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東京・下北沢「下北線路街」開発最終段階へ。NANSEI PLUSの核となる複合施設(tefu)lounge開業で街はどう変わる?

都市計画・再開発(地域情報)/東京 ニュース

2022/02/14 配信

2019年から本格的に開発が進んできた下北線路街としては最後になる小田急線南西口のNANSEI PLUS。その中の核となる施設(tefu)loungeが2022年1月20日に開業した。駅前の新しいあり方を提案するという施設を見て行こう。

住宅街の入口に新施設登場

世田谷区にある下北沢駅は小田急線と京王井の頭線が交差、長らく小田急線の地下化で工事が続いてきた。それが終了後も今度は2019年以降地下化で地上に生まれた土地の開発が順次進められてきたのだが、2022年1月に南西口に誕生した(tefu)lounge(以下、tefu)(建築主/小田急電鉄、事業主体・運営・企画/UDS)を中核とするNANSEI PLUSで最終の段階に入った。

実際にはこの建物の敷地に続く区と小田急電鉄で整備を進めている広場や、アートギャラリー、園芸ショップで現在工事が進行しており、それが完成するのは2022年春。いよいよゴールが見えてきた感じである。

駅の上にある施設シモキタエキウエからはペデストリアンデッキで直結。左手に見える建物だ
駅の上にある施設シモキタエキウエからはペデストリアンデッキで直結。左手に見える建物だ

さて、新たに生まれた建物は南西口改札の目の前にある5階建て。南西口は地下化以降に新たにできた改札で、それまでは無かったもの。そのため、駅前ではあるものの、一般的な駅前と呼ばれる地域と違い、既存商業施設があったわけではない。

住宅街の中にできた改札であり、施設であり、印象としては住宅街への入口といったところ。その意味ではtefuが駅前によくある商業中心の複合施設でないのは当然なのかもしれない。

2階のカフェ部分。右に入ると映画館がある
2階のカフェ部分。右に入ると映画館がある

具体的には1階にナチュラルスーパーマーケット「ビオラル下北沢」、パリのスペシャリティコーヒーの先駆者「Belleville Bruulerie TOKYO 」が入り、2~3階にはカフェラウンジ(tefu)lounge by KITASANDO COFFEE、同じく2階にはシモキタ-エキマエ-シネマK2(71席)、そして3~4階は3タイプのスペースを設けたシェアオフィスとなっており、5階には小田急がこの街の活動拠点を構えるという。

コーヒーよりも場、空間が主役

カフェの有料席。仕事にも十分対応できる空間になっている。もちろん、電源もある
カフェの有料席。仕事にも十分対応できる空間になっている。もちろん、電源もある

見学をさせていただき、ひとつ思ったことがある。2階、3階のカフェは一部の席を除いて時間制(1時間750円。税込み。ドリンク飲み放題)という、一般的なカフェとは少し異なるスタイルになっている。

飲食店は普通は飲食がメインでそのために場が利用でき、時間を過ごすことができるのだが、ここでは場と時間がメインで、そのお供として飲み物などがある。下北沢にはこれまでこうした広い、好きに過ごせる場は少なかったことを考えると面白い試みだと思う。

コンパクトながら、座り心地の良い椅子を配した空間となっていた
コンパクトながら、座り心地の良い椅子を配した空間となっていた

映画館も単に映画を見るだけではなく、月額参加型のコミュニティを展開、会員同士のコミュニケーションの場を提供、オンラインとオフラインの共存という新しい映画館の形を模索していくという。

カフェ、映画館というこれまでもあった施設のようでいて、重点の置き方はかなり異なる。人と場、時間をコーヒーや映画を使って重ね合わせ、人が日常的に来たくなる場、緩く顔が垣間見える場を作ろうということなのだろう。

新宿や渋谷などといった常に不特定多数が集まる街であれば、一度きりの客ばかりでも成り立つだろうが、駅のすぐ近くから住宅街が広がる下北沢の街では一見さんだけでは難しい。といっても昔ながらのべったりした常連さんでもあるまい。もう少し距離のある、これまでと違う人のたまる場。抽象的だが、そうした場が模索されているように思う。

