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都心回帰”の傾向を徹底分析~属性やエリアの人口増減を丁寧に把握~グローバル都市不動産研究所

調査(不動産投資)/人口 ニュース

2023/05/04 配信

投資用不動産を扱う株式会社グローバル・リンク・マネジメントは、(1)東京という都市を分析しその魅力を世界に向けて発信すること、(2)不動産を核とした新しいサービスの開発、等を目的に、明治大学名誉教授 市川宏雄 氏を所長に迎え、「グローバル都市不動産研究所(以下、同研究所)」を2019年1月1日に設立した。
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このたび同研究所では、調査・研究の第20弾として、2022年の東京都及び東京都区部に加え、東京圏内の市町村の人口動向、転入・転出動向を分析した結果を紹介している。

Blurred business people on their way from work

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【01】2022年の東京、2年ぶりに1400万人台を回復
前年の4万8592人減から一転、4万6732人増へ
人口増加の主因は外国人の大幅な社会増

東京都の総人口(「東京都の人口推計」による)は、2023年1月1日現在、前年同月から4万6732人増え1403万4861人となり、2年ぶりに1400万人台を回復した。

また、総務省の発表によると、東京都は2022年には転入者が転出者を上回る「転入超過」が3万8023人となり、超過幅が3年ぶりに拡大。新型コロナウイルス禍の影響が薄れ、社会経済活動の正常化が進んだことで、東京への人口回帰が再び始まったとの分析がされている。

2022年における東京都及び東京圏(1都3県)、そして東京都区部の人口動向、転入・転出動向について、それぞれ詳しくみていこう。

■2022年の東京都の人口動向

2022年の東京都の人口動向は、前年12月に始まった新型コロナ感染拡大「第6波」の影響で1月の1398万8129人から減少を続け、3月には1397万2039人まで低下した。

しかしこの「第6波」で主流となったオミクロン株は重症化割合が比較的少なく、ワクチンの追加接種も行きわたるようになり、4月に2万3430人増、5月に2万1477人増、6月に1万2780人増と、人口は急速に増加し続けた。7月からの感染拡大「第7波」によって8月、9月はほぼ横ばいとなるが、10月以降は再び増加に転じ、11月には1404万4538人まで回復した。

その後、「第8波」の影響により若干の減少となるが、2023年1月時点の総人口は1403万4861人となっている。

2021年は年間4万8592人減と26年ぶりの減少を記録したが、2022年は4万6732人の増加となり、前年の減少分をほぼ取り戻した1年だったと言えるだろう【図1】。

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しかし、この2022年の年間増加数を日本人・外国人別にみると、驚くべき事実が浮かび上がる。

日本人は1万6499人減、外国人は6万3231人増と、日本人は減少している一方で、外国人が大幅に増加しており、年間増加数にはこの外国人の増加が大きく寄与していたことが分かる。

さらに社会増減(転入者数等-転出者数等)、自然増減(出生者数-死亡者数)で分けてみると、外国人では社会増減数が+6万1381人と2020年・21年の△6万4105人(△3万3362人+△3万743人)減少分の大半を取り戻している。

日本人では社会増減数は+3万1086人とコロナ禍前(2019年8万7308人)の3分の1の水準まで回復したが、自然増減数が△4万7585人とコロナ禍前(2019年△1万8761人)の約2.5倍に達しており、この自然増減数のマイナス幅の拡大が日本人の人口減につながっている【表1】。

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2022年は社会経済活動の正常化や出入国制限の緩和が徐々に進み、東京都の人口は外国人の大幅な増加によって回復を遂げた。

日本人については、社会増減数ではコロナ禍前の3分の1水準のプラスと回復傾向にあるが、自然増減数での大幅なマイナス(出生者数の低下と死亡者数の拡大)によって、結果的に日本人総数は前年よりも減少してしまった。

社会増減数の回復は喜ばしいところだが、コロナ禍による痛手がまだ続いていることが読み取れる。

Group of people in airport

【02】東京都及び東京圏の転出・転入状況
転入超過の主役は15~24歳の若年女性
子育て世代層の転出超過がやや落ち着く傾向に

■東京都の転入超過数は前年の7倍

続いて、2022年の東京都における人口の集中・分散状況を、総務省「住民基本台帳人口移動報告」を用いて詳しくみていくく。

東京都の国内他道府県との転入・転出状況【図2・表2】をみると、年間の転入者数は43万9787人、転出者数は40万1764人で、3万8023人の転入超過となった。2021年の転入超過数5433人の約7倍の大幅増となり、コロナ禍前(2019年の転入超過数8万2982人)の5割程度の水準まで回復した。

