改札なしでホームまで行ける
巨大な無人駅・東武大師線「大師前駅」
東京23区内では珍しい無人駅の一つ東武大師線「大師駅」。東武大師線は「西新井駅」と「大師前駅」の1kmを結んでいる。
昭和6年の開業当時は、東武伊勢崎線と東武東上線を結ぶ「西板線」という路線が計画されていた。
「大師前駅」の先に線路を伸ばす構想があったが、第二次世界大戦の空襲などにより営業を休止したという。
しかしながら、地域の住民が「大師前駅」の存続を強く望んだことや、西新井大師の大師信仰が高まり、東武大師線として営業を再開することになった。
ちなみに、この大師線を利用する場合は「大師前駅」に改札がないため「西新井駅」の改札を通ることになる。初見では少しわかりにくいかもしれない。
関東厄除け大師の一つ西新井大師
初詣は都内屈指の参拝客数
初詣の時期は入場規制が必要なほど大変混雑する。神奈川県の川崎大師や千葉県の観福寺と並んで関東厄除け三大師の一つに数えられており、厄除け祈願で多くの人が訪れる。地元の人たちは親しみを込めて「お大師さま」「大師さん」と呼ぶ。
西新井大師の由来にはこう書かれている。
「西新井大師は五智山遍照院總持寺(ごちさん へんじょういん そうじじ)といい、真言宗豊山派の寺院です。
天長の昔、弘法大師様が関東巡錫(じゅんしゃく )の折、当所に立ち寄り悪疫流行になやむ村人たちを救わんと、御自ら十一面観音像とご自身の像をお彫りになり、観音像を本尊にそしてご自身の像を枯れ井戸に安置して二十一日間の護摩祈願をおこないました。
すると清らかな水が湧き、病はたちどころに平癒したと伝えられます。その井戸がお堂の西側にあったことから「西新井」の地名ができたと伝えられております。当地西新井はお大師さまと切り離すことのできない歴史を持っております」(出典:西新井大師ホームページ)
参道には、古くから営業を続ける団子屋や甘味処などがあり、下町の趣きが残っている。ここ最近は、比較的若いオーナーも増え、レトロモダンな飲食店もできた。賃貸住宅管理業の先駆けと言われている北澤商事という不動産会社もある。
古くから営業を続けている店舗は、総じて値段が安い。これは、参道の店舗だけでなく、駅周辺のスーパーなども同じである。
西新井大師のすぐ近くを環七(東京都道318号)が走っているため、通り沿いは騒がしいが、裏通りはとても静かだ。西新井大師の周辺の住宅街も、落ち着いた雰囲気である。
隣の「西新井駅」から電車で5分とかからず、徒歩で約13分、自転車で約5分と近いが、「大師前駅」周辺の地価は比較的安い。
コロナ禍で閉店した店舗も…
アフターコロナの復活に期待
緊急事態宣言中の西新井大師の参道は、シャッターが降りている店舗も多かった。しかしながら、感染者数が減り出してから、少しずつ賑わいを取り戻しつつある。
不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の住まいインデックスによると、「大師前駅」周辺の標準的な中古マンションの価格は直近の3年間で16.39%程度上昇。東京都の平均12.80%と比較して、高い水準である。
また、標準的な賃貸マンションの賃料は直近の3年間で2.94%程度上昇。東京都の変動の3.00%に比べて同程度の水準となっている。
加えて「大師前駅」周辺の標準的な戸建てを見てみると、直近3年で価格は1.67%程度下落。東京都の標準的な物件の価格が、8.95%程度上昇していることを考えると、低い水準である。
「大師前駅」周辺の標準的な土地の価格も、直近の3年間で19.94%程度下落。一方で、東京都の標準的な土地の価格は直近の3年間で9.96%程度上昇している。
土地の価格の下落はコロナの影響もありそうだ。割安なまま放置されている戸建てや土地などを探してみるのもいいかもしれない。
健美家編集部(協力:
(とやまたけし))