愛知県の中部に位置し、名古屋市・豊田市という東海地区を代表する2大経済都市に挟まれた日進市は、長らく「ナゴヤとトヨタのベッドタウン」と呼ばれてきた。
そんな日進市の玄関口が『赤池』駅だ。名古屋市営地下鉄鶴舞線の始発駅であり、豊田都心へ向かう名鉄豊田線にも乗り入れているため、“名古屋と豊田の交通結節点”としての重要な役割を担っているのだが、駅周辺には昔ながらの田園地帯が広がっており、地主たちがなかなか先祖代々の土地を手放さず、地域開発から取り残されてきた。

しかし2010年、赤池駅の南側約40ヘクタールにわたる地域で『日進赤池箕ノ手土地区画整理事業(ステーションシティ日進赤池ヒルズ)』がスタート。鬱蒼と茂る竹林や細い路地が入り組んでいた駅南地域が新たに開発されることになり、赤池駅周辺の機能が大きく変わりはじめた。
『プライムツリー赤池』の開業で
“人が集まるショッピングタウン”に
赤池駅に人を呼び、駅前の人流を変えた立役者とも言えるのが、セブン&アイホールディングスが運営する大型ショッピングモール『プライムツリー赤池(2017年11月開業)』だ。
セブン&アイホールディングスの複合商業施設といえば、川崎市・武蔵小杉駅前の『グランツリー武蔵小杉』がお馴染みだが、同社が東海地方初進出の地として選んだのが、ここ赤池だった。


こうした街の進化を受けて、『赤池』駅の乗降客数にも変化が見られた。区画整理事業がスタートしたばかりの2011年度当時は乗車人員が年間968万人だったが、区画整理が進み『プライムツリー赤池』が開業した翌年の2018年度には年間1123万人に。
一日あたりの利用者が約4200人増えた計算になる(郊外の小さな駅でこの変化は大きい)。その後も順調に乗降客数は増え続けており、「降りたくなる駅・住みたくなる駅」へと変わりつつある様子が窺える。※名古屋市営地下鉄各駅乗車人員の推移より。
東海エリアの大動脈「国道153号線」に近く、
マイカー利用も便利
そもそも「名古屋と豊田の交通結節点」という高い立地ポテンシャルに「エリア最大級の大型ショッピングモールが誕生」というトピックが加わったことで注目が集まっている赤池だが、この地域への期待感を押し上げるもうひとつの理由は『国道153号』にある。

名古屋から豊田方面までマイカー通勤をする人も多く、常に車の交通量が多い国道153号だが、従来の赤池は“通り過ぎるだけの街”だった。
しかし大型ショッピングモールが強力な集客装置となったことでマイカーの流れも変化。休日ともなると『プライムツリー赤池』の周辺は駐車場待ちの車で大渋滞を起こすなど、クルマと人が溢れる状態になっている。

また、国道153号周辺には大学のキャンパスが複数点在しており、赤池駅発着のスクールバスが頻繁に運行しているのだが、これまで乗り換え利用だけで駅をスルーしてきた学生たちも、赤池の街の変化を敏感にキャッチしている。新しく整備された街を歩き、その魅力を知ることで“若者たちが赤池に暮らす”という可能性も今後広がりそうだ。
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『日進赤池箕ノ手土地区画整理事業(ステーションシティ日進赤池ヒルズ)』の事業完了は2023年度の予定。区画内には4か所の公園のほか、マンションや一戸建ての建設も進められており、日進市の事業計画では1461戸・3565人がこのエリアに流入すると想定されている。
のどかな住宅街から一大ショッピングタウンへと急成長を遂げたものの、現段階ではまだ発展途上にある日進市赤池。開発完了に伴い更なる人流増加が期待されるため、今なら不動産投機を狙うことも可能だろう。
健美家編集部