北千住駅東口エリアの
まちづくりが進む。
ここ数年、「穴場な街」「住んでよかったまち」などのランキングに顔を出すことが増えた足立区最大のターミナル「北千住駅」。
この駅では、JR常磐線、東京メトロ千代田線・日比谷線、東武伊勢崎線、つくばエクスプレスの4社5路線が使える。1日あたりの乗降者数は国内トップ10に入る多さだ。
乗り換えなしで都内の主要駅に行ける利便性があるものの、下町や繁華街のイメージが強かったからか、近年まで「住みたいまち」として注目されることはあまりなかった。
「北千住駅」の周辺には昔ながらの庶民的な居酒屋や、レトロな喫茶店があり、夜になるとほろ酔いサラリーマンが行き交う歓楽街などもある。
一方で、駅のすぐそばにあったJTの工場跡地が、東京電機大学のキャンパスに生まれ変わったり、戸建てをリノベーションしてつくられたセンスの良い飲食店が人気になったりなど、下町のイメージを残しつつも、少しずつ進化している。
駅前の雑多な雰囲気はなくなったが
東口エリアにはなおも課題が残る。
北千住エリアの変化を強く感じられるのは北千住駅東口周辺だ。足立区は北千住駅東口周辺地区のまちづくりに取り組んできた。平成24年に念願だった東京電機大学を誘致し、現在もさらに安全で賑わいのあるまちを目指している。
再開発準備組合の提案には、住居や商業施設を含む27階建ての複合施設を建設する構想が含まれている。
駅前の再開発に加えて、これから長い時間をかけて足立区が取り組もうとしている課題がある。以下の資料は、北千住駅東側の建物の分布である。
緑色の「独立住宅(一戸建て)」が多くを占めていることがわかる。
実際に現地を歩いてみたところ、自動車の離合が難しそうな狭隘道路に面して住居が立ち並んでいた。
火災時に消防車が侵入できないなどといった防災面のリスクや、再建築不可で土地の利活用が限られるなど、複数の課題がある。
こうした背景もあり、北千住駅東口の再開発を皮切りに、周辺地区にも範囲を広げて、段階的な「住みやすいまち」づくりに組んでいるのだ。
23区内にあるターミナル駅の割には
価格的に手がけやすい収益物件がある。
北千住を「課題が多く難しいエリア」と捉えるか、「伸びしろがあるエリア」と捉えるかは、不動産投資家によって判断が分かれるところであろう。
不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の住まいインデックスによると、「北千住駅」の標準的な中古マンションの価格は、東京都全体の上昇率よりも価格の変動は小さい。
同サイトのAI査定によると、築10年/専有面積70㎡の中古マンションの取引価格は、2021年現在で4500万円程度となっている。
賃料の推移を見てみると、これは東京都の平均とさほど変わらない。ただし、コロナ禍で若干、賃料低下の傾向が見られる。
にわかに注目を集めつつある北千住であるが、今のところ不動産価格や賃料が大幅に上がっているわけではなさそうだ。
まちづくりがひと段落し、改めて北千住のプレゼンスが向上すれば、その評価も変わってくるかもしれない。
北千住は東京23区内のターミナル駅があるエリアにしては、収益物件の価格帯も低いので、都内の物件にこだわる人は探してみてはどうだろうか。
健美家編集部(協力:
(とやまたけし))