日本選手団が史上最多の金メダルを獲得し、興奮のうちに幕を閉じた東京オリンピック・パラリンピック大会。その舞台となった国立競技場の東南一帯に位置する神宮外苑の再開発計画の詳細が、2021年12月14日に開かれた「神宮外苑地区に係る都市計画案の説明会」(東京都・新宿区・港区・渋谷区共催)で明らかにされた。

「(仮称)神宮外苑地区市街地再開発事業」は、三井不動産、宗教法人明治神宮、独立法人日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事による再開発プロジェクトで、神宮球場、秩父宮ラグビー場、聖徳記念絵画館、伊藤忠商事本社ビルといったエリアを代表する建築物と、都内有数の美しさを誇る銀杏並木などが計画地に入る。

説明会資料によると、計画の概要は、「神宮外苑の新たな100年に向け 誰もが気軽に訪れ楽しむことが出来る公園の再編と 広域避難場所としての防災性を高める複合型の公園まちづくり」とある。
目玉は、老朽化した神宮球場と秩父宮ラグビー場を入れ替えてそれぞれ複合ビル化すること。現在の神宮球場の場所には地上7階地下1階建て、ラグビー場、文化交流施設、店舗などを備えた「ラグビー場棟」が、現在の秩父宮ラグビー場の場所には野球場とホテル、商業施設などが一体化した地上14階地下1階建ての「野球場棟」が2028年に完成予定だ。
さらに、スタジアム通り沿いに地上40階地下2階建ての「複合棟A」が、現在の伊藤忠商事本社の場所にも地上38階地下5階建ての「事務所棟」が建築予定。

青山通りから絵画館へと続く壮観な銀杏並木の景観と風致はそのまま保全され、計画地内の緑の割合も公園まちづくり計画によって従前の25%から30%への増やされる見込み。通路とオープンスペースを一帯整備することで、回遊性向上も図る。
港区の北青山や南青山、渋谷区の神宮前や千駄ヶ谷など、周辺一帯の地価の大幅な上昇を期待する声が大きい。
一方、青山通り沿いのオフィスビル以外には高層ビルが建っていない現在の神宮外苑が、「高層ビルの森」へと様変わりすることに反対する意見も根強いようだ。
年明けの1月に各区都市計画審議会、2月に東京都都市計画審議会にかけられ、3月頃に都市計画決定が告示される見通し。
健美家編集部(協力:
(おおさきりょうこ))