東急百貨店は
2023年1月末で営業終了
渋谷の道玄坂にある東急百貨店本店は2023年1月末を持って営業終了し、商業・ホテル・住宅が入る複合施設に建て替えられることが決まった。
なお、百貨店に併設されているBunkamuraも、コンサートやオペラなどに使われるオーチャードホールを除いて2023年4月上旬から休館となる。建て替え後の複合施設が竣工するのは2027年度の予定。
建て替えを発表したのは、首都圏で事業展開する東急・東急百貨店及び L Catterton Real Estateだ。
L Catterton Real EstateはLVMHというルイ・ヴィトングループの不動産投資・開発会社であり、前身の不動産投資ファンドとなるキャタルトンは1989年に設立されている。
2016年にルイ・ヴィトングループの L キャピタルと合併し、現在の L Catterton Real Estateが設立された。
L Catterton Real Estateはリテール関連の建物開発・投資を主に手掛けており、その実績はアジア・ヨーロッパ・南米など世界各地で200以上に上る。
今回発表された新たな複合施設のプロジェクトは「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」と名付けられた。
複合施設は地上36階・地下4階の建物となるが、既存施設となるBunkamuraの一部は残される予定。
※引用:東急株式会社
新しい建物の下層階はリテール・アート&カルチャーのフロアとなっている。
これは、映画館・演劇用のホール・アートギャラリーなどを擁するBunkamuraの特徴を活かしたいからだろう。
中層階にはホテルが入る予定となっており、こちらに入るホテルのブランドは、香港・中国本土やアメリカで事業展開するスワイヤー・ホテルズに決まっている。
スワイヤー・ホテルズは2008年に北京で事業をスタートして以来、香港・上海・アメリカの東部に位置するマイアミなどに事業展開してきた。日本には今回が初進出となる。
上層階に入るレジデンス部分の詳細はまだ公表されていない。
しかし、東急百貨店本店の裏側には渋谷の高級住宅街である松濤(しょうとう)エリアが広がっているため、普通の分譲マンションとは一線を画したものになると予測される。
「高級な渋谷ブランド」を
確立できるか
東急百貨店の本店は渋谷駅のハチ公口を出て道玄坂を登り切った突き当りにあり、渋谷の都市部と住宅街である松濤とのちょうど境目部分に位置している。
※引用:東急株式会社
東急グループがLVMHグループと組んで新たなプロジェクトを立ち上げた理由は、新しくできる建物を渋谷のランドマークとして、そのブランドを作りたいからと予測される。
東急グループが作りたいブランドイメージは、日本人に広がる「若者の街・渋谷」ではなく、世界的な文化・芸術を身近なものとするハイブランドだろう。
事業主となる3社が連名で発表したプレスリリースでは、建物デザインを担うパートナーについても発表されており、欧米を中心として事業展開しているスノヘッタというところになるという。
スノヘッタはノルウェー国立オペラ・バレエ団の本拠地であるオスロ・オペラハウスなどの建物デザインを手掛けており、長年にわたり世界的に有名な公共・文化施設の名前が実績に並んでいる。
不動産投資の世界では、渋谷は毎月の利回りというより資産性を重視する投資に向いたエリアと言える。
ハイブランドなイメージや世界的な文化を意識した新施設は、渋谷の不動産が持つ資産性を向上させられるか要注目だ。
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取材・文:
(はたそうへい)