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コロナ禍で「勤務地」に囚われない居住地選択は浸透するか?〜賃貸住宅市場レポート

調査/都市・マーケット ニュース

2020/08/08 配信

新型コロナウイルスの影響で、政府が4月に緊急事態宣言を発令したことから、在宅勤務・テレワークを導入する会社が増加。大企業では8割超、中小企業でも5割以上の会社が在宅勤務を実施したという調査もある(東京商工リサーチ「第5回「新型コロナウイルスに関するアンケート」」)。

そんななか、不動産評価Webサイト「TAS-MAP」を運営する株式会社タスは、「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 2020年7月」とともに、「コロナ禍の影響で居住地の多様性が実現するのか?」という分析を発表した。人々の住まい方は大きく変化するのだろうか?

1都3県アパート系(木造、軽量鉄骨)空室率TVI(TAS賃貸住宅市場レポートより)
1都3県アパート系(木造、軽量鉄骨)空室率TVI(TAS賃貸住宅市場レポートより)

多くのエリアで、
アパート系空室率TVIが悪化

「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 2020年7月」によると、首都圏、関西圏など、多くのエリアで、アパート系の「空室率TVI」が悪化しているという。

この「空室率TVI」は、簡単に言えば、入居者を募集しているにもかかわらず、空室となっている部屋がどのくらいあるのかを示す指標だ。上に示す1都3県のグラフを見ても、コロナ禍の影響を受けた4月→5月と、東京23区以外で数値は上がってきており、関西圏においても京都府や兵庫県でアパート系空室率TVIの悪化が見て取れる。

調査を発表した株式会社TASによると、「緊急事態宣言下で首都圏への人口流入が大きく減少したことが要因と考えられます。特にテレワークや遠隔授業が行われていることから、入社や大学入学に伴う需要が止まったことが影響していると考えられます」とのこと。今後の動向については注視していく必要がありそうだ。

マンション系では明確な影響は不明だが、
今後の動向に注目

一方で、マンション系の空室率TVIを見てみると、4月→5月ではむしろ数字は改善しているように見える。東京都の空室率TVIの上昇が昨年末あたりから続いているところ見ても、竣工戸数の増加など、別の要因も考えられるため、マンション系の数字だけを見れば、コロナの明確な影響については不明だ。

ただ、ビックイベントを見越しての物件供給が不振に終わった場合、今後空室率が高い水準で推移していく可能性もあり、賃貸市場に影響が出てくる可能性はもちろんあるだろう。

1都3県マンション系(S造、RC造、SRC造)空室率TVI(TAS賃貸住宅市場レポートより)
1都3県マンション系(S造、RC造、SRC造)空室率TVI(TAS賃貸住宅市場レポートより)

在宅勤務・テレワークが浸透すれば、
居住地選択は大きく変化する

さらに長期で考えたらどうだろうか。

緊急事態宣言の解除後、多くの企業が通常勤務に戻ったのは確かだが、それでも 富士通や日立のように、宣言解除後もテレワークを継続することを発表した会社もある。テレワークを経験した勤務者の多くが在宅勤務の継続を希望している、という調査もある。いろいろ課題はあるにしても、「やってみたら案外できる」と感じた人も少なくないはずだ。

在宅勤務・テレワークが定着すれば、人々は「勤務地」の呪縛から解放され、居住地の選択の際にも「通勤圏内」という条件が排除されることになる。住みたいところに住みながら、今まで通り仕事を続けられるとしたら、それは大きな変化だ。

見えてきた、
在宅勤務・テレワークの課題点

しかし、在宅勤務・テレワークが日本で定着することは、そう簡単ではないようだ。

テレワークを実施して明らかになった課題も多くある。

「社内コミュニケーションが難しい、業務の進捗管理が困難(マネジメントする側)、テレワーク実施者と出勤者で公平・公正な評価が行われるのか心配(マネジメントされる側)、オン・オフの切り替えが難しい、業務時間が増加する傾向にある等の仕事面での課題や、子育てとの両立が難しい、ワークスペースがない等の家庭面の課題が挙げられています。また緊急事態宣言下で家族全員が巣ごもりをしていたことが要因であると考えられますが、ストレスが増加するため専業主婦の約25%がテレワークの継続を希望していないという調査(明治安田生命 「コロナ禍における子育て世帯への緊急アンケート調査」)もあります」(分析:株式会社TAS)。

居住地に関しても、多くの調査で「郊外移転派と都心移転派は拮抗しており、郊外への人の流れが顕在化したとは言い難い状況」と同社は分析している。

今後求められる
「住宅の条件」とは?

では、コロナ禍で、住宅に求められる条件は変化しているのだろうか?

「リクルート住まいカンパニー 「コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査(首都圏)」によると、12月調査比で「一戸建て派」が+7ポイントの63%、「広さ派」が+10ポイントの52%と増加」。「また住居に求める設備の1位に「自宅で仕事・勉強ができる場所」が選択されている(オープンハウス 「2020年 コロナ禍を受けたこれからの住まい意識・実態・ニーズ調査」)」など、在宅勤務・テレワークを視野に、自宅でも快適に仕事ができる環境へのニーズは表れているようだ。

今後の「住まい方」を左右するのは、
コロナ禍や災害リスクに対する「企業の姿勢」

今後、住まい方の変化をにぎる鍵はいくつかある。
まずは、企業の在宅勤務・テレワークに対する方針がどう変わっていくか。「帝国データバンクが2020年5月に行った 「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2020年)」によると、事業継続計画(BCP)を策定しているのは、大企業が30.8%、中小企業が13.6%、小規模企業が7.9%にすぎません」。長い目で見て、在宅勤務の方針が示されるのでなければ、「その前に生活様式を変更するのは就業者にとり大きなリスクとなります」(分析:株式会社TAS)。

また、「これまでの日本企業の働き方は、多くが時間管理型」。「このような日本の従来の働き方を考慮すると、最終的にテレワークを主にした働き方は定着しない可能性が高いのではないでしょうか」との分析も。そこで同社では、「時間管理型を軸に分散化を図る、すなわち、会社をいくつかのグループに分割して所在地を分散する企業が増加するのではないか」との見方を示している。

予想される企業形態の変化(TAS賃貸住宅市場レポートより)
予想される企業形態の変化(TAS賃貸住宅市場レポートより)

株式会社TASの分析では、「居住地の多様性は生じるが限定的なものにとどまる」という。「『喉元過ぎれば熱さを忘れる』という諺がありますが、コロナ後に企業の方針やそれに伴う働き方がコロナ前の状態に戻る可能性もあるかもしれません」。

とはいえ、その「限定的な変化」も、不動産投資においては重要な変化には違いない。今後、各企業がどういう働き方を求めていくのか、そのうねりを見逃すことなく、注意深く見守っていく必要はありそうだ。

健美家編集部

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