実は便利で住みやすいエリア
公共施設やホテルの新設ラッシュ!
東京23区の城南地区において、中心的な存在ともいえる大田区蒲田。京浜東北線が通るJR蒲田駅は、新幹線や山手線が乗り入れる品川駅から3番目の駅で、2020年度における1日平均乗車人員は約10万人。これはJR東日本エリア内で19番目の多さを誇る。駅前には大田区役所があり、まさに同区を象徴するエリアだ。

隣接する東急蒲田駅は池上線と多摩川線の始発駅で、前者なら品川区の五反田方面、後者だと多摩川駅で東急東横線・目黒線に乗り換えられる。加えて、JR・東急蒲田駅からも南に10〜15分歩くと京急蒲田駅があり、こちらは羽田駅に直結し、品川駅や横浜駅にもアクセスできる。
JR蒲田駅の東口・西口には大規模な駅ビルがあり、駅前には商店街・繁華街も広がる。日常の買い物や飲食は事足りるので、働くにも住むにも申し分ないエリアと言える。
ちなみに、蒲田というと大規模な繁華街が広がることから「治安が良くない」といったイメージがあるが、蒲田署のデータによると、過去5年間の犯罪件数は減少傾向にある。
そんな蒲田エリアだが、空港や鉄道のアクセスが良いことから、近年はホテルの開業が相次いでいる。
そのひとつが、4月30日に京急蒲田駅前にオープンした「京急EXイン 京急蒲田駅前」。大浴場を設けた全134室のビジネスホテルで、ユニークなのは8階〜14階には賃貸マンションが用意されていること。1Kタイプで家賃は月10万〜11万円前後、光熱費が管理費に含まれた物件となっている。

6月13日には、京急蒲田駅から徒歩3分、JR蒲田駅から徒歩7分の距離に「ホテルリブマックス蒲田駅前」も開業した。両駅間を抜ける商店街に近く、同ホテルが大田区に進出するのは初のこと。ビジネスホテルとしては全国でも珍しく、ペットと同伴宿泊できる。

大田区の人口は2013年に約69万人だったのが、今年6月時点で約73万人にまで増加。東京23区のなかで3番目に多い。そして、大田区の中でも、蒲田東と蒲田西エリアにもっとも人口は集中している。
大田区は高齢化も進んでいるが、年少人口も増加傾向にある。就職時に若者が転居するケースが多いと考えられ、駅から少し離れるとマンション・戸建てがともに多い住宅街になっていて、ファミリー層が住むにも環境は決して悪くない。蒲田駅近くにある「タイヤ公園」などには、週末になると親子連れが殺到するほどだ。
子どもから大人まで幅広い世代が暮らすこともあり、5月5日にはJR蒲田駅から徒歩10分の距離に、自治体による複合施設「カムカム新蒲田」がオープンした。同施設には中高生ひろば、地域包括支援センター、シニアステーション、区民活動施設、子育てひろば、保育園が併設していて、多世代が集まることができる。

JR蒲田駅東口では再開発にいよいよ着手
2040年までの整備完了を目指す
交通や生活環境のポテンシャルは高く、住まいとしてだけではなく、ホテルの増加や飲食店などの充実でビジネス客の滞在にも向いている蒲田。今後はJR蒲田駅東口を舞台に、大規模な再開発計画も始まっている。2020年3月には「蒲田駅前東口駅前地区市街地再開発準備組合」が発足していて、東口駅前に広がる繁華街の一部を対象に、施設の建て替えなどが行われるようだ。
また、大田区は蒲田地域の整備方針を今年度中にまとめる方針で、JR・京急蒲田駅のエリアを対象に、駅前広場や駅関連施設の改修、回遊しやすい歩行空間などを整備。2040年までに完成させるという。東口・西口とも駅前の施設は老朽化が著しく、まちのリニューアルだけではなく、災害に備えたいのかもしれない。
同エリアと言えば、約800m離れたJRと東急の移動も大きな課題で、両駅を蒸すに羽田空港に乗り入れる「蒲蒲線(新空港線)」の整備も急務とされ、大田区と東京都は協議を進めている。計画が実現すれば、蒲田はもっと盛り上がるだろう。
不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、蒲田駅付近の標準的な物件の賃料は直近3年間で0.73%上昇。これは東京都の変動3.92%に比べるとやや低めの水準だ。
対して、標準的な中古マンション価格は直近3年間で18.19%も上昇していて、これは東京都の変動14.33%に比べると、やや高めの水準だ。若者を中心にニーズの高い賃貸マンションの賃料は近隣の区に比べると安いと考えられるので、さらなる需要の拡大が期待される。
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健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))