
※引用:中央区
東京高速道路の再生方針として検討中
東京都と中央区は、首都高の路線整備によって交通機能が不要となる東京高速道路について、今後の活用方針を検討している。
東京高速道路とは、築地・汐留付近から有楽町駅前を通って京橋ジャンクションへとつながる高速道路のことだ。

※引用:国土交通省
あまりピンとこない人もいるかもしれない。もっとわかりやすく言うと、有楽町駅前にある数寄屋橋の上を通っている高速道路が東京高速道路だ。

※引用:東京都
日頃から首都高速を利用する人でないとなかなか区別がつかないが、東京高速道路の運営主体は東京高速道路株式会社というところで、首都高とは別物となっている。
これまで、東京高速道路は都心環状線と周辺の首都高路線を乗り継ぎするために利用されてきた。
しかし、2020年に新たな都心環状線ルートを整備建設する方針が決まったことで、今後は道路としての役割が低下することから、東京高速道路の有効活用について検討が始まっている。
橋上に都市空間を整備すると言っても、東京高速道路は1966年に全線開通した道路であり、既に50年以上が経過している状況だ。
また、橋の下には銀座コリドー街の飲食店やGINZA INZなどの商業施設が整備されているため、現状では橋の上に新たな建物を建てるなどのことは検討されていない。

検討されているのは、歩行者用の通路として橋上空間を整備し、将来的には次世代モビリティも通れるようにするというものだ。
単なる歩道として整備するのではなく、キッチンカーなども入れるようにして憩いの場を作るとともに、数寄屋橋交差点などの数か所に眺望を楽しむビューポイントを作ることなどが検討されている。

※引用:東京都
有楽町や銀座周辺には外国人観光客も多く集まることから、回遊性の向上や東京の都市空間をアピールする場になることなどが期待される。
築地方面では「築地川アメニティ整備構想」も
中央区では、東京高速道路の有効活用検討と並行して「築地川アメニティ整備構想」を策定している。
少しややこしいが、「築地川アメニティ整備構想」の対象範囲は「銀座・築地周辺みどりのプロムナード構想」とは少し異なる。

※引用:中央区
築地川アメニティ整備構想の対象範囲は、上記の地図でいうところの緑の点線部分であり、銀座・築地周辺みどりのプロムナード構想からみて南東側に位置するエリアだ。
このエリアは都心環状線の「築地川区間」であり、天井がない半地下構造の道路となっている。

建設されたのは1962年で、すでに60年以上が経過しているため、防災上の観点からも今後大規模な更新が検討されている。
このため、首都高の更新に合わせて高速道路の上にある空間を緑化・回遊空間にしようというのが築地川アメニティ構想だ。

※引用:中央区
こちらも、現状では緑化空間やパブリックスペースの整備が検討の机上に乗っており、新たな商業施設を設けるなどのことは検討されていない。

※引用:中央区
イメージ図を見ると、銀座の橋上整備方針とあまり変わらないものになりそうに思えるが、ここまで大規模な橋上の緑化空間というのは今までの東京にはあまりなかったものだ。
これまでとは違う都市空間の整備という点で、今後の展開に期待したい。
取材・文:
(はたそうへい)