区まちづくり基本計画2014」をもとにしたもの。
この基本方針に基づき、100年栄える街づくりを目指して段階的に街づくりを行っていくという。
まず、「小岩駅」北口地区では、「JR小岩北口地区第一種市街地再開発事業」が進行中。2020年に市街地再開発組合の設立が認可され、2029年度の事業完了を目指して道路や交通広場、立体歩行者道路、駐車場・駐輪場を重点的に整備することで、利便性・快適性を図るとしている。
この再開発により、北口通りが9mから18mに拡幅されるほか、約6,100uの交通広場が設けられ、路線バスやタクシーの乗入れも可能になる予定。
人の集う商業施設、憩える広場、潤いの緑化空間、楽しい時間を演出するイベントスペースなども計画されており、活気とにぎわいあふれる市街地を目指す。

総面積8,954uの3つの街区に誕生する
「FIRSTA koiwa(ファスタ小岩) 」
また一方で、「小岩駅」の南口交通広場と、商店街(フラワーロード)に面する南小岩六丁目でも、「南小岩六丁目地区第一種市街地再開発事業」が進んでいる。


事業者は、野村不動産・タカラレーベン・清水建設の3社。地区面積約1.3ha、総事業費は約496億円。
開発地はT街区、U街区、V街区の3つに分けられており、その総面積は約8,954u。それぞれの用途は、T街区が商業、 U街区が住宅、商業、業務、駐車場 、V街区が住宅、商業、駐車場、公共駐輪場とされている。
3つの街区には「FIRSTA koiwa(ファスタ小岩) 」というタウンネーム(地区名称)がつけられており、中には商業施設や住居だけでなく、保育施設や交流施設なども作られる予定だという。
T街区の工事はすでに完了しており、10階建ての商業施設「FIRSTAT」が完成済み。ドトールコーヒーや、まち運営団体拠点「KOITTO TERRACE」といったテナントもすでに決まっており、2021年1月18日から4月にかけて順次開業中だ。

また、U街区には、地下1階、地上22階、総戸数233戸のタワーマンション「プラウドタワー小岩ファースト」が登場予定。こちらは2022年3月下旬に竣工し、同年6月下旬に入居を開始する計画となっている。
そして、V街区には、地下2階、地上32階建て延べ5万2040uの住宅・商業施設の建設が計画されている。これに併せて道路の新設も行われるとされており、こちらは 2026 年冬頃に完成予定だそう。
U街区・V街区併せて601戸が供給されるということで、新たな人の流入に伴い、街の活性化にも期待が集まる。
100年後を見据えた「小岩駅」周辺の街づくりに、これからも注目していきたい。
健美家編集部(協力:斎藤一美)