東急不動産を中心とした
事業者を選出
東京都は都内にある代々木公園及び明治公園について、周辺の街づくりに合わせた公園の整備・運営事業を進める方針としている。
代々木公園及び明治公園のそれぞれについて整備・運営を担う事業者を公募した結果、代々木公園については東急不動産を中心とした事業者団体を選出した。
2021年12月中に整備・運営計画の認定及び基本協定を締結する予定。2022年3月に実施協定を締結後、2024年3月まで整備工事を実施する。
「整備工事」と言いながらも単なる緑地管理というわけではなく、どちらかというと、公園が少し拡張されるような内容となっている。

※引用:東京都
現段階で提案されている内容には新たなフードホールやスポーツ施設などの建設が盛り込まれており、既に完成している宮下公園にも近いような印象だ。

※引用:東京都
新たに建設される予定の施設は約18年間供用される計画となっており、事業期間終了後には解体される可能性もある。

東京都との姿勢として、緑地及び防災性を重視している様子が整備計画からうかがえる。防災性を重視するのは、代々木公園が緊急時の避難場所に指定されているためだ。
そのほか、東京都は代々木公園が渋谷区のシンボル的存在の1つとなっていることも理解しており、「渋谷区の顔」とも言える存在となるよう整備する方針としている。
代々木公園は、新宿御苑や日比谷公園などとともに都心の大型公園として知名度が高い。
周辺住民のみならず他の地域からも多くの来訪者を集めており、花見の時期などは特に、テーマパークかと思わされるほどの人出がある。

新たな公園施設の供用開始は2024年であり、それまでにコロナが収束していれば、代々木公園の求心力がより一層高まることも予測できる。
代々木公園の求心力向上とともに、周辺地価の値上がりなども期待したいところだ。
都心の魅力を取り戻す
きっかけとなることに期待
渋谷区では2020年の夏までは人口・世帯ともに増加し続けてきた。しかし、2020年8月以降はコロナの長期化も影響しているのか、減少に転じている状況だ。

※参照:渋谷区
これまでは4月から5月にかけて数百人単位で人口が増える年も多かった。2019年などは特にその傾向が顕著に表れている。
しかし、2021年は増加数が大幅に減っており、横ばいで推移している。さらに、夏から秋にかけては減少傾向があるため、渋谷区におけるコロナの影響は大きいと言えるだろう。
渋谷区は居住費やオフィス賃料も高いため、コロナによる景気減速の影響や、リモートワークの拡大による影響などが顕著だったと考えられる。
なお、日本では全体的に世帯数が増えて人口が減っているエリアが多くみられるものの、渋谷区では人口推移と世帯数推移とが似たような傾向を見せており、世帯当たりの人数があまり変わっていない。

※参照:渋谷区
2021年11月時点における渋谷区の世帯当たり人口は約1.64人で、都心らしく単身者世帯が多いと言える。
公園というと、子連れのファミリーが集まる施設という印象もあるが、代々木公園はその限りではない。
若者が敷地内でシートを敷いて談笑するような様子も多くみられることから、一人暮らしの若者が多く集まるような場所でもあると言えるだろう。
代々木公園の整備事業が、「広い公園」というだけでない都会的なイメージの浸透と、渋谷区の活性化につながるか要注目だ。
取材・文:
(はたそうへい)