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都営大江戸線の延伸計画が一歩前進。東京都は庁内検討組織を立ち上げ、本格的な議論を開始予定

都市計画・再開発(地域情報)/東京 ニュース

2023/06/01 配信

2000年に全線開業。練馬区・大泉学園付近は
延伸を見据えたまちづくりを推進

東京23区の地下を網の目のように走っている、複数の地下鉄路線。そのひとつが、2000年に全線開業した都営地下鉄大江戸線(以下、大江戸線)だ。

東京都練馬区の光が丘駅から新宿区の都庁前駅までを結ぶ放射部と、同駅から反時計回り都内を環状に走り、再び都庁前駅に至る環状部で構成され、路線距離は40.7㎞、駅数は38にのぼる。

「6の字型」で運行する大江戸線。日本で2番目に鉄輪式リニアモーターミニ地下鉄を採用している。後発で建設されたので、既存地下鉄路線に比べると全般的に駅ホームが深い。画像は光が丘駅。
「6の字型」で運行する大江戸線。日本で2番目に鉄輪式リニアモーターミニ地下鉄を採用している。後発で建設されたので、既存地下鉄路線に比べると全般的に駅ホームが深い。画像は光が丘駅。

1991年に先行して光が丘駅―練馬駅間、2000年4月に新宿駅―国立競技場駅間、同年12月に残りの区間が開業して今日にいたる大江戸線。

コロナ前までに乗車人数は順調に増え続け、1日平均で100万人に迫る勢い。その後は急減したが、2021年度は約67万人と都営地下鉄4路線のなかでももっとも多い。

環状部を中心に沿線で再開発が相次いでいるのが理由で、今後も長期的に利用者は増えると予想されている。

そんな大江戸線には、光が丘駅から同じく練馬区の大泉学園町を抜け、新座市(埼玉県)、清瀬市(東京都)、所沢市(埼玉県)を経て、JR武蔵野線東所沢駅に至る、総延長約12.1㎞の延伸構想がある。

それを示すかのように、開業当時から光が丘駅の構造・配線は将来の延伸を考慮した作りになっていて、全線開業前の1997年から練馬区と清瀬市、新座市、所沢市が会員、狭山市(埼玉県)を準会員とする1区4市が「都市高速鉄道12号延伸促進協議会」を設置したうえで、東京都と埼玉県に延伸を要望している。

大江戸線の延伸予定図。2016年4月の交通政策審議会において、同計画は高く評価され進めるべきプロジェクトに選ばれている。 出所:練馬区ホームページ
大江戸線の延伸予定図。2016年4月の交通政策審議会において、同計画は高く評価され進めるべきプロジェクトに選ばれている。
出所:練馬区ホームページ

延伸は、光が丘駅―大泉学園町区間の練馬区間約4㎞と、大泉学園町―東所沢区間の埼玉区間約8.1㎞の2つにわけて計画されているが、そのうち現実味を帯びているのが前者の練馬区間だ。

今年2月の東京都議会本会議で、小池百合子都知事は大江戸線の大泉学園町までの延伸について町内検討組織を創設することを表明し、本格的な検討を始めることを明らかにしている。

事業化に向けた採算性や費用対効果などを調査するのが、検討組織を立ち上げる目的。今後、東京都は練馬区と連携を図り協議、調整を重ながら、課題解決の方策や進め方について検討を深める方針だという。

計画区間の整備は進んでいる。練馬区内には「(仮称)土支田駅」「(仮称)大泉町駅」「(仮称)大泉学園町駅」の3つの新駅を整備する方針で、これらが設置される都市計画道路補助230号線については、笹目通りから大泉学園通りまでの全長3.2㎞のうち、土支田二丁目付近では練馬区施行の土地区画整理事業により整備を実施。その他の区間も東京都施工で整備を行っている。

道路の整備状況。笹目通りから土支田通り区間は交通開放されていて、土支田通りから大泉学園町区間は用地買収が進められている。 出所:練馬区ホームページ
道路の整備状況。笹目通りから土支田通り区間は交通開放されていて、土支田通りから大泉学園町区間は用地買収が進められている。
出所:練馬区ホームページ

道路の整備を並行して、まちづくりも進行している。無秩序な市街化を防ぎ、魅力あるまちなみへ規制・誘導するのが目的で、新駅予定地周辺を中心に地区計画の決定・用途地域の変更を実施。新たな死活拠点の形成や基盤整備など、延伸を見据えた取り組みを進めている。

延伸地域のまちづくりのイメージ。各駅周辺では商業施設の集積や緑と景観に配慮したまちなみ、生活道路の充実などが計画されている。 出所:練馬区ホームページ
延伸地域のまちづくりのイメージ。各駅周辺では商業施設の集積や緑と景観に配慮したまちなみ、生活道路の充実などが計画されている。
出所:練馬区ホームページ

検討組織の立ち上げにより、一歩前進した大江戸線の一部延伸計画。練馬区北西部には最寄り駅まで1㎞以上離れ、都心などへアクセスするには交通の不便な鉄道空白地があり、延伸はこれを改善し地域の発展に貢献する可能性が極めて高い。

区北西部と新宿副都心間の移動時間も大幅に短縮される。例えば、西武池袋線の大泉学園駅から新宿駅までは58分かかるが、(仮称)大泉学園町駅ができると37分と、21分も短くなる。鉄道ネットワークが充実することで道路の混雑緩和や交通安全への寄与、自動車が減ることによるCO2排出量の削減なども考えられる。

本格的な検討・議論はこれからだが、実現に向かうにつれ練馬区北西部に対する注目度は、より高まっていくだろう。今後の動向に注目したい。

健美家編集部(協力:大正谷成晴(おしょうだにしげはる))

大正谷成晴

■ 主な経歴

フリーランスの編集・ライター。
不動産投資、株式投資、投資信託、FXなどマネー関連、ビジネス全般、働き方、副業、クレジットカード、医療・介護など、幅広いジャンルで取材・執筆を行っている。

■ 主な著書

  • 『決定版 1万円からはじめるFX超入門』(かんき出版)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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