東北地方の一角である福島県。県庁所在地の福島市は県北部にあり、飛行機を使えば、国内の主要空港から1時間と少し、新幹線なら東京から1時間、仙台からだとわずか25分という好立地。
東北自動車道も通っていて、交通の要衝として知られる場所だ。福島県の人口はおよそ185万人だが、そのうち約28.5万人は福島市に住んでいる。
街の中心部である福島駅には、JR東北本線や東北新幹線、阿武隈急行の阿武隈急行線、福島交通の飯坂線が乗り入れているが、このエリアでいま、新たな再開発プロジェクトが始まろうとしている。

福島駅東口の老舗百貨店・ホテル跡地で
巨大複合施設の再開発プロジェクトが本格開始
福島市では行政や事業協力者の野村不動産などが、「福島駅東口地区第一種市街地再開発事業」を進めていたが、今年に入り都市計画が決定。再開発組合が発足してプロジェクトを推進し、2025年には新ランドマークが竣工する予定だ。
計画地は東口の目の前。1973年9月に竣工した、地上10階、地下3階で、福島唯一の百貨店だった「中合福島店」や「ホテル辰巳屋」が入る、「辰巳屋ビル」が建っていた場所だ。
ホテルは昨年8月で閉店していて、中合福島店も8月31日に営業を終え、県都の顔は146年の歴史に幕を下ろした。辰巳屋ビルに隣接し中合福島店の2号館が入っていた「平和ビル」や、その隣のビルなども、再開発プロジェクトの対象になる。
ただし、建物の解体が始まるのは22年度の予定で、それまでは農産物などを販売する商業スペースや市民の交流の場として活用するという。
1階はスーパー、2回にはNHK朝ドラ「エール」のモデルになった同市出身の作曲家、古関裕而に関する展示、震災10年を節目に企画する復興パネル展などが開催される見通しだ。
再開発はかなり大規模で、建設面積は約1万1000u、延床面積は約8万3000u。ここに、商業施設や公共施設、ホテル、分譲住宅など3棟の複合ビルが建つ。目標利用者は32万人を想定していて、事業協力者の野村不動産は、開発コンセプトに基づき4つの空間を創出すると発表している。

出典:野村不動産プレスリリースより
商業施設やいこいの場となる広場があることで市民が集まり、コンベンション機能を整備すれば広域からの集客も期待できる。都市機能が集積した街の中心部に分譲住宅を建てて居住を促せば、コンパクトシティの形成にもひと役買うだろう。いまの地方都市が抱える課題を解決するコンセプトと言えるだろう。
近隣にも新たな施設が続々とオープン!
進化し続ける福島駅前の光景
福島市は「風格ある県都を目指すまちづくり構想」を掲げていて、そのなかでは「中心市街地を県都にふさわしい魅力あふれる広域的な拠点都市、県北全体さらには県下全体に貢献できる風格ある県都を目指すまちづくりを進めていく必要がある」と明言。「広域的な拠点地区として活力のある街づくりを推進」「魅力的で賑わいのあるまちづくりを推進」「まちを楽しみ、すごせるシンボル軸・回遊空間づくりを推進」「快適で住みやすいコンパクトなまちづくりを推進」「みんなが三区市、連携するまちづくりを推進」という、5つの基本方針を掲げている。
また、都市機能などの強化に重点的に取り組むエリアとして、「福島駅前周辺エリア」「市役所周辺エリア」を挙げていて、今回の再開発はその一環と言えるだろう。

出典:福島市「風格ある県都を目指すまちづくり構想」より
福島駅東口には、昔ながらの店と新しい店が融合した「駅前通り商店街」があり、にぎわいのあるスポット。その一角が生まれ変わることで、駅前の光景は一変するだろう。
今回の再開発プロジェクトの隣接地には、来年4月に福島医科大学の健康保険科学部(仮称)のキャンパスが開校する予定で、同じく東口にある、街なか広場の脇には11月にテナントビルの「Lamp120(ランプイチニーマル)」、その隣にも来年5月に「福島本町ビル(仮称)」が建つ予定だ。
街の中心部にさまざまな機能が集まることで空洞化に歯止めがかかり、県内外から多くの人が訪れるのでないだろうか。
健美家編集部(協力:大正谷成晴)