5年ごと9回目の
調査結果を発表
東京都は2022年10月17日に「地震に関する地域危険度測定調査(第9回)」の調査結果を公表した。
この調査は東京都震災対策条例に基づくもので、1975年から概ね5年ごとに調査を行っている。
都内の市街化区域に指定されている5,192町丁目について、建物倒壊危険度・火災危険度と左記2つの危険度に「災害時活動困難係数」を加味して算出した総合危険度を測定。
危険度は5つにランク分けされており、ランク1が相対的に最も安全で、最も危険性が高いのはランク5と評価されているエリアだ。

※引用:東京都
調査対象エリアの総合危険度について確認できる色分け図は以下の通り。

※引用:東京都
全体的な印象としては、西側は危険度が低く東側には危険度の高いエリアが多いように見える。
危険度の高いエリアが目立つのは、大田区の中南部・葛飾区・江戸川区の西部・足立区・台東区・荒川区・江東区などだ。
なお、調査項目の1つである建物倒壊危険度には地盤の強さが加味されており、調査結果を参照すると上記のエリアはそれぞれ地盤もあまり強くないことがわかる。

※引用:東京都
上記の図に関する色ごとの評価は以下の表の通り。

※引用:東京都
地盤分類図を見ると、東側のエリアは地盤もあまり強くないことが見て取れる。
なお、図の真ん中あたりにある紫の帯が目を引くが、これは府中市・調布市・稲城市・多摩市・日野市などに該当する。地図と重ね合わせると、多摩川沿岸のエリアに当たることがわかる。
これらのエリアは沖積低地1に分類されており、形成された年代が新しい地盤になっている。
しかし、地震の増幅率は1.5と比較的低いので、それほど大きな心配をする必要はなさそうだ。実際に、このエリアの総合危険度はそれほど高くない。
続いて火災危険度についてだが、こちらも建物倒壊危険度とほぼ同じ評価になっており、大田区・足立区・葛飾区・台東区・荒川区などの危険度が高い。

※引用:東京都
具体的には、北千住・南千住・町屋の周辺と蒲田の辺りなどが該当する。ちなみに、もう1点目を引くエリアとしては、中野区の大和町や杉並区の阿佐ヶ谷北あたりも火災危険度が高い。
火災危険度の評価については、耐火性の低い建物が密集していて広い道路や公園が少ないエリアほど危険度が高いとされている。
最後に「災害時活動困難係数」についてだが、これは簡単に言うと幅の広い道路が少なく、広い公園も少ないエリアは危険度が高いと評価されている。
地図を見ると、危険度の高いエリアは都内全般に点在しているように見えるが、台東区あたりに危険度の高いエリアが密集している。
不動産価格が値上がりを続ける中では、足立区や葛飾区など都内東部のエリアは目を引く機会も増えている。
しかし、都内東部のエリアには地震による危険度が高いエリアも多いのは事実だ。
災害リスクのリスクヘッジとしてハザードマップの活用は浸透してきているが、投資エリアを選ぶ際には、地震危険度のマップについても同様に活用してみてはどうだろうか。
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取材・文:
(はたそうへい)