
※引用:東京都競馬
劇場・商業施設・オフィスを含む複合施設を開発
東京都品川区の大井競馬場などを運営する東京都競馬株式会社は、稼働率が低下した大井競馬場第3駐車場を活用し、複合施設を建設すると発表した。
「東京都競馬株式会社」という会社名を耳慣れないと感じる人もいるかもしれない。
プロ野球など他のスポーツでもよくあることだが、競馬場の運営と競馬事業の運営者は別々に分かれている。
競馬事業そのものはJRA(日本中央競馬会)が担っている一方で、競馬場の運営・維持管理は、東京都競馬などの別会社が管轄している。東京都競馬は大井競馬場の運営者というわけだ。
なお、東京都競馬は、大井競馬場のほかにも群馬県にある伊勢崎オートレース場を伊勢崎市に賃貸しているほか、西東京・あきる野市の遊園地である東京サマーランドを経営している。

※引用:東京都競馬
複合施設の建設現場となる大井競馬場第3駐車場は、大井競馬場から見て北に隣接する場所に位置している。

※引用:東京都競馬
大井競馬場の最寄り駅は東京モノレールの大井競馬場前駅だ。東京モノレールは浜松町から羽田空港までをつないでいる。浜松町から大井競馬場前までは、2駅で所要時間は8分だ。
そのほか、京浜急行の立会川駅からも徒歩10分の距離となっている。品川から立会川までは、急行で5分・各駅停車で10分だ。

東京モノレールと京浜急行は羽田空港までつながっており、競馬場周辺には倉庫も多数立ち並んでいることを鑑みれば、特に物流関連の企業にとっては良い場所と言えそうだ。
実際に、大井競馬場前駅の周辺にある倉庫は、佐川急便や三井物産の関連会社などに使われている。
計画建物は東西で2つに分かれており、東側で計画されているのは商業・オフィスビル。こちらは地上8階建てで、1階から3階までが商業施設、4階から8階までがオフィスとなる。
なお、計画地の隣には「ウィラ大井」というショッピングモールが建っており、こちらの管理運営も東京都競馬が担っている。

※引用:ウィラ大井
計画建物の東棟はウィラ大井と連絡橋で接続される予定。近隣住民にとっては買物が便利になりそうだ。
西側の建物は地上4階建てで客席約750席を備えるミュージカル劇場となる。
品川区と言えば大井町に劇団四季の劇場があったが、コロナの流行と大井町駅前の再開発に伴い2021年に閉館していた。
現在では、劇団四季は有明の劇場で公演をしており、再開発建物の劇場にどの劇団が来るのかは不明だ。
しかし、品川からもアクセスが容易な場所に劇場ができるとなれば、多くの人を集めることになるのではないだろうか。建物のオープン予定は2024年4月となっている。
品川・大井町周辺の開発と相乗効果を期待
前述の通り、大井競馬場は品川・浜松町から電車・モノレールで10分前後の距離にあり、港区の都心からそう遠くない。
また、品川駅から高輪ゲートウェイ駅までのエリアでは再開発が盛んであり、隣駅の大井町駅前でも再開発が進んでいるところだ。
大井競馬場の駐車場跡地開発は、上記の再開発と比べれば規模が小さいものの、交通アクセスの良さから特に法人の需要は高いと予測される。各地で相乗効果が発揮されることを期待したい。
取材・文:
(はたそうへい)