2002(平成14)年の石川島播磨重工業東京第一工場の閉鎖から始まった江東区豊洲の開発が最終章に向かいつつある。
最後に残された街区で始まる建設、これまで手付かずできた開発エリア外の都営団地の建替えと、これからの豊洲に影響を与えそうな2つの計画とまだ、しばらく時間はかかるが、いよいよ動き出した東京メトロ有楽町線の延伸について見ていこう。
若い人たちをも呼び込むオフィスが新たに誕生
まずは最後に残された「(仮称)豊洲 4-2 街区開発計画」。これは大規模商業施設「アーバンドック ららぽーと豊洲」に隣接、豊洲のメインストリートである晴海通りに面した1万9000㎡余の土地に2棟を建てるというもので、主要な用途はオフィス。
しかも、スタートアップ企業の誘致や、起業家等の交流を可能とするインキュベーションオフィスやシェア企業寮を整備する予定で、これまでの豊洲になかった人材、企業とのコラボレーションをはかるという。来街者も含めて豊洲の若返りがはかられるという言い方もできよう。
単にオフィスビルを建てるというのではなく、低層部に大屋根を設けた広場空間を作り、それを囲むように商業施設を配置。施設利用者だけでなく、周辺街区の居住者や就業者など様々な人々が集まる、まち全体のにぎわい創出に寄与する開発を目指しているという。
また、計画では2階レベルで大屋根広場を囲むように歩行者デッキを整備。このデッキから、3街区と4-2街区間の晴海通りに架かる既存歩行者デッキと接続、地区内の回遊性を高め、にぎわいを地区内に伝播させることを目指すともいう。建物単体としてだけでなく、街全体を考えた計画なのである。
既存建物はすでに解体されており、新築計画は2022年春に着工、2025年春竣工を目指している。
都営豊洲4丁目アパート建替えで広い土地が生まれる
もうひとつ、豊洲で進行しているのが都営住宅「都営豊洲4丁目アパート」の建替え。昭和40年代に建設されたもので、元々は全13棟の5階建て住宅。それを13階建て2棟、14階建て3棟に集約される。うち、1棟の1階には保育園も入る予定で、建物はほぼ完成に近い状態になっている。
新しい建物の名称は「(仮称)都営高層住宅江東区豊洲四丁目団地」となっており、今年半ばくらいから入居が始まると言われている。13棟のうち、すでに7棟(5~10号棟、13号棟)は解体済みだが、入居後には現在残されている建物も取り壊される予定だが、気になるのはその後の土地。
地元江東区では公園をという声も出ているが、今の段階では何になるかはまだ見えていない。場所は再開発で変貌した地区と道を挟んで向かい側にあり、これまではほとんど変化がなく、昔ながらの風景が残されてきた場所。何になるにせよ、駅のすぐ脇、広い土地でもあり、豊洲全体の大きな影響を及ぼすことになるであろうことは間違いない。
有楽町線豊洲~住吉間、延伸へ
しかも、2022年1月28日に東京地下鉄株式会社は有楽町線の豊洲~住吉間の鉄道事業許可を申請した。4.8kmの延伸で総建設費は2690億円。豊洲から東陽町を経て住吉までを繋ぐ計画で2030年代半ばの開業を目指すという。
これによって東西線、半蔵門性の利用が容易になり、豊洲の利便性は一段とアップする。すでに一段落した街のように思われているかもしれないが、これからもまだ化ける可能性大というわけである。
健美家編集部(協力:中川寛子)