■月別でみても転入超過が多くなっている 

月別にみると、3月に3万3171人、4月に4373人の大幅な転入超過となり、7 、11、12月の3カ月を除き、転入超過の月が続いた。2021年のように年後半に毎月3000~4000人程度の転出超過が続くという状況は脱したと言えそうだ。

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■若年層の転入超過数はコロナ禍前と同水準、子育て層の転出超過もやや落ち着く

この東京都の転入・転出状況を年齢5歳階級別・男女別に分けてみていく【図3・表3】。東京都には進学や就職などの要因で15~19歳、20~24歳、25~29歳の3つの年齢階級が多く転入し、転入超過数に大きく寄与している。

これら3つの年齢階級(15~29歳の若年層)の転入超過数の推移をみると、コロナ禍前2019年には9万3036人の転入超過だったが、2020年に7万3855人、2021年に7万1817人と、その数は2019年の8割程度に低下した。2022年には9万183人の転入超過とコロナ禍前のほぼ同水準まで回復している。

かたや、コロナ禍で大きく転出超過に転じた30~40歳代の青壮年層については、2020年に1万7027人、2021年に3万2196人の転出超過と拡大したが、2022年には2万1016人の転出超過と前年よりも低下している。

0~14歳の子ども層の転出超過数も2020年に8356人、2021年に1万3029人と拡大したが、2022年には1万1394人の転出超過とやや低下しているので、これら30~40歳代のいわゆる「子育て層」の転出超過は続いているものの、やや落ち着きを見せはじめたと言えるだろう。

一方、50~64歳の熟年層の転出超過数は2020年に8568人、2021年に1万1697人、2022年に1万468人と、この年代層の転出超過はまだ続いている状況にあると言える。

■女性の転入超過数は男性の1.6倍まで拡大

これら転入・転出の状況を男女別にみると、男性は2021年に転出超過(△1344人)に転じていたが、2022年には1万4664人の転入超過に回復し、女性の転入超過も2021年の6777人から2022年の2万3359人とその数を大幅に拡大した。コロナ禍前の2019年の転入超過数と比べて男性は約4割、女性は約5割とその回復状況は女性の方が高く、女性の転入超過数は男性の1.6倍に拡大している(2019年の女性の転入超過数は男性の1.35倍)。

15~29歳の転入超過数は女性(4万5976人)の方が男性(4万4207人)よりも1,769人上回っており、また、30~40歳代の転出超過数は女性(△8981人)の方が男性(△1万2035人)よりも3054人低く抑えられている。コロナ禍から正常化しはじめた2022年も、15~24歳の若年層の女性がより東京都に集まり、30~40歳代の青壮年層の女性が東京都により住み続ける状況が続いていると言えそうだ。

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■東京都からの転出超過は隣県3県のみ、東京圏全体の転入超過数も拡大

2022年における東京都と他道府県との国内移動状況をみると、東京都からの転出超過となったのは、埼玉県(△1万2458人)、神奈川県(△6658人)、千葉県(△5683人)の隣接3県のみで、他の道府県はすべて転入超過となっている。

2021年との比較では、これら隣接3県での転出超過数が大幅に低下し、他の道府県のうち39道府県(長野県、島根県、佐賀県、宮崎県のみ少人数の減少)で転入超過数が拡大していることがみてとれる【図4】。

東京圏(1都3県)の転入・転出状況をみると、2022年の転入者数は50万7341人、転出者数は40万7822人であり、9万9519人の転入超過となっている。2021年の転入超過数8万1699人から1万7820人増加し、2020年時点の状況まで回復していることが分かる【表4】 。

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【03】東京圏内の市町村別にみた転入超過の状況
コロナ禍と首都圏マンションの価格高騰が影響か
都心30~40km圏周辺自治体の転入超過数が上位に

ここで、東京圏(1都3県)内でどの市町村に人口が集まっているのか、すなわち転入超過数が多いのかをみていこう。以下は、2019年から22年にかけての転入超過数の多い上位20市町村の推移の表【表5】。

2020年まで最も転入超過数が多かった東京都特別区部は、2021年に△1万4828人の転出超過に陥ったものの、2022年には2万1420人の転入超過と首位に返り咲いている。

