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不動産投資家がビットコインなど暗号資産の売買をした場合の確定申告

不動産の税金/申告 ニュース

2021/12/27 配信

ビットコインは暗号資産の代表格である
ビットコインは暗号資産の代表格である

不動産投資家の中にも、暗号資産に投資して売却益や売却損があるという方がいらっしゃるのではないだろうか。

暗号資産は、インターネットで売買、交換などができる財産的価値である。代金の支払いにも使用でき、円やドルなどの法定通貨とも交換できる。以前は、仮想通貨と呼ばれていた。ネットショップなどで通貨として利用できる暗号資産もある。

暗号資産のうち、最もメジャーなビットコインは、2017年に当初10万円程度だったものが200万円まで上がり、投機対象として注目を集めたことは記憶に新しい。当時は、法的なトラブルも多かったが、国の登録許可を受けた交換所や取引所を通じて購入、売却することが義務付けられてからは、投資対象としての地位を確立した感がある。

2020年から2021年にかけては、再度投機熱が高まり、60万円程度から750万円まで上がった。

暗号資産の売却益と所得区分、損益通算

一般的な個人が暗号資産を売却して利益が出た場合、その所得は所得税法ではどのように扱われるのだろうか。

暗号資産の税務上の取扱いについては、国税庁からFAQが発表されている。それによると、基本的には、暗号資産の売却益は雑所得となる。

雑所得は、他の総合課税の所得と合算され、損益通算の対象にもなる。しかし、損益通算については、他の所得のマイナスを雑所得のプラスと通算はできるが、雑所得のマイナスを他の所得のプラスと通算することはできない。

つまり、不動産投資家の場合、不動産所得の黒字を暗号資産の売却損と相殺して節税することはできないという点に注意が必要である。

他に、収益物件を売却して利益が生じている場合も、不動産売却益は譲渡所得に該当し、分離課税になるため、総合課税である暗号資産の売却損と相殺することはできない。

ただし、雑所得に分類される所得の中であれば損益通算は可能である。たとえば、ライターやコンサルなどの副業収入があって、それを雑所得として申告をしている場合、暗号資産の売却損と相殺できると考えられる。

暗号資産売却益の基本的な計算例

国税庁のホームページでは暗号資産の売却益を計算するエクセルツールと利用方法を公開している
国税庁のホームページでは暗号資産の売却益を計算するエクセルツールと利用方法を公開している

暗号資産の売却益は雑所得に該当する。雑所得は「総収入―必要経費」によって計算する。暗号資産の売却益の計算方法は、次の算式によって計算できる。

暗号資産売却益=売却価格―(売却原価×売却数量+売却のための必要経費)

そこで、年内に複数回にわたって暗号資産を購入し、その一部を売却して売却益が生じた場合の設例を設定し、雑所得の計算方法についてみてみよう。

【設例】2021年1年間に、ビットコイン(BTC)を次のように売買した。2月10日:2BTC を 9,000,000 円で購入した(保有数量2BTC)。5月10日:1BTC を 6,000,000 円で購入した(保有数量3BTC)。10月10日:2BTC を 13,000,000 円で売却した(保有数量1BTC)。なお、ビットコイン取引専用パソコンを1月1日に240,000円で購入した。1月1日に、専用の通信回線としてモバイルWiFiを月5,000円で契約した。

まず、10月10日売却したビットコインの売却原価を求める必要がある。最も簡単な総平均法(他にも、移動平均法という計算方法もある)によって、1BTCの単価を計算すると次のようになる。

(9,000,000円+6,000,000円)÷(2BTC+1BTC)=5,000,000円/1BTC

したがって、2BTCの売却原価は、次のように計算できる。

5,000,000円×2BTC=10,000,000円

売却のための必要経費として、専用パソコンの減価償却費と、通信回線費用を計上することができるだろう(ただし、家事用との共用の場合には按分計算が必要となる)。次のように計算できる。

売却のための必要経費=240,000円×0.25(耐用年数4年、定額法)+5,000円×12カ月=120,000円

この設例において、雑所得となる暗号資産売却益は、次のようになる。

暗号資産売却益=13,000,000円―(10,000,000円+120,000円)=2,880,000円

暗号資産を売却したとみなされるケースなどに注意

一般的な暗号資産の所得税法における取扱いと、売却益が生じた場合の計算方法をみてきたが、他にも注意すべき点があるので確認しておきたい。

国内の取引所を介した暗号資産取引であれば、購入価格が分からないということはないだろうが、個人間取引などで取得した場合、購入額が不明な場合もある。その場合、取得価格を売却価格の5%として売却益を計算することも認められている。

暗号資産を通貨として用いて、商品やサービスを購入した場合は注意が必要だ。購入商品の価格でその暗号資産を売却したものとみなされてしまう。

雑所得は20万円までなら確定申告をする必要はないが、不動産投資家はそもそも確定申告義務がある。暗号資産を使ったら利益が出ていないか確認して、確定申告を忘れないようにしたい。暗号資産を交換した場合も同様である。

もう一点気を付けたいのは、低額譲渡である。暗号資産を時価よりも低い価格で売却した場合は、時価の70%相当額で売却したものとみなし、所得税が課される。また、この場合、暗号資産を時価よりも低い価格で譲受けた側では、差額分について贈与税がかかるだろう。

暗号資産の時価は、評価通達に定めがないため判断が難しいケースもあるが、活発な市場が存在するビットコインなどは、暗号資産交換業者の公表価格によるとされている。

取材・文 佐藤永一郎

取材・文:佐藤永一郎(さとうえいいちろう)

佐藤永一郎

FP不動産投資よろず相談所

■ 主な経歴

筑波大学大学院修了。新潟大学大学院博士後期課程在籍。2級FP技能士。会計事務所で約10年、中小企業、不動産オーナーの節税コンサルティングや融資サポートなどに携わる。スタートアップのCFO、監査役などを経て、築古戸建ての不動産投資家として独立。不動産投資のコンサルオフィス「FP不動産投資よろず相談所(https://fprealestateoffice.jp/)」を運営している。不動産投資や税金をテーマとした執筆活動もおこなう。大学院にて所得税制を研究中。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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