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消費者物価指数に占める家賃の割合は長期下落傾向。その理由は?

調査/その他 ニュース

2020/09/28 配信

全宅連の不動産総合研究所が毎月出している不動産市場動向データ集を参考にした。元データは
全宅連の不動産総合研究所が毎月出している不動産市場動向データ集を参考にした。元データは総務省統計局の基準消費者物価指数

2015年を100とした場合の基準消費者物価指数の最新情報が公表されている。それで見ると2005年からだけを見ても緩やかに下落、2013年以降上昇傾向にある全体と比べると不思議な動きをしているように見える。これは一体、どういうことなのか。

長期的な傾向を見るための1970年以降の同数字(東京23区)を追いかけてみると1992年までは年々上昇傾向にあり、この時点で100%に到達している。2015年同様の水準ということになる。その後、もっとも割合が高かったのは1999年でこの時点で108%に及んでいる。

内閣府の経済社会総合研究所資料より
内閣府の経済社会総合研究所資料より

1992年からという時点でお気づきだろう。バブル崩壊以降である。そこからしばらくは消費者物価の上昇率は低く、実質GDP成長率も同様。ただ、面白いことに世帯当たりの平均総所得は落ちてはいない。総所得が落ち始めるのは世帯によって幅があるが1996年から1998年にかけてである。

平成29年版厚生労働白書 −社会保障と経済成長−より
平成29年版厚生労働白書 −社会保障と経済成長−より

つまり、バブル崩壊で不景気と言われていた時期に支出全体のうちでの家賃の割合が増えていたということになる。

おそらく、家賃の遅行性の問題ではないかと推察される。バブル崩壊後、分譲価格は大きく下落したが、家賃は以降で緩やかに下落し続けた。同じことは上昇時にもあり得る。バブル期に部屋を借りた場合、住み続けるとしたら賃料は下落することはなく、一方でそれ以外の支出が減れば、相対的に家賃の割合は大きくなる。そうしたタイムラグがあったと考えればバブル崩壊後の家賃の割合の伸びには説明がつく。

同じく全宅連のデータ集より。元データは(公社)東日本不動産流通機構「首都圏賃貸取引動向」
同じく全宅連のデータ集より。元データは(公社)東日本不動産流通機構「首都圏賃貸取引動向」

では、それ以降、現在の家賃の割合の減少はどうだろう。緩やかに下落し続けているわけだが、その説明になるような統計をいくつ見てみよう。ひとつは23区の東京23区平均賃料単価推移の推移である。2008年末〜2009年頭くらいを境に下落傾向にあり、2017年以降上昇してはいるものの、まだ、戻りきってはいない状況である。

まずは前出の世帯当たりの平均総所得もここ1〜2年は持ち直し傾向にあるものの、1996年前後の数字までには戻ってはいない。所得も家賃も下落、その他の物価が多少なりとも上昇傾向にあるだけに割合は下落ということになるのだろう。

それ以外の数字を見てみよう。たとえば、全国大学生活協同組合連合会第55回学生生活実態調査で学生の仕送り事情、平均住居費などを見ると大きな流れとしてはやはり下落傾向にある。

学生の生活費の統計
学生の生活費の統計
仕送り額の統計。
仕送り額の統計。

参考にしたのは2020年2月のプレスリリースだが、この時点ではアルバイトが4年連続増加しており、収入の4分の1を占めること、食費、教養娯楽費の増加が続くことが挙げられていた。しかし、その後のコロナ禍でアルバイト収入が途絶えたというニュースをしばしば見かけたことを考えると、今後、家賃支出を減らしたいと考える人が増えたしても不思議はあるまい。

問題はこれからがどうなるか。まず、短期的には物件不足のため、23区、近畿圏ともにマンションの賃料は坪単価ベースで上昇しているが、アパートでは下落も。

一方、現状の市場ではコロナ禍で比較的賃料が手頃な物件での退居が相次いでおり、逆に一定額以上の層では住替え意欲が高いと聞く。二極化が進んでいるわけだが、数として考えると圧倒的に数として多いのは前者だろう。今後、学生を中心にそうした需要が蒸発する可能性を考えると、20年近く下落し続けてきた家賃の割合がさらに下がる可能性は十分にあり得る。大家としては憂鬱な将来予測だが、経済が大幅に持ち直す予測ができない以上、その中でどう生き残るか。冷静に考えていくしかあるまい。

健美家編集部(協力:中川寛子)

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