総合不動産サービス大手JLLは、コロナ禍における福岡の不動産市況をセクター別に分析したレポート「福岡不動産市場の動向と展望」を発表した。
国内外の投資家は、都市としての「福岡」の魅力に注目している。
福岡は、地理的な特性を活かした九州ならびにアジアのゲートウェイ都市として発展しており、自治体が推進する都市の賑わいを創出するプロジェクト「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」「ウォーターフロントネクスト」、それらの都市プロジェクトに関連する不動産開発も多く計画されている。
現在進行形で進んでいる福岡の発展は投資家にとって魅力的であり、今後の成長性が期待される。レポートでは、不動産の観点からみたグローバル都市と福岡の都市比較や、各セクター(オフィス、リテール、物流、ホテル)における市場動向及び今後の展望をまとめている。
その一部をご紹介してみよう。
2021年第2四半期 JLLオフィス プロパティ クロック
■高い都市競争力
福岡は、発展著しいアジア諸国に隣接し、地理的特性による優れた国内外との接続性を有する。都市開発などのハード面、暮らしやすさというソフト面の両面に秀でた都市づくりにも長けているほか、スタートアップ支援のイノベーション喚起政策によって将来性にも優れている。
これらを背景に、福岡は高い都市競争力を有し、国内外からヒト・モノ・カネを惹き付ける状況となっている。
さらに、主要経済指標を概観すると世界的には中規模都市に分類される福岡であるが、「福岡」が、福岡市周辺部も含む都市圏、または経済圏として把握されている点に留意すれば、不動産市場の観点からはより上位の都市群に属する。現在の不動産市場モーメンタムは日本の他の都市よりも高く、コロナ禍にあってもその耐性・強靭性が認められるという。
■福岡の不動産市場
福岡市は2011年に「福岡地域戦略推進協議会」を立ち上げ、福岡の都市競争力を高める取り組みを積極的に行っている。官民の一体感、連携、スピード感は他の都市を上回っており、付加価値の高い不動産事業が手掛けられる土壌がある。
新型コロナウイルス感染症拡大以前、福岡のオフィスマーケットは全国で最も需給が逼迫で賃料上昇率の高かった都市である。コロナ禍で空室率上昇、賃料下落に転じるもマーケットは底堅く推移してる。
福岡のリテールマーケットは大型商業施設が中心で都心型の路面店舗の集積は限定的である。天神西通りを中心とする路面店舗の受け皿となる物件が少ないために需給は恒常的にひっ迫している。
福岡圏のロジスティクスマーケットにおいても旺盛な需要に対して供給不足で需給のひっ迫が続いている。2021年以降、新規供給が本格化し供給の増加とともに需要の拡大が見込まれている。
福岡市の宿泊需要は、新型コロナ禍の発生以前においては訪日外国人数の増加等を背景に順調に増加しており、優良なホテルマーケットが形成されている。
足元ではコロナ禍の影響で宿泊需要が一時的に減少しているものの、「天神ビッグバン」、福岡空港の滑走路増設など中長期的にはポジティブなファクターが多く、コロナ収束後の福岡のホテルマーケットは更なる成長が期待出来る有望な市場の一つであると考えられる。
このようにどの分野を見てみても、福岡の不動産市場は、現状、将来性ともに投資家にとって魅力的な状況にあると言えそうだ。
健美家編集部