JR、西武新宿線、地下鉄の3路線が乗り入れ、1日の乗降客数は約93万人に上る高田馬場駅。周辺には学生数約1万1000人の早稲田大学に東京富士大学、さらに17校の専門学校がある学生街だ。現在、駅前ではホテルを含む、複数の工事が進んでいる。学生街はどう変わっていくのだろうか。
人口の約半数が30代以下、
高田馬場周辺は、賃貸ニーズの高い街
高田馬場の人口や世帯数は、2020年は微減したものの、増加傾向にあり、人口の約半数を30代までの若年数が占めている。外国人の居住割合は2割を超え、外国人の居住者も多い。それゆえに若年層の学生や社会人をターゲットにした、賃貸ニーズが高い街でもある。一方で、高田馬場周辺には都営住宅が多く、65歳以上の人口も高くなっている。
なお、高田馬場駅周辺の家賃相場は、1R~1Kで8.36万円(参考資料:アットホーム 高田馬場駅の家賃相場。コロナ禍でオンライン授業が増えた影響か、昨年2月からこの1年で家賃相場が下落傾向にあるが、現在は回復傾向にある。
駅前通りを含む約6haの開発に加え、
駅西側や北側に再開発の範囲を拡大
高田駅周辺では、2016年に高田馬場駅から大久保方面に徒歩5分ほどの場所に、37階建ての新宿ガーデンタワーができ、新たな人の流れができつつある。新宿方面につながる補助72号線(駅前通り)は2020年9月20日に全面開通。補助74号線(諏訪通り)は一部区間で整備中だが、周辺の計画道路事業が進んでいる。
とはいえ高田馬場駅の駅舎は古く、乗降客数に対して、手狭で、混雑しがちで、バリアフリー化も進んでいない。駅周辺の地域には、更新時期を迎えた建物が多く、建て替え工事が同時期に行われることで、街並みが大きく変わろうとしている。
高田馬場駅周辺には大学のほかに、17もの専門学校が集まる学生街だが、じつは、福祉の街でもある。福祉施設が駅から半径1km圏内に13施設あり、うち3施設に点字図書館が整備されている。(参考:「高田馬場駅周辺地区まちづくり構想案」)。それゆえに、駅舎や駅周辺のバリアフリー化が待たれている。
2016年から下図の青枠内の約6haに及ぶ「高田馬場駅周辺地区」において、「高田馬場駅周辺地区まちづくり協議会」が設立され、まちづくりの方向性について検討されてきた。さらに今後、赤線の枠内にエリアを拡大して、駅の北側や西側を含むエリアの活用も合わせて見直されていく計画だ。
新宿区が公表している最新の「高田馬場駅周辺エリア まちづくりコンセプト(たたき台)」を見ると、駅周辺を利用する、学生や障がい者、外国人の居住割合が多いことから、ユニバーサルデザインに配慮した空間を形成しながら、「誰もが主役になれる活力と賑わいあふれるまち 高田馬場」を目指していく考えだ。具体的には駅舎や駅前広場、駅周辺の歩道などの整備を進めていく。
駅前の老舗ビルの建て替え工事が進行中
駅周辺のまちづくりの計画が進むなかで、今まさに大きく変わろうとしているのが、駅前広場がある駅の東側である。駅前で「BIGBOX」と並び、長年親しまれてきたビルの建て替え工事が行われ、ホテルを含む2棟の複合ビルの建設が進んでいる。
1つは冒頭の写真にある、昭和40年代に建てられた「ゆう文ビル」と「菊月ビル」の建て替え工事である。地上13階建てで、ホテルや店舗、駐車場が入る複合ビルが、令和5年1月完成の予定になっている。
もう1つは、BIGBOXのすぐ目の前で「まちのおかしや」や「ホテルサンルート高田馬場」が入っていた「高田馬場駅前ビル」の建て替え工事である。地上12階地下1階のホテルや店舗を含む複合ビルが建設中で、こちらは令和4年1月完成の予定である。
来年~再来年に向けて2棟のビルが完成し、それぞれホテルや店舗がオープンすることで、高田馬場前の景色が一変しそうである。さらなる賑わいや人の流れができ、駅周辺がますます活気づきそうである。
健美家編集部(協力:高橋洋子)