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被災地の福島県・いわき。再開発で駅ビル増築・タワーマンションが建設中。全線復旧の常磐線沿線では復興が進む

都市計画・再開発(地域情報)/仙台/東北 ニュース

2022/06/29 配信

いわき駅
いわき駅

東日本大震災と福島第一原発で被害を受けた、福島県いわき市では、近年、復興が進み、中心市街地の再開発が始まっている。いわき駅南口でタワーマンションの建設が着工され、いわき駅ビルも大規模増築中だ。

また、令和2年3月に全線が復旧した常磐線沿線で進む、震災原発被害からの復興にも注目したい。

東日本大震災で被害を受けたいわき、駅ビルと南口の大規模再開発

福島県・いわき市は、東北地方の東南端に位置し南端では茨城県に接する。東北地方では仙台市に次ぐ人口規模で、現在は33万人を擁する。

平成23年3月11日の東日本大震災で被害を受けた。主に震災直後の津波によって建物、ライフラインは大きな被害を受け、住宅は一部損壊を含めると約9万棟、公共施設も、市役所や消防施設、学校、病院など多数の施設が損壊被害を受けた。

市の北部は東京電力福島第一原発から30キロ圏内にあり、同原発事故の自主避難地域に指定された。市の主要路線であるJR常磐線は、津波被害と同原発事故の影響を受け、不通となった地域もあった。

小名浜港背後地震災復興土地区画整理事業の概要 出典:いわき市
小名浜港背後地震災復興土地区画整理事業の概要 出典:いわき市

津波被災した沿岸地域は、嵩上げした海岸堤防を建設するとともに防災緑地とし、震災復興土地区画整理事業により、被災住宅を高台の住宅街に集約・移転した。

特に、9割が津波浸水被害を受けた小名浜港背後地区では、被災前から重要港湾として、「港と一体的なまちづくり」に向けて再開発が計画されていた。被災後は、再開発に「津波非難を含めた防災対策」の機能も加えて検討をおこない、復興のシンボルとして、交通ターミナルの整備、国庁舎の移転がおこなわれた。平成30年6月には、イオンモールいわき小名浜のグランドオープンに合わせ、復興まちびらきが完了している。

「いわき駅並木通り地区第一種市街地再開発事業施行地区」出典:いわき市
「いわき駅並木通り地区第一種市街地再開発事業施行地区」出典:いわき市

復興の再開発と足並みを合わせるように、いわき市の中心市街地でも再開発が進められた。平成29年3月には、いわき駅周辺地区が中心市街地活性化計画区域に認定され、中心市街地の都市機能の活性化を図ることとなった。同年12月には、いわき駅並木通り地区再開発事業が策定され、翌30年1月には再開発準備組合が設立された。再開発事業の施行地区は、いわき駅南口の西側に位置し、約1.1ヘクタールに及ぶ。

令和元年7月に正式に組合が設立され、再開発事業が本格化。同地区は「並木の杜シティ」と名付けられた。2つの街区からなり、1街区には4階建ての商業棟(店舗・事務所等)、2街区には地上21階建て、高さ70メートルの住宅棟(216戸の住宅及び店舗・医院)と駐車場棟(市営駐車 場・居住者用駐車場・駐輪場)が建築される予定だ。令和3年8月には既存建物の解体に着手。令和4年2月には、2街区のタワーマンションの建設が着工された。

並木の杜シティ建設予定地
並木の杜シティ建設予定地

また、いわき駅の駅ビルも、令和2年7月、JR東日本が大規模増築に着手しており、200室超のホテルおよび商業施設が新設される予定である。

このような背景もあり、いわき市中心市街地の公示地価は、震災後の平成24年度を底にして毎年度漸増しており、投資対象の地域として注目される。

全線復旧した常磐線では復興が進みホープツーリズムの拠点としても注目

いわき市を通るJR常磐線沿線では、近年、全線の復旧とともに、生活インフラの復旧や災害復興が進み、復興関連施設が建設されている。

常磐線は、一部地域が東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故により、帰還困難地域に指定されたことから、事故以来9年間、一部不通となっていた。JR東日本は、平成28年から除染や線路の移設、橋の復旧工事などを進めた。同原発に近い双葉駅は新築され、第二原発最寄りの富岡駅も移築された。令和2年3月に、不通となっていた富岡-浪江間が開通し全線が復旧した。いわきから浪江までは、約1時間である。

令和4年6月現在の帰還困難地域等 出典:福島県
令和4年6月現在の帰還困難地域等 出典:福島県

浪江町や双葉町などの地域は、現在も帰還困難地域が残るが、常磐線の開通とともに一部解除となっている。

平成30年11月には、福島第二原発のある富岡町に「東京電力廃炉資料館」がオープンした。東京電力が、福島原発事故の事実と廃炉事業の現状などを伝える施設として開設したものだ。原発事故当時の記録や原子炉の状況、廃炉事業などを映像や模型などで再現し、実際に事故の当事者となった東電側しか分からない詳細な情報を、できる限り分かりやすく、五感に訴えて伝えている。入館料は無料、展示内容の公開は、専門員の解説付きのツアー方式となっている。

出典:東日本大震災・原子力災害伝承館
出典:東日本大震災・原子力災害伝承館

令和2年9月には、事故の中心となった福島第一原発のある双葉町に、東日本震災・原子力災害伝承館がオープンした。原子力災害の復興の記録や教訓の継承、復興への寄与を掲げている。展示は、原発事故の発生原因に関する資料のみならず、原発事故の被害を受けた県民の生活や想いを証言映像、思い出の品などから丁寧に伝える。除染や風評被害、健康への取組など、長期化する原子力災害の影響についても展示資料がある。実際に震災の被害を受けた語り部による講話が毎日開催されており、生の体験談を聞くことができるのも、大きな特徴だ。

福島県の観光協会では、このような地震・津波・原子力災害の施設を巡り、復興に向けて挑戦している福島のありのままの姿を体感することで、持続可能な社会づくりや自身の行動変容に生かそうという「ホープツーリズム」を提案している。こうした新しい観光体験を求める旅行客の増加にも期待したい。

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取材・文:佐藤永一郎(さとうえいいちろう)

FP不動産投資よろず相談所

■ 主な経歴

筑波大学大学院修了。2級FP技能士。
会計事務所で約10年、中小企業、不動産オーナーの節税コンサルティングや融資サポートなどに携わる。 スタートアップのCFO、監査役などを経て、築古戸建ての不動産投資家として独立。
不動産投資のコンサルオフィス「FP不動産投資よろず相談所」を運営。不動産投資や税金をテーマとした執筆活動もおこなう。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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