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学生の多い街には懸念も!2021年の賃貸市場は地域差拡大?負け組・東京、意外な勝ち組・千葉、大阪

調査/賃貸市場 ニュース

2021/01/25 配信

1月〜3月はいわゆる繁忙期だが、2021年は状況が変わりそうだ。

移動が減るのはもちろん、地域ごとに賃料、空室率に差が出るとは不動産評価サービスのタス・主任研究員の藤井和之氏。実際の動きや懸念について地域ごとに聞いてきた。

「賃料は下がらない、下がっていない」は本当か

ところで、地域別の状況を見ていく前に、ひとつ、大きな問題を提起しておこう。コロナ禍以降、各種の統計等を見る限り、賃料は下がっていない。どころか、逆に上昇傾向にある。

それを見て、やはり不動産の中でも投資対象として住宅は強い、いつでもニーズがあると心強く思っている人も少なくないと思うが、それは本当かと藤井氏は疑問を投げかける。

一般に日本の賃料の動きには遅効性があると言われる。これは大半の契約が2年という長期になっているため。アメリカなどでは半年、1年という契約が多く、賃料更改はその期間で行われる。

当然、景気の動きを敏感に反映、賃料が上下動することになるわけだが、2年の契約となるとリアルタイムとは言い難くなる。それが遅効性の原因である。だから、現状、景気が悪くなりつつあるとしても、賃料自体は変化がない、それどころか上昇しているということになるわけだが、その理由のほかに、そもそも、統計の対象となる物件に実勢との隔たりがあるのではないかと藤井氏は考えている。

「賃貸物件には大きく3種類があると考えています。ひとつは満室で稼働している物件。ふたつ目は現在、募集をしている物件。これは不動産会社に仲介を依頼している物件で、REINS(レインズ)に掲載される物件でもあり、私たちはこれらの物件を対象として集計、データとしています。ところが、実際にはもうひとつの物件があります。それは経営が難しくなってきており、ポータルサイトに掲載する費用が捻出できないような物件です。

なぜ、そうした物件があると考えるかというと、消費者物価指数の中では民営賃貸住宅の家賃は年々下がり続けているからです。消費者物価指数算出に当たっては国勢調査が参考にされていますが、そこには経営難に陥っているだろう物件も含まれています。それが下がっているということは3種類の賃貸物件全体では賃料は下がっていると考えるのが妥当ではないかと思うのです」。

だが、民間の統計のベースとなっているのはきちんと経営が成り立っている物件だけである。賃料が安く、経営が成り立たない物件は市場から退場していくため、統計では安い物件は存在しないことになる。となれば、統計は上ぶれする。賃料が落ちず、上昇しているという結果になるのである。

実際問題としてデータとして使えるのは市場にある物件情報のみである。そのため、今後、データを変更するのは至難。現状のデータを参考に市場を考えていくしかないわけだが、それを読む身としては「下がらない」ことを妄信しないようにするのが正しい姿勢だろう。

この統計に限らず、どんな統計にも絶対はない。それを知った上で冷静に統計と対することが大事だろう。

東京23区はひとり、ボロ負け状態

続いて2021年の賃貸市場の見通しだが、最初に全体をざっくり説明すると、東京23区がひとり、ボロ負けしており、それ以外の道府県の影響は意外に思えるほど軽微である。特に首都圏ではこれまでなら東京23区に流入するはずだった人たちが他の3県に流入あるいは留まっており、千葉県では空室率が改善されているほどである。

首都圏以外では愛知県の空室率が上がっているが、これはコロナ禍以前からの消費税増税による自動車産業の落ち込みにコロナが拍車をかけたというところだ。

さて、ではまず、もっとも影響を受けた東京23区。幾多の既報の通り、2020年2月までは月に6500世帯(12カ月移動平均)ほどの流入があったものが、2020年9月には2700世帯余にまで減少。人口の減少も話題になった。

その一方で賃貸住宅の供給自体はそれまでが好調だった分、高い水準を維持しており、コロナ禍でも貸家着工戸数自体はほとんど影響を受けていない。つまり、物件は増えるが、借りる人は減っているという状態である。今後、東京23区では需給のギャップが拡大、空室増もあり得る。

当然、賃料下落が気になるが、それについては前述した通り、遅効性があるため、今すぐどうこうということは考えられない。だが、リーマンショック後には有効求人倍率が1倍を切って1年後以降に賃料が下がっており、今回も有効求人倍率、つまり景気の動向次第では家賃下落もあり得る。数値の変動に注目したいところである。

多摩エリアにはコロナ以外にも危険が

多摩エリアでは23区ほど世帯数の増加幅は減少していないものの、同地区はそもそも住民票を移さない人口流入=学生が多い。本来は統計には出てこない人口流入があるわけだが、それがコロナ禍で激減している可能性がある。

よく言われているように、オンライン授業が主体になったため、大学近くに引っ越すのをやめ、自宅で過ごしている例なども増えているはずで、多摩エリアの学生ニーズはかなり減少しているのではなかろうか。

しかも、多摩の学生ニーズ消失は今に始まった話ではない。一度は多摩に移転した大学が次から次に都心回帰しており、そもそも学生数が減っているのである。2023年には中央大学法学部が文京区に移転することになってもおり、多摩エリアで学生を対象に考えるのは無理と考えるのが妥当だろう。

横浜〜川崎の狭小ワンルームが神奈川県のネック

首都圏他県の影響は比較的軽微だが、懸念がないわけではない。神奈川県の場合には20u未満、築10年以内という、市場ではあまり選ばれないワンルームが多数供給されているエリアが広範にあり、その地域には賃料下落、空室率上昇の危険がある。

