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東京メトロ「有楽町線」「南北線」延伸をついに申請。2030年代、湾岸、品川エリアのどこで、何が変わる?

都市計画・再開発(地域情報)/東京 ニュース

2022/02/26 配信

2022年1月28日にかねてから報じられていた通り、東京メトロが有楽町線の豊洲~住吉間、南北線の品川~白金高輪間の延伸に関する鉄道事業許可を申請した。

前者は4.8キロ、後者は2.5キロという計画である。順にその意味合いと注目すべき地域について見て行こう。

赤い部分が申請された路線
赤い部分が申請された路線

江東区内の南北移動は都バス中心だった

まず、有楽町線だが、豊洲以北の延伸は1972年に国の都市交通審議会答申第15号で始めて答申されて以来、沿線自治体が中心になって実現に向けての検討が進められてきた。特に江東区は2007年度から豊洲~住吉間に関する独自調査を続けており、建設基金の積み立ても行ってきた。

というのは、地図を見ていただければ分かるが、江東区内を通る鉄道は総武線、都営新宿線、東京メトロ東西線、同有楽町線、京葉線のいずれもが都心に向かうべく東西に走っている。

江東区の南北交通は都バスだよりだった
江東区の南北交通は都バスだよりだった

半蔵門線、大江戸線は南北方向に走ってはいるが、半蔵門線は北端、大江戸線は西端に近いエリアで、全体的に見れば南北方向の鉄道交通は不自由で、メインは都バス。鉄道駅よりも停留所数が多く、階段を介せずに乗り降りできるというメリットはあるものの、渋滞などがあると所要時間が読めないこともある。区内の南北交通を正確に、容易にすることは江東区の長年の悲願だったのである。

東西線の混雑緩和も目的のひとつ

豊洲~住吉延伸にはそれ以外にも東西線の混雑緩和、東京23区東部や埼玉県南部、千葉県北西部などから東京の湾岸部へのアクセスの向上にも繋がる。

また、東京都は豊洲市場開設に当たって江東区と「土壌汚染対策」「交通対策」「新市場と一体となったにぎわいの場の整備」の3つの約束を交わしている。

このうち、交通対策が豊洲から住吉への有楽町線の延伸である。区としてはこの約束の実行を都に迫ってきたが、障壁は東京メトロ。多額の費用負担もあり、東京メトロは長らく新線建設は行わない方針を示していたのだ。

ところが、2021年7月の国土交通省の交通政策審議会(交政審)の東京の地下鉄網をめぐる答申「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」で風向きが変わった。東京メトロは2路線の構想に対して「十分な公的支援」と「東京メトロ株式の確実な売却」を前提として前向きに取り組むとして従来の方針からは前進、それが今回の申請に至ったわけである。

今後の問題は費用負担?

豊洲駅。利用者が増えたため、線路を塞いで利用しやすくしてある
豊洲駅。利用者が増えたため、線路を塞いで利用しやすくしてある

ちなみに有楽町線、半蔵門線は建設時から、この延伸を考慮して豊洲、住吉の両駅に線路やホームがすでに整備されている。後で作り直すとしたら工事の手間や費用が大きく膨らむため、計画がある場合にはあらかじめ地下構造物を作っておくのが地下鉄のやり方なのである。

それでも4.8キロの建設には約2690億円の費用がかかるとされており、それを都、区でどの程度負担することになるのか。そのあたりが気になるところである。また、豊洲駅と東陽町駅、東陽町駅と住吉駅間には新駅の建設も予定されており、それがどこになるかも注目点だろう。

完成予定は2030年代半ばとなっており、まだ10年以上はかかる。当然、それまでの間に地域も変わるだろうが、個人的に注目したいのは住吉。

住吉は変化の余地大

東陽町は区役所などが集まる江東区の中心地である一方、各分野の著名な企業の本社が集まっており、大規模なマンション、団地などもある、ある程度の高度利用が進んでいる地域でもある。

2019年度の一日平均乗降客数も12万2000人余りで、他線との接続が無い東西線駅の中ではもっとも乗降客数が多い駅でもある。オフィスが集まっていることもあり、周辺にはビジネスホテルも多く、成田空港へのリムジンバスも走っている。

通りから少し入るとこんな風景も
通りから少し入るとこんな風景も

ところが、住吉は半蔵門線と都営新宿線が交差する駅でありながら、四ツ目通り、新大橋通沿いにオフィスビル、マンションがあるだけで、一本入ると低層の住宅地が広がる。駅からは少し離れて商店街はあるものの、駅周辺には猿江恩賜公園がある程度でさほど賑やかな場所ではない。逆にいえば、まだまだ変化の余地がある場所というわけである。

地下鉄が品川に繋がるメリット

もうひとつの南北線、白金高輪~品川間の延伸は東京都が2015年に取りまとめた鉄道ネットワークに関する検討結果「広域交通ネットワーク計画について」で整備について検討すべき路線とされており、翌2016年の交政審答申にも盛り込まれた。

ご存じのように品川駅周辺ではリニア中央新幹線の駅開業などをはじめとした大規模な開発が行われており、南北線と繋ぐことで六本木や溜池山王、永田町など都心部へのアクセスはぐっとアップする。

東京メトロもこれまで品川駅へのアクセスはなく、ここを繋ぐことは地下鉄ネットワーク全体に対してもプラスに働くのではないかと思われる。こちらの建設キロ数は2.5㎞で、総建設費は約1310億円。開業目標は有楽町線同様、2030年代半ばとなっている。

ちなみに白金高輪駅から品川駅間は南北の長く伸びる台地の下を通るルートになり、上部には仙洞仮御所、泉岳寺や東海大学高輪キャンパス、多数の寺社などがある。どこをどう通るのか、今後の進展が気になるところだ。

健美家編集部(協力:中川寛子)

健美家編集部(協力:中川寛子(なかがわひろこ))

中川寛子

株式会社東京情報堂

■ 主な経歴

住まいと街の解説者。40年近く不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくり、地方創生その他まちをテーマにした取材、原稿が多い。
宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

■ 主な著書

  • 「ど素人が始める不動産投資の本」(翔泳社)
  • 「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)
  • 「解決!空き家問題」「東京格差 浮かぶ街、沈む街」(ちくま新書)
  • 「空き家再生でみんなが稼げる地元をつくる がもよんモデルの秘密」(学芸出版)など。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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