かつて「ダ埼玉(ダサいと埼玉を合わせた造語)」と揶揄され、漫画・映画『翔んで埼玉』ではユーモアたっぷりにイジられた埼玉は今、「住みたい街ランキング」の常連になっている。
株式会社リクルート住まいカンパニーが、関東(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)に居住している人(20歳から49歳の男女)を対象に実施したWEBアンケート形式による「SUUMO住みたい街ランキング2021関東版」を集計した。その結果を見ると、埼玉県内の主要駅エリアの躍進がうかがえる。
大宮が3年連続で総合ランキング4位!
目黒や品川、新宿などの得点を上回る

大宮は2019年から3年連続で4位にランクインした。大宮駅は埼玉県内最大のターミナル駅で、2019年度の1日平均乗降者数は8位の25万7344人となっており、この数字は秋葉原駅などより多い。
東北新幹線の始発駅だったこともあり、上野東京ラインや北陸新幹線も通ることから「東日本の北の玄関口」と呼ばれている。
大宮駅から東京駅と池袋駅へ約30分、新宿駅へ約35分、渋谷駅へ約40分となっており、都心への通勤も不便ではない。
これは大宮だけではなく、浦和や川口にも言えることだが、比較的海抜高度が高く、地盤が安定している大宮台地上にあるため、自然災害にも強いと言われている。
一方で、首都圏の主要ターミナル駅の中では開発整備が遅れ気味だったため、今も積極的な再開発が行われているところだ。
とはいえ、すでに大型商業施設が立林している状態で、週末になれば若者も多く見られ賑やかである。
ちなみに、大宮以北に住む若者に話を聞いたとき「東京に遊びに行くための服を大宮で買う」「大宮に着くまでの時間が利便性の目安」というようなことを言っていたのが印象的だった。
若者にとっては、埼玉のファッションやカルチャーの中心地という位置付けなのかもしれない。
浦和は9位から2位へジャンプアップ!
コロナ禍での価値観の変化が影響したか


浦和は住みたい街(駅)ランキングの夫婦部門で2位、夫婦+子ども部門で5位にランクインした。夫婦部門では2020年の9位から大きく順位を上げている。
埼玉県庁やさいたま市役所がある浦和区には、高級住宅街がある。歴史ある文教都市としても有名だ。浦和高校など日本有数の進学校があり、地域住民の進学志向も強い。
もともと浦和は埼玉県内では人気のエリアだが、大幅に順位を上げたのは、人々の価値観が変化した影響が考えられる。
コロナ前は「理想的な街の項目」として、「メディアによく取り上げられて有名である」を選ぶ人も少なくなかったが、今回はランク外の最下位だった。
コロナ禍では医療の充実や街の利便性、暮らしのコストパフォーマンスなど、実利的な暮らしやすさを重視する人が増えたことが伺える。
ARUHIの「本当に住みたい街大賞」で
2年連続1位に選ばれた川口市
10位以内にランクインはされなかったものの、今回の住みたい街(駅)総合ランキングでは「川口」も過去最高位を獲得した。
川口市は東京のベッドタウンとして発展し、市の統計によると2012年の人口は57万9021人だったのに対し、2021年は60万7373人となった。年3000人から5000人のペースで増えている。
ファミリー向けの分譲住宅が増えて、川口駅周辺の物件価格や家賃は上昇傾向にあるものの、依然として都内よりは安く、西川口、東川口、川口元郷などは発展の余地も残されている。
ちなみに、川口はSUUMOの住みたい街ランキングでは総合34位だったが、住宅ローン専門金融機関ARUHIの「本当に住みやすい街大賞」の1位に2年連続で選ばれており、奥ノ木市長が市民に向けて喜びの声を動画で発信している。
コロナ禍で都心への通勤が減り
埼玉の人気エリアのQOLが向上!?
JR埼京線や湘南新宿ラインなどの通勤ラッシュはよく知られているところだが、新型コロナの影響でリモートワークが増えれば、その悩みもなくなる。
埼玉は生活利便施設も豊富にあり都内よりは混雑しない。子育て中の家庭なら、駐車場が安く借りられるなど、自家用車の維持費が安くすむことなどもメリットだろう。コロナ禍で、大宮や浦和、川口のコストパフォーマンスに気付く人も増えそうだ。
埼玉が注目されていることは間違いないが、どこか垢抜けないイメージが拭いきれていないという声もある。不動産投資をするなら、県外から「ダ埼玉」と揶揄されているうちが狙い目なのかもしれない。
健美家編集部(協力:外山武史)