神奈川県で礼金・敷金が取れていない、貸し手の立場が弱いエリアがどこかが分かる
神奈川県で礼金・敷金が取れていない、貸し手の立場が弱いエリアがどこかが分かる
礼金・敷金が取れていないエリアとワンルーム20u以下のエリアが重なる。この図は10年超なので、これなら仕方ないと思うかもしれない
礼金・敷金が取れていないエリアとワンルーム20u以下のエリアが重なる。この図は10年超なので、これなら仕方ないと思うかもしれない
だが、10年以内と比較的新しくても狭い物件が多く供給されてもいる。古くて競争力が無くなっているのではなく、新しくても競争力がない。これはまずい状況
だが、10年以内と比較的新しくても狭い物件が多く供給されてもいる。古くて競争力が無くなっているのではなく、新しくても競争力がない。これはまずい状況

「横浜市から川崎市にかけて、沿線では京浜東北線、京急線、相鉄線にかけて比較的築年数は新しいのにも関わらず、市場では不人気な狭いワンルームが集中して供給されている地域があります。

そのエリアでは礼金、敷金が取れなくなっており、コロナ下での広い住まいを求める流れにも逆行するもの。神奈川では駅の近くにあるマンションは人気があるのですが、駅から遠く、狭い物件は不人気。消費者は正直です」。

単身者向けの古い物件がだぶつく埼玉県

埼玉県も同様に築年数の古いワンルーム、1K、2Kなどといった選ばれにくい物件が多く、そうした物件の空室率は高くなっている。

千葉県は首都圏では勝ち組

首都圏各県で唯一、空室率TVI(タス空室インデックス)が改善しているのが千葉県である。他の都府県では空室率はわずかながらも悪くなっているのだが、千葉県だけは1年前の2019年10月に16.44だった空室率TVIが2020年10月に14.50と1.94ポイントも改善されているのである。

その理由として藤井氏があげるのは他県への人口流出が少なかったこと。これまで、就職、大学進学、転勤などで地元を離れていた人たちが地元に留まったのだ。

加えて2020年11月の転入超過数は前年同月のマイナス300人近くから780人にまで増加している。人がとどまり、入ってきているわけである。その一方で賃貸住宅の新築着工戸数は2017年10月以降微減傾向にある。借りる人が増えているのに物件がそれほど多く供給されていないわけで、その結果が空室改善ということなのだろう。

また、千葉県では2019年秋の2つの台風で賃貸住宅も含め、多くの家屋が被害を受けており、これに対して民間賃貸住宅が応急仮設住宅として使われている。それが供給減少に繋がり、結果として空室率改善となったとも考えられる。

転入超過数プラスに期待できる?大阪府

関西圏の影響もさほどではない。特に大阪府の場合には2020年11月でみると近畿圏で唯一転入超過数がプラスとなっている。景気の悪い時ほど大都市に人が集まるといわれるが、東京がその受け皿にならない分、大阪府に人が集まっているということだろうか。空室率、賃料もそれほど変化がないと見られており、関西ではもっとも安定しているといえる。

学生のまち・京都府は不安要素多数

京都市は人口の10.0%が学生という飛びぬけて学生の多いまち。京都府全体でみても人口の6.1%は学生で、となると不安要素は学生の動向。オンライン授業主体なら大学のあるまちに住む必要はなくなるのである。

加えて、最近の学生はアルバイトで生活費を稼いでいる例が多く、バイト先のメインは飲食店。

その飲食店が打撃を受け、バイト代が入らないとなれば家賃が払えなくなるケースもあろう。ましてや京都は主要な産業のひとつである観光も大打撃を受けている。賃料自体はまだしばらく変わらないとしても、空室は増える可能性もある。

兵庫県では学生の多い神戸市に懸念

兵庫県も全体としてはそれほど影響を受けてはいないが、懸念があるとすれば学生の割合が高い神戸市だろう。京都市の10.0%に比べれば少ないが、それでも4.6%となっており、政令指定都市の中では福岡市の4.9%に次ぎ、仙台市と同レベル。

2020年の場合にはコロナ感染拡大の前に引っ越しをしてしまおうという動きがあったが、2021年はそもそもその動きすら難しい状況である。学生の多いまちでの賃貸経営は今後どうすべきか、検討が必要かもしれない。

愛知県の鍵はトヨタの動向

コロナ以前に自動車産業が消費税増税の影響を受けていた愛知県では世帯数の増加幅は2019年10月以降減少にあった。そこにコロナが拍車をかけ、2020年9月時点では2019年9月時点の約60%にまで世帯数の増加幅が減少している。それに伴い、賃貸住宅の着工戸数も減少してはいるものの、世帯数増加の減少のほうが大きいことから、需給ギャップは拡大傾向に。空室が増える状況というわけだ。

その結果、2019年10年から2020年10月で空室率TVIを比較してみると14.62から16.56と今回取り上げた都府県の中でもっとも悪化している。

今後についてはもっぱら自動車産業、というよりトヨタ次第と藤井氏。「同社社長は雇用は守ると会見で述べていましたが、生産が落ちてくると三次、四次の下請けまで守り切るのは難しいかもしれません。となると愛知県全体に影響が出てくるはずです」。

若い層の人口流入もある福岡県

感染拡大直前まで長期に渡り、活気のあった福岡県。現在も賃貸市場への影響はそれほど大きくはなく、人口も2020年11月時点では転入超過となっている。

九州は長崎県、大分県を除けば人口流入はあり、宮崎県などでは移住者が増加傾向にあるとも。賃料、空室率ともにしばらくは横ばいが続くと思われ、あとは日本全体の景気次第か。懸念事項があるとするとコロナ以前からの福岡都心部再開発が今後どうなるか。また、福岡市も大学の多いまちのひとつ。

大学、学生の動向については注意しておきたいところである。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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