都市計画の
決定までは完了済
東京都の新宿区はJR飯田橋駅の北西に位置するエリアを「飯田橋駅前地区」に指定し、街づくり方針の策定を進めている。
※引用:新宿区
駅前地区として指定されているのは、JR飯田橋駅の東口を出てすぐのところを通っている目白通りから軽子坂(かるこざか)という通りまでのエリアだ。
軽子坂は神楽坂の北東側に位置している。なお、軽子坂は神楽坂と比較すると静かな通りで、飲食店などが立ち並んでいるわけではない。
2016年には「飯田橋東口周辺地区まちづくり協議会」が設立されており、今年の1月に都市計画決定と用途地域の変更が完了している。
また、今年の2月に街づくりビジョンの素案が策定され、6月に住民説明会と意見募集が行われたところだ。
なお、予定では8月中にビジョンの策定が完了することになっているが、8月25日時点ではまだ新宿区のウェブサイトにアップされた様子がない。
決定された都市計画では、主に対象地域内の建物に関する制限が設けられている。
制限の内容は、例えば性風俗関連・ギャンブル関連の建物を建てられないとするものや、敷地面積の最低限度を65㎡にするなどのものだ。
新宿区が飯田橋駅前の街づくりに取り組んでいる理由は、簡単に説明すれば神楽坂に並ぶような活気のある街を作りたいからだ。
飯田橋駅は、JRの中央・総武線各駅停車に加え、東京メトロ東西線・有楽町線・南北線の合計4路線が通る駅だ。
さらに都内の目抜き通りである目白通りと外堀通りが交差する場所に位置しており、JRの中央線快速は停車しないものの交通利便性がかなり高い。
高い交通利便性を活かした街を作るとともに、古くなった建物を更新することで防災性を高めていきたいと新宿区は考えている。
実際のところ、駅前地区に指定されたエリアには、都市開発によって建てられた新しい建物と、昔ながらの風情を残す古い建物が混在している。
飯田橋駅の北西側はもともと出版・印刷業の企業が多いエリアで、印刷工場なども数多く立ち並んでいた。
しかし、時間が経過して飯田橋駅の周辺でも都市開発が進んだ結果、現在では新旧の建物が混在して機能的にも一貫していない街並みとなっている。
7月に飯田橋駅前地区の中で
再開発準備組合が結成
現在策定されているのは「基盤整備ビジョン」と名付けられており、どちらかというと今後行われるであろう再開発の指針を定めるようなものだ。
ビジョンの中で具体的な再開発建物などの計画が定められるわけではないので、ビジョンが完成してすぐに駅前が大きく変わるというわけではない。
しかし、新宿区としては「区の玄関口を整備する」ことも目標の1つとしているため、ビジョン完成後に行われる再開発はそれなりの規模となるだろう。
なお、駅前地区の一部である下宮比町(しもみやびちょう)に関しては、今年の7月20日に再開発準備組合が結成された。
※引用:新宿区
事業協力者に熊谷組と日鉄興和不動産が選出されており、早ければ2027年度に新しい施設の着工を目指すとされている。
今後の再開発が神楽坂で見られるような活気のある街づくりになるか、今後の飯田橋駅周辺に要注目だ。
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取材・文:
(はたそうへい)