ここのところ都内で、引っ越し現場をよく見かけるが、単なる「引っ越しシーズンだから」と片付けられるものではないのかもしれない。東京都が毎月発表している都内の人口の推計値によると、東京都の人口は3月1日時点で、1394万2024人。2月から3月の1ケ月で1万891人も減少している。昨年8月から8ケ月連続の減少になり、特筆すべきは、23区全区で、人口減少していることだ。
減少数NO1は江戸川区、2位世田谷区、
3位板橋区、4位杉並区、5位大田区
23区全区で人口減少に転じたのは、1995年8月以来、25年ぶりのことになる(参考:NHK NEWS WEB 3月30日)。
人口の調査データについては、国勢調査に基づいたデータや、総務省の人口動態統計など、さまざまなデータがあるが、今回は、東京都が公表したデータを取り上げる。東京都の人口は、5年ごとに行われる国勢調査の間の時点における各月の人口を把握するため、平成27年10月1日の国勢調査人口(確報値)を基準にしながら、毎月の住民基本台帳人口の増減数を加えて推計したものになっている。
上記を踏まえた上で、最新の数値は、3月1日時点の推計値が3月29日に発表された。これによると東京都の人口は、1394万2024人。2月1日時点から1ケ月で1万891人減少し、23区すべてで下記のように減少している。
東京23区 前月からの人口減少数(推計)
(※令和3年3月1日時点)
1 江戸川区 951
2 世田谷区 948
3 板橋区 805
4 杉並区 704
5 大田区 641
6 新宿区 620
7 中野区 552
8 練馬区 550
9 目黒区 423
10 葛飾区 388
11 北区 373
12 品川区 369
13 豊島区 366
14 足立区 351
15 港区 340
16 文京区 319
17 江東区 239
18 渋谷区 235
19 荒川区 110
20 中央区 81
21 千代田区 68
22 台東区 40
23 墨田区 32
<東京都発表のデータを元に作成>
23区のなかで最も人口が減少したのが、江戸川区で951人減少。ついで世田谷区948人減、板橋区805人減、杉並区704人減、大田区641人減とつづいている。
人口減少数が最も少ない区は、墨田区で32人、ついで台東区40人、千代田区68人と、中央区81人、荒川区110人とつづく。
なお、23区だけで、9505人減少しており、この数は東京都全体で1ケ月に1万891人減少したうち、87%を占めている。
人口減少幅が600人以上と多い区は、下図の青色部分で示された箇所で、東京23区のなかでも、中央区や千代田区などの中心部からやや離れて、都心部を、輪を描くように取り囲むエリアになっている。
なお、23区のなかで、人口が多い区のトップ5は、世田谷区、練馬区、大田区、江戸川区、足立区の順になる。このうち、江戸川区、世田谷区、大田区の3区が、今回減少数が多いトップ5に含まれる。人口数の多い区での減少数が多く出ていると読み取ることもできる。
2ケ月連続で人口流出が600人を
超える大田区。航空業界が影響か
大田区では、2月1日時点の調査でも、1ケ月の減少数が926人と最も減少数が多い。大田区といえば、羽田空港があり、航空業界に従事する人が多く住んでいることも影響しているのかもしれない。
東京都が発表している令和2年の1年間の人口の推移を見ると、東京都の人口は8600人と増加しており、平成9年以降、25年連続での増加となる。そのため、2021年度も、年間を通してみれば、人口は増加に転じることも考えられる。
3月1日時点の数値では人事異動や卒業、就職などの影響もあり、23区全区で人口減少に転じる事態になったが、4月1日以降の数値では、進学や就職で上京する人の数が反映され、東京に流入する動きが顕著になることも考えられる。
4月以降の東京への人口流入、流出の動向も、気になるところである。
健美家編集部(協力:高橋洋子)