東京圏の国家戦略特別区域の特定事業
2029年度に高さ250mの複合施設が竣工
現在、複数の再開発プロジェクトが進行している東京駅周辺のエリア。今年3月には八重洲に「東京ミッドタウン八重洲」がグランドオープンする予定で、同じく八重洲にある大丸の向かいには、地上54階・高さ250mと地上10階・高さ45mの2棟の複合施設が2025年に竣工する予定。
その2年後には地上63階・高さ390mで日本一となる「Torch Tower」が常盤橋エリアに誕生に誕生する。

同エリアでは、2023年1月に「(仮称)京橋三丁目東地区市街地再開発事業」が、東京都および中央区より都市計画の告示を受けた。2025年度に本体工事が始まり、2029年度には地上51階・高さ250mの複合施設が生まれるという。

出所:プレスリリース
超高層ビルが建つのは、東京駅や東京メトロ銀座線の京橋駅に近接する、中央通りに面した首都高速沿い。東京圏の国家戦略特別区域の特定事業として内閣総理大臣により認可されたプロジェクトで、ビルにはオフィス、ホテル、店舗、駐車場などが整備される。

出所:プレスリリース
同事業の特徴は、回遊性の強化が意識されている点だ。東京高速道路(KK線)の上部空間には歩行者空間「Tokyo Sky Corridor」を整備するとともに、京橋駅との接続により広域な地下歩行者ネットワークを拡充。
地下・地上・Tokyo Sky Corridorをつなぐ歩行者ネットワークの核として回遊性の高い玄関口の形成に寄与するとともに、都市再生への貢献も果たすとされる。Tokyo Sky Corridorとつながる接続空間や縦動線との連続性に配慮した開放的な屋内広場なども整備する方針だ。

出所:プレスリリース
京橋エリアはアート・ものづくりのまちとしての歴史もあり、いまも画廊やギャラリー、古美術品店が集積している。これを鑑み、同事業ではこれら文化に関する発信機能と育成・交流機能を有する「(仮称)アートセンター」を整備。
若手アーティストの作品を発信したり、周辺地区などとの連携やまちなかを活用したアート・ものづくり文化の展開など、多主体連携による取り組みも実施するという。
なお、ビルに入居するホテルは国際競争力強化に資する国際水準を満たすもので、外国人観光客やビジネスワーカーの需要を満たすサービス水準の高い付帯施設も整備する。
本事業は地域の防災対応力強化に向けても取り組んでいる。災害時は帰宅困難者の一時滞在施設として約1500u(約900人相当)を確保し、防災備蓄倉庫も整備。自立・分散型エネルギーシステムとしてコージェネレーションシステムと非常用発電機も整備することで、災害時であっても安定的なエネルギー供給を行う。
高効率な設備機器の導入や熱負荷の低減に配慮した外装計画を採用することで、建物の省エネ化やエネルギー利用の効率化も図り、オフィス部分はZEB-Oriented(外皮の高性能化及び高効率な省エネルギー設備に加え、更なる省エネルギーの実現に向けた措置を講じた建物)達成を目指す。
ビジネスや宿泊、ショッピングなど複数の機能を有するだけではなく、京橋エリアの広域的な回遊性強化やにぎわいの創出にも寄与する「(仮称)京橋三丁目東地区市街地再開発事業」。
JR東京駅を挟んで向かい側、丸の内エリアに比べると雑多なイメージのある八重洲だが、本事業を始めとする再開発事業により、最先端の国際都市に生まれ変わろうとしている。隣接する銀座とも一体感が醸成され、より多くの人が訪れるエリアになっていくだろう。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))