3月18日に無人駅として新たに開業
イオンモールに隣接し買い物客には朗報
田沢湖線は、秋田県大仙市の大曲駅から岩手県盛岡市の盛岡駅までを結ぶ、JR東日本の鉄道路線。路線距離は75.6㎞で、そのほとんどは無人駅だ。
そんな田沢湖線の盛岡駅と大釜駅の間に、新駅となる前潟駅が3月18日に開業した。同駅は盛岡市とJR東日本が公共交通利用の促進を図るため、2021年12月23日に施行協定を締結したうえで設置工事を翌年4月から進めていたものだ。
新駅は商業施設「イオンモール盛岡」の北側に隣接する形で整備。1200㎡の敷地に鉄骨平屋建の駅舎が建てられ、待合室や階段、バリアフリーに対応したスロープを備えている。他の駅と同様無人駅として運営する。なお、JR東日本は北東北3県におけるSuica利用エリアの拡大を進めていて、同駅でもSuicaを含むIC乗車が可能になっている(サービス開始は5月27日を予定)。
駅前には広場もあり、ロータリーやバイク置き場、駐輪場、トイレもあり、これらを含めた総事業費は12億円弱。盛岡市は通勤・通学や買い物などで、1日あたり約1700人の利用を見込んでいる。
同駅の開業により人が集まるようになれば、駅周辺に賑わいが生まれ、まちの活性化につながるかもしれない。近年は脱炭素の動きから鉄道利用が注目されていて、CO2の排出量削減にも貢献するだろう。イオンモール盛岡の周辺は週末になるとかなり渋滞するようで、その緩和も期待される。
一方、朝の時間帯に増便したものの田沢湖線の運行本数自体は少なく、車社会のなかで新駅の存在がどれだけの鉄道利用に結び付くかは未知数だ。利用者増が明らかに増え鉄道本数がさらに増えるなら、新駅や沿線のまちづくりが活性化する可能性もある。
近年は、大規模商業施設の隣地に新駅が設置されるケースも目立つ。例えば、前潟駅が開業するのと同じ3月18日には、京葉線新習志野~海浜幕張間に新駅・幕張豊砂駅が開業。国内有数の規模を誇る「イオンモール幕張新都心」に直結している。
同駅は内装に千葉県産木材が使われていて、車両基地の真横にあることから、下りホームからは留置車両や入出庫する車両を見学することができる。JR東日本は駅前にホテルを建築中で、2024年春に開業する予定だ。新駅の開業をきっかけに周辺地域の活性化が見込まれていて、前潟駅でも新駅効果で近隣を訪れる人が増えると、さらなる新たな施設や交流拠点の誕生につながっていくかもしれない。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))