次に、さいたま市、横浜市が2019年以降、増減を繰り返しながらも上位にいる。また、川崎市が転入超過数を減らして順位を落とす一方で、千葉市がその数を増やして順位を上げている。県庁所在地の存在感が増している。

続いて、千葉県流山市、柏市、船橋市が絶えず5位~11位の間をキープし、この3市の人気が強いことを示している。その間を割って入るように2020~21年にかけて、神奈川県の湘南・県央地域が伸びており、藤沢市、相模原市が急速に順位を上げてきた。大和市も12~13位をキープしている。

東京都内では、2020年まで西東京市、調布市、三鷹市などが上位20位内に位置していたが、2021年にこれらの市は姿を消し、2020~21年にかけて多摩南部の八王子市、町田市が上位に食い込むようになってきている。埼玉県内では、上位に位置していた川口市が徐々に順位を落とし、代わって上尾市、川越市、所沢市の姿がみられるようになってきた。

そのほか、2020~2022年にかけて、千葉県印西市、八千代市、神奈川県茅ケ崎市、海老名市、平塚市なども顔を覗かせている。

2020~21年にかけてコロナ禍の影響と首都圏マンションの価格高騰による郊外人気で、全般的に、都心30~40km圏周辺に転入超過数の多い市が占めるようになってきたことが分かる。

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次に、2022年における年齢階級別にみた転入超過数の多い上位20市町村をみていく【表6】。

東京圏への人口流入の中核をなす15~29歳(若者層)の転入超過数では、東京都特別区部が8万5113人と圧倒的に多く、次に川崎市、横浜市、さいたま市といった政令指定都市、そして市川市、船橋市、川口市、相模原市、松戸市、大和市が続いている。

30~49歳(青壮年層)では、トップのさいたま市から、藤沢市、横浜市、流山市、柏市、千葉市、町田市、八王子市、茅ヶ崎市、海老名市などが続いている。0~15歳(子ども層)の上位はさいたま市、町田市、流山市、印西市、八王子市、藤沢市、柏市、茅ヶ崎市、小平市などで30~49歳の上位と重なる市が多い。このため「子育て層」がこれらの市に転入していると言える。

50~64歳では八王子市、平塚市、千葉市、青梅市、小田原市、印西市など、東京圏の周辺の市に転入が進み、65歳以上ではさいたま市、千葉市、相模原市、八王子市、青梅市、平塚市など、政令指定都市や比較的大きな市に転入が進んでいる。

年齢階級別にみると、進学や就職などで東京に来た15~29歳の若年層は東京特別区内に転入し、子育て層が多い30~40歳代の青壮年層は、さいたま市や横浜市、千葉市のほか、流山市、柏市、町田市、八王子市、藤沢市、海老名市、茅ヶ崎市など東京近郊で子育て環境が整っているエリアを選択しているという違いがあることが分かる。

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【04】都区部では20区で人口増に転じる
外国人の増加が人口総数の増加に寄与
日本人の社会増は家賃相場の低い江東区、墨田区、台東区、足立区、葛飾区が中心

■都区部全体では外国人の増加が東京の人口増に寄与(日本人に限定すると減少)

最後に、東京23区内のそれぞれの区別に、2022年の人口増減の状況をみていく【図5、表7】。

東京都区部全体では、2021年には総数で4万9891人の減少だったが、2022年には4万6339人増と大幅な増加に転じた。日本人・外国人別にみると日本人が8661人減、外国人が5万5000人増と、外国人の人口増が圧倒的に寄与していることが分かる。

■区別では新宿区、豊島区、江東区は外国人の大幅増が総数増加に寄与

区別には、総数の人口が減少したのは江戸川区、世田谷区、大田区の3区のみで、他の20区で増加となっている。多い順に江東区(6930人増)、豊島区(5362人増)、新宿区(5057人増)、港区(4432人増)、墨田区(4261人増)となっているが、このうち新宿区、豊島区、江東区は、外国人の大幅増が総数の増加に寄与している状況がみてとれる。

■日本人では城東・城北エリアに人口流入

そこで日本人の動向に絞ってみると、日本人が増加した区は、江東区、墨田区、港区、台東区、文京区、豊島区、千代田区、中央区の8区のみとなっている。このうち社会増が大きく目立つのは江東区、墨田区、台東区であり、城東方面の都心に比較的近い区で人口が流入している。

