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10年保有後、価格は何倍に?途上国での不動産購入。

調査(不動産投資)/都市・マーケット ニュース

2017/08/20 配信

東日本大震災以降、海外移住をする日本人が増えている。不動産個人投資家のなかにも海外移住をする(または考えている)人は多い。

何かと数字に厳しい投資家のこと、その移住先は生活コストの安いマレーシアやフィリピン、タイなどの途上国が多いようだ。海外移住希望者にとっては不動産を借りて住むか、買って住むかも悩ましい問題。また、日本にいながらにして、こうした途上国の不動産購入を考えている人もいるだろう。

不動産購入を含め途上国で暮らすとは長期的にはどのような結果をもたらすのか? 東日本大震災よりも前に途上国に移住した人に話を聞くチャンスを得た。

ペルーの首都リマに暮らして11年になるというMさん。

「リマに来たのは夫の海外駐在のため。2年の赴任期間満了とともに夫は会社を辞め、ペルーに移住することにしました」。

リマの街並み
リマの街並み

赤道直下の国ではあるが海流の関係で夏でもそれほど暑くなく、冬でも15度程度の気温。ほかの南米の国に比べれば治安もまずまず。美食の国として注目されているペルーはいろいろな面でバランスがよいと感じた。定住を考えていると周囲の日本人に話したところ、住む家を買ったほうがいいとアドバイスされた。

「当時の月の生活費はふたりで500USドル程度でしたから、たしかに住む家さえあれば当面仕事が見つからなくても2年くらいは生活できるだろうと考えました」。

アパートメント(日本でいうところのマンション)が自分たちの手に届く価格であったこと、知り合いから「リマはこれまで地価が一度も下がったことがないから不動産を手に入れれば価値の下がらない財産になるよ」と言われたことも不動産購入に踏み切れた理由のひとつだった。

後者に関して「上がり続けている地価って、むしろいつ下がるかわからない不安があるのでは?」と問うと、「いえ、上がり続けていたのではなく、低め安定がずっと続いていたってことなんですけどね」とのこと。

購入したのはリマの新興高級住宅地にある築5年、110平米ほどのアパートの区分所有だった。日本円にして730万円くらいだったという。

「いまから思うとあのころ(2008年)はちょうどペルー経済が発展し始めの時期だったんだと思います。街にアパート建設の看板が立ったので看板に書いてある連絡先に電話してみると、工事も始まっていないのにすでに全戸完売、なんてことが何度もありました」。

ペルーもフィリピンやタイなどと同様、マンションを完成前の早い時期に購入するほど割安な価格で購入できる仕組みがある(アジアでは「Pre-sale」、ペルーでは「Pre-venda」という)。

着工前にすでに完売というのはこのような事情もあるが、Mさんのいうように国内経済が上向きになってきたひとつの指標といえるかもしれない。

その後もリマではアパートの建設ラッシュが続き、地価は2014年の2104USドル/平米のピークまで上昇し続ける。現在ではアパート完成後も売れ残っている部屋を散見する。

「結果的にあのとき不動産を買っておいたのは正解でしたね。いまは多少不動産価格が下がったとはいえ、リマの高級エリアでは100平米超のアパートで3000万円を下るものはまずありませんから。いまだからいえることですが、あのときふたつアパートを買って、ひとつは住んで、ひとつは貸せばよかったなぁ、なんて思います(笑)」。
Mさんが住むアパートを貸せばおそらく月に1200USドルの家賃、つまり利回りにして25%位は取れるだろうとのこと。

しかし、思わぬ誤算もあった。

「予想以上にこの国の経済成長のスピードが速く、物価上昇も激しかったことです。当初思い描いていた月に500USドルで生活なんてとても無理ですね。いまは2~3倍近くかかっています」。

思った以上に生活コストがかかるようになると、家賃を払わなくていい「持ち家」はますますありがたい存在になった(投資効率的には、物価や不動産価格が上がってきたらその国で所有する不動産は賃貸にまわし、自分はさらに物価の安い国に住むのがよいのかもしれない。暮らしていた国への愛着や構築された人間関係、次に住む国の治安の問題などを無視していえばの話だが)。

さて、Mさんと同じアラフィフ世代の移住者の間にはいまちょっとした変化が起きている。

日本帰国ラッシュだ。別の日本人移住者、Tさんは
「理由は親の介護。私もそうですが、親を看るきょうだいがいる人も『せめて長い休みのときくらいは親の面倒を』という気持ちから一時帰国のペースが早くなっていますね」
と語る。若いときは「自分の意志」でできた「移住」もやがて外部的な要因で帰国せざるを得ないこともある。

Mさん夫婦もいつか日本に帰国する日が来るだろう。そのときには今のアパートを売却すれば当面の生活には困らないとみている。海外不動産は移住している間のみならず帰国後もその生活を助けてくれるのだ。

もちろん、Mさんの場合は買ったタイミングがよかったからというのも大きい。タイミングを逃さずに決断できた理由としては
①不動産購入の前に2年間の駐在生活があり現地の事情に通じていた
②現地のネットワークがあった、
ということが挙げられるだろう。

10年以上前の海外不動産の個人投資というとハワイやオーストラリアのコンドミニアムが多かった。

Mさんの場合は「投資」というより「実需」ではあるが、途上国で不動産購入して中長期保有したケースとしてご紹介させていただいた。

海外不動産は、外国人は購入できなかったり途上国でもすでに価格が上がりすぎていたり、その国によって事情が違いひとくくりに語ることはできないが、参考になる部分があれば幸いである。

柏木珠希

フリーライター、渋谷区の商業ビルのオーナー。著書に「大家さん! これからの投資はシェアハウス・ゲストハウスがおトクです!」(秀和システム)、「20代、持ち家なし、貯金100万円でも月収以上を稼げる『オモロー式』不動産投資講座』(プレジデント社)など。2008~2010年には文京区にて築70年の長屋をセルフリノベーションしたカフェを経営。その後、信州の築150年の古民家に移住。近著は「おひとりさま女子の田舎移住計画」(朝日新聞出版)。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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