これまでずっと多くの駅前は新宿や渋谷を目指してきたが、これからはそれで良いのか。まちの在り方そのものを考え直した場とも言えるかもしれない。

仕事の内容、集中度によって濃淡のあるシェアオフィス

個室オフィスの並ぶ4階。右側はロッカー
個室オフィスの並ぶ4階。右側はロッカー
4階オフィスはシャープで今風。手前と奥側に少し段差があり、空間を使い分けられるようにという配慮か
4階オフィスはシャープで今風。手前と奥側に少し段差があり、空間を使い分けられるようにという配慮か

3階以上はシェアオフィスとなっている。3階はラウンジ、ブースと会議室、4階は個室に分かれたオフィスで雰囲気は階によって異なる。4階はコンクリートの質感を感じるシャープなものであるのに対し、3階は木を使った柔らかさもあると言った具合である。

こちらは3階。手前は会話もあり、奥は集中したい人にと場所によって使い分けができる。左手奥にあるのがオンライン会議などに利用するブース
こちらは3階。手前は会話もあり、奥は集中したい人にと場所によって使い分けができる。左手奥にあるのがオンライン会議などに利用するブース

2階も席によっては十分仕事ができるようになっていることを思うと、全体として階数が上がるごとに仕事モードが強くなっていると言える。仕事の内容、集中度によって場に濃淡があり、使い分けられるというわけだ。バリバリ仕事をする人はもちろん、たまに外で仕事をする人まで幅広い人を受け入れる余地があるわけである。

利用料金は個人でラウンジエリアを使う会員の場合で月額4万円、専用ブースとラウンジ、共用のキッチンなどが使えるブース会員の場合で8万円、専用個室を使うルーム会員は30万8000円~(いずれも税込み。ルーム会員は共益費別)。

4階の個室オフィスは22~28㎡ほどで5室(一部にシェアして使えるタイプなどもある)あり、年末から内覧会が行われており、かなり人気を集めているようだ。

また、これ以外にも2階にはポップアップショップなどが使えるイベントスペースもある。

世田谷代田周辺の不動産が動く契機に

1階部分。右手に店舗があり、通路を進むと現在工事中の広場を経て商店街ボーナストラック方面へ
1階部分。右手に店舗があり、通路を進むと現在工事中の広場を経て商店街ボーナストラック方面へ

tefuの向かいには通路を挟んで路面店が配されている。ここには4軒の飲食店が誕生。中には地元店の新業態なども含まれている。tefuを含め、路面店、駐輪場、その先の現在工事中の広場、園芸ショップ、アートギャラリーのあるエリアはNANSEI PLUSと名付けられて、通行が可能になった。

NANSEI PLUSの位置図。駅とその先のエリアを繋ぐ位置にあることが分かる
NANSEI PLUSの位置図。駅とその先のエリアを繋ぐ位置にあることが分かる

商店街BONUS TRACK(以下ボーナストラック)の手前に位置する区の公園が工事中ではあるものの、これによって下北線路街の南西部分の回遊性は大きくアップ。駅から遠回りをする必要がなくなった。ボーナストラック、温泉旅館 由縁別邸  代田などへアクセスしやすくなったのである。

駅上のシモキタエキウエからのルートも作られている
駅上のシモキタエキウエからのルートも作られている

これによって両施設を訪れる人が増え、下北沢~世田谷代田2駅間の地域に変化が起きると面白いと思う。下北沢周辺は昔から人気が高く、そのため、住宅も含めて更新があまり行われてこなかったエリアがある。更新だけでなく、放置されている不動産もあり、下北沢から住宅地の中に伸びる複合的な施設がそうしたものを動かす契機になれば、下北沢人気はさらに高まるはずだ。

ちなみにtefuは蝶の旧仮名遣いである「てふ」に由来する。蝶の羽ばたきのように小さな動きでも大きな風となることを意図していると言えば良いのだろうか。以前からあった家具のシェアリングサービスに加えて空間のシェアリングサービスを行う事業を加えて2本軸で展開されるそうである。

健美家編集部(協力:中川寛子)

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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