一方、日本人が減少した区のうち、江戸川区、世田谷区は大幅な社会減が人口減少の大きな要因となっており、この2区では東京近郊への流出が続いているものと考えられる。

また、足立区、葛飾区は大幅な社会増となっているものの、自然減が大きく目立っていることから、結果的に人口増減数がマイナスとなっている。この2区では年齢構成が高く自然減が進む一方で、家賃などの住居費が23区内で相対的に安いことから人口が流入しているものと推測される。

2022年の東京都区部の人口動向をみると、新宿区、豊島区、江東区を中心とした外国人の社会増が人口の増加に大きく寄与し、日本人については家賃が相対的に安い江東区、墨田区、台東区、足立区、葛飾区などの城東・城北エリアに人口が流入する一方で、江戸川区、世田谷区といった周辺区では東京近郊への人口流出が続いていることが分かる。

これまでみたように、東京都の人口は1400万人台を回復したが、その増加には外国人の人口増が大きく影響を与えていることが分かった。

それでも、国内の人口移動による東京都への転入超過数はコロナ禍前の5割程度の水準まで回復しており、15~29歳の若年層で言えばコロナ禍前とほぼ同水準まで回復している。女性の転入超過数は男性の1.6倍まで拡大し、女性が東京に集まり、かつ住み続ける状況がいっそう強まっていることが窺える。

また、東京圏内の市町村別にみた転入超過の状況では、若年層では東京特別区部が圧倒的に多く、子育て層が多く占める30~40歳代では、さいたま市、横浜市、千葉市のほか、都心30~40km圏周辺の東京近郊を選択していることも分かった。

東京23区内では、新宿区、豊島区、江東区などで外国人の社会増が目立つ一方、日本人では江東区、墨田区、台東区、足立区、葛飾区などの城東・城北エリアに人口が流入している。

2022年における東京の人口の回復は外国人の増加で支えられた一方で、国内での東京回帰の流れもコロナ禍前の状況を取り戻しつつある。コロナ禍を脱し、社会経済活動が安定化するとみられる2023年は、東京への人口集中が再加速していくものと考えられる。

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【05】都市政策の専門家 市川宏雄所長による分析結果統括
社会経済活動の正常化や出入国制限の緩和で東京都が再び人口増加
東京への人口集中がゆるやかに再加速していく予兆と考えられる

東京都では、コロナ禍で2021年に26年ぶりに人口が減少となったが、翌年の2022年の4月には再び人口増加に転じた。年間で4万7000人近くの人口増が発生した原動力は外国人の流入復活だった。日本人が1万6499人減少する一方で、外国人は6万3231人増と大幅に増加した。社会経済活動の正常化や出入国制限の緩和が徐々に進んだことがその背景にある。

国内移動では、東京都は3万8023人の転入超過となり、大きく転出超過に転じた30~40歳代の青壮年層に対して、進学や就職などの理由による15~19歳、20~24歳、25~29歳の3つの年齢階級が転入超過に寄与している。コロナ禍前2019年に9万3036人の転入超過数がコロナ禍で8割程度に低下、しかし、2022年にはコロナ禍前とほぼ同水準まで回復。とりわけ、女性の回復状況が高く、男性の1.6倍となっている。

東京都と他道府県との移動状況は、東京都からの転出超過となったのが、埼玉県(1万2458人)、神奈川県(6658人)、千葉県(5683人)の隣接3県のみで、他の道府県はすべて転入超過となっている。

東京圏(1都3県)の転入・転出状況をみると、2022年の転入者数は9万9519人の転入超過となっている。東京23区以外で人口増加となったのは、神奈川県で横浜市、藤沢市、相模原市、大和市、茅ケ崎市、海老名市、平塚市、埼玉県でさいたま市、上尾市、川越市、所沢市、千葉県で流山市、柏市、船橋市、印西市、八千代市、都下では八王子市、町田市などが目立つ。 2020~21年にかけてコロナ禍の影響と東京23区のマンション価格高騰による郊外人気で、都心から30~40km圏周辺に転入超過の多い市が増えた。

東京23区では外国人の増加が人口総数の増加に寄与しているが、日本人が増加した区は、江東区、墨田区、港区、台東区、文京区、豊島区、千代田区、中央区の8区のみで、家賃相場の低い足立区、葛飾区でも人口流入が発生している。

2022年の人口動態は、コロナ禍を脱して社会経済活動が安定化するとみられる今年に、東京への人口集中がゆるやかに再加速していくことの予兆であると考えられる。

Tokyo horizon - skyscrapers of Ginza and Shinjuku

健美家編集部

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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