六本木交差点のほど近く、外苑東通りに面した地上13階、地下3建ての通称「ロアビル」(正式名称:六本木共同ビル、管理運営:六本木共同ビル株式会社)。
1973年の竣工以来、バブル期の六本木ディスコブームを牽引するなど、六本木を代表する有名ビルとして君臨してきた。

2008年3月に六本木五丁目西地区市街地再開発準備組合(事務局:森ビル)が設立され、その開発手法と規模から「第2六本木ヒルズ」とも呼ばれるビッグプロジェクト「六本木五丁目プロジェクト」の計画地に入っているため、ロアビルの再開発にも注目が集まった。

耐震強度不足で取り壊し決定から約3年
いよいよ解体間近?
そのロアビルの解体が、いよいよ近づいてきているようだ。組合設立からちょうど10年後の2018年3月、震度6強〜7で倒壊する可能性が高い「安全性の評価T」の建物として、東京都によってロアビルの名前が公開された。

これを受けて、管理運営者らが、ロアビルの取り壊しを決定。具体的な解体時期は明らかにされないままだが、以降、テナントの撤退が続き、現在残る大型テナントはダーツ・ビリヤード店とクリニックのみ。地上部分は仮囲いで覆われ、テナント撤退が完了すればいつでも取り壊しに取り掛かれそうな状態になっている。

では、ロアビルの解体が進めば、六本木五丁目プロジェクト全体も大きく動き始めるのだろうか?
2つの巨大プロジェクトが進行中の森ビル、
六本木五丁目プロジェクトの本格始動はその後か?
プロジェクトの計画地は六本木の外苑東通りから鳥居坂下までの約95000u9.5。ロアビルのほか、東洋英和女学院の幼稚園と小学部(道路一本隔てた中高と大学院は計画地外)や国際文化会館などがある。
六本木ヒルズの開業以来、六本木エリアを東京の新たな文化の中心地として進化させてきたと自負する森ビルにとって、こうした文化、教育施設と一体化した再開発こそがプロジェクトの目玉であり、ロアビルの解体とプロジェクトの進捗は関係がないという姿勢のようだ。

組合設立から10年以上を経て、一向にプロジェクトに進捗が見られない最大の理由は、森ビル側にありそうだ。
森ビルは現在、都内で「虎ノ門ヒルズエリアプロジェクト」と、「虎ノ門・麻布台プロジェクト」の2つの超巨大プロジェクトを進行中。
「虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」(2022年1月竣工予定)および、東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」と一体開発する「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(2023年7月竣工予定)の完成をもって、虎ノ門ヒルズエリアプロジェクトは完了予定。
また、虎ノ門・麻布台プロジェクトは、オフィス、住宅、ホテル、インターナショナルスクール、商業施設、文化施設など、多様な都市機能を融合させた「都市の中の都市(コンパクトシティ)」が2023年3月に完成予定。
六本木五丁目プロジェクトの本格始動は、これら巨大プロジェクトが完成する2023年以降となるだろう。
健美家編集部(協力:大崎良子)