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名古屋市が新交通「SRT」の導入を表明。快適な移動空間を実現することで住みやすさも向上する?

都市計画・再開発(地域情報)/名古屋/東海 ニュース

2023/04/28 配信

「名古屋交通計画2030」を策定
最先端モビリティ都市の実現を目指す

中部地方最大の都市として知られる、愛知県名古屋市。日本三大都市のひとつで、大手企業のビジネス拠点が集積し、観光名所もふんだんにある。1889年の市制施行時の人口は約15万人だったが、1969年には200万人を突破、近年はおよそ232万人で推移している。

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海上空港のセントレア空港、鉄道はJR東海や名鉄(名古屋鉄道)、近鉄(近畿日本鉄道)、名古屋市営地下鉄など交通網が充実していて、全国からのアクセスはもちろん市内の移動もしやすい。

道路中央分離帯上の高架専用区間をハンドルなしに走行する「名古屋ガイドウェイバス」、車輪がレールの上を走らない磁気浮上式鉄道の「リニモ」など、従来の交通機関と異なる機能・特性を持つ新交通システムが実施されているのも、名古屋市の特徴だ。今後はリニア中央新幹線の開業も控えている。

そんな同市では、今後の交通を取り巻く環境変化をとらえ、基幹バス・ガイドウェイバスに代表される公共交通ネットワークや都市空間などの「既存ストック」に自動運転技術やAI技術といった先進技術を活用し、誰もが快適に移動できる「最先端モビリティ都市」実現を目指すための「名古屋市交通戦略2030」が、昨年2月に名古屋市交通問題調査会から答申。

これを踏まえ、まちづくりと連係した新たな総合交通体系として「名古屋市交通計画2030」が今年3月に策定された。

同計画では、人口減少や高齢化の進展、新型コロナウイルス感染拡大による新しい生活様式の定着などにより、公共交通の利用者数が今後も減少することを懸念。

一方、リニア中央新幹線の開業により東京・名古屋・大阪の三大都市圏が約1時間で結ばれる「スーパー・メガリージョン」が形成され、その中心に位置する名古屋は交流拠点、玄関口としての役割が一層重要になるとし、名古屋駅のスーパーターミナル化による乗り換え利便性の向上やまちづくりと連携した利便性の高い交通環境の形成が必要と訴求している。

名古屋駅のスーパーターミナル化のイメージ。搭載の駅前広場周辺の再整備、高速道路とのアクセス性の向上、ゆとりある地下歩行空間の形成などにより、多様な移動手段の乗り換えを円滑にする。 出所:名古屋市交通計画2030
名古屋駅のスーパーターミナル化のイメージ。搭載の駅前広場周辺の再整備、高速道路とのアクセス性の向上、ゆとりある地下歩行空間の形成などにより、多様な移動手段の乗り換えを円滑にする。
出所:名古屋市交通計画2030

同計画では、スーパー・メガリージョンが形成される機会を活用し、持続可能な公共交通ネットワークの構築や公共交通の利用者増を目指すことも明言。

高齢者や子ども、障がい者、外国人などの誰もが外出し、出発地から目的地まで移動することができる、多様なニーズに対応するための移動手段が必要になるとし、パーソナルモビリティやデマンド交通、シェアリングといった新しい交通手段や仕組みを活用すると述べている。

具体的な取り組みとしては、持続可能な公共交通ネットワーク形成に向けたガイドウェイバスへの自動運転技術の実装などが挙がっているが、リニア中央新幹線の開業向けた広域交通環境の形成に向けては、「名古屋駅周辺における交通機能の強化」、さらには回遊性を高めるための新たな路面公共交通システム「SRT(Smart Roadway Transit)」の導入を早急に実施する重点施策としている。

SRTは言うなれば、専用レーンを走るタイヤベースのモビリティのこと。連節バスかつフラット低床型の乗り物で、バリアフリー性・高い輸送力を兼ね備え、レールや鉄道設備を使わず導入ができ、自動運転にも対応できるのが特徴だ。

名古屋市では2017年の「新たな路面公共交通システムの導入に係る基本的な考え方」で、LRT(Light Rail Transit)やBRT(Bus Rapid Transit)の優れた面を併せ持つ最先端のモビリティシステムの導入検討を始め、2019年には「新たな路面公共交通システムの実現を目指して(SRT構想)」策定。令和に入り、連結バスと燃料電池バスの試験走行などを始めていたが、ここにきて早期の実現を目指すこととなった。

SRTのイメージ。既存の基幹的公共交通と一体となりまちのにぎわいを高め交流を促進する交通環境の実現を目指す。 出所:出所:名古屋市交通計画2030
SRTのイメージ。既存の基幹的公共交通と一体となりまちのにぎわいを高め交流を促進する交通環境の実現を目指す。
出所:出所:名古屋市交通計画2030

気になるルートだが、現時点では名古屋駅から栄までを結ぶ東西ルート、これらと大須や名古屋城などを環状につなぐ周回ルート」の事業化を目指すとされている。来年度までに検討を進め、2030年度をめどに段階的に導入を進める方針だ。

SRTの運行イメージ。まちをシームレスにつなぎ、ストレスフリーで楽しい移動を提供する。 出所:名古屋市「SRT構想」
SRTの運行イメージ。まちをシームレスにつなぎ、ストレスフリーで楽しい移動を提供する。
出所:名古屋市「SRT構想

過去に実証実験を行っていて、今回の計画では早急に実施すべき取り組みとして挙げていることから、名古屋市がSRTの実現に向け本腰になったのは明らかなこと。

これによりまちの回遊性は高まり、既存のモビリティと組み合わせることで、スムーズな移動が実現するだろう。ビジネスや観光、ショッピングなど、さまざまな目的で名古屋市中心部を訪れる人は多く、リニアが開業すると、その数が激増するのは明らかなこと。こういった事態に対応するに違いない。

また、リニアの中心部に位置する名古屋は、利便性の高い地域として、今後ますます注目されていくだろう。今年度から同市の人口は緩やかに減っていくという推計もあるが、果たしてどうだろうか。

住みやすく首都圏に比べると穏やかな物価・地価を魅力に、周辺も含めて人が集まる可能性もある。公共交通網がこれだけ発達するのであれば、なおさらのことだろう。そんなポテンシャルを名古屋は秘めている。

健美家編集部(協力:大正谷成晴(おしょうだにしげはる))

大正谷成晴

■ 主な経歴

フリーランスの編集・ライター。
不動産投資、株式投資、投資信託、FXなどマネー関連、ビジネス全般、働き方、副業、クレジットカード、医療・介護など、幅広いジャンルで取材・執筆を行っている。

■ 主な著書

  • 『決定版 1万円からはじめるFX超入門』(かんき出版)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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