2024年に
竣工予定
東京都内の不動産会社である日鉄興和不動産株式会社(以下「日鉄興和不動産」)は、東京都板橋区の浮間舟渡駅付近で大型物流施設の開発を進めている。
※引用:日鉄興和不動産株式会社
浮間舟渡駅はJR埼京線の各駅停車が停車する、赤羽駅から北に2つ目の駅だ。浮間舟渡駅は荒川沿いに位置しており、東京都と埼玉県との県境にあたる。
なお、開発地は都営三田線の西台駅にも近い。都営三田線は目黒から東へ進んで大手町などの都心を経た後に、北の巣鴨から北西に板橋区内を通る路線だ。西台は巣鴨から9駅・約20分で着く位置にある。
そのほか、開発地は首都高の中台インターチェンジに近いため外環道も利用しやすい。
※引用:日鉄興和不動産株式会社
開発地の近隣にはトラックターミナルや卸売市場などの物流関連施設が近いことや、工業専用地域にあたることなどから、日鉄興和不動産は「操業環境に恵まれた場所」と評価している。
実際に、開発地から車で5~6分ほど西へ進んだ先には東京卸売市場の板橋市場がある。また、開発地から西の新高島平駅近辺にかけては各運送会社の拠点が多い。
なお、予定されている施設の規模は敷地面積が約91,000㎡・延床面積が200,000㎡とかなり大きい。敷地面積でいえば、東京ドーム2個分より多少小さい程度となる。
近年では物流関連の業務にロボット技術を取り入れる試みも増えているが、建設規模が大きいだけに、施設が完成すれば近隣での雇用喚起を期待できるだろう。
日鉄興和不動産のプレスリリースにも「物流施設の雇用確保、及び地域の雇用創出にも貢献するものと考えている」旨が記載されている。
記事冒頭の画像でも紹介している通り、開発地の周辺には団地など住宅エリアも広がっているため、近隣に住む住民は多い。
なお、日鉄興和不動産が手掛ける物流施設の「LOGIFRONT」シリーズはこれまでに6件が稼働しており、2021年7月時点ではいずれも満床稼働だという。
※引用:日鉄興和不動産株式会社
高稼働率の背景にはコロナの流行を発端としたEコマース事業の拡大や、古い倉庫を先進的な倉庫へ切り替えるニーズの高まりなどがある。
板橋の新施設でも、高い稼働率に伴う雇用喚起を期待できるだろう。なお、物流施設の着工は2023年で竣工は2024年の予定。
周辺エリアにおける
人口増加のきっかけになるか
浮間舟渡や西台といったあたりは、東京都心の池袋や新宿などへのアクセスが良く、都心に勤務する人が住むのに適したエリアと言える。
一方で、既に解説したように市場があるほか物流企業の拠点も多いため、地元で勤める人も居住しているだろう。
ミクロの視点になるが、予定施設の周辺となる板橋区の高島平及び蓮根における人口推移を検証した。
※参照:板橋区役所
西台は首都高5号池袋線の南側であり、物流施設からは少し離れている。このため、高島平町と蓮根町の人口推移を検証した。
どちらの町もコロナの流行が始まる2020年までは人口が増加していたものの、2021年・2022年はそれぞれ少しずつ人口を減らしている。
2022年1月の人口は2016年1月または2017年1月の人口と同程度だった。
新物流施設には、周辺の雇用喚起とともに、再び人口増加の流れを呼び起こすきっかけとなることを期待したいところだ。
雇用喚起と人口増加が実現すれば、新施設予定地の周辺では、都心に勤務する人と地元で勤務する人との両方の入居を狙えるエリアになるだろう。
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取材・文:
(はたそうへい)