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2022年度の固定資産税に注意!負担軽減は住宅地終了、商業地は2.5%上乗せで継続へ!

不動産の税金/税制改正 ニュース

2021/12/30 配信

六本木

住宅地・農地は課税標準額の5%加算が復活へ
商業地は2.5%で継続 物件の場所で税の扱い変わる

政府の2022年度税制改正大綱が12月、決定した。この中で注目したいのは、新型コロナウイルス禍で21年度に導入された固定資産税の軽減措置が住宅地と農地で終わり、商業地は上昇額を半分に抑える形で続く措置が盛り込まれたことだ。

22年度税制改正では住宅ローン減税も縮小され、全般的にみて、住まい関連の恩恵が減る。不動産投資家は自分の持つ物件の税負担が増さないか注意したい。

固定資産税は、土地や建物にかけられる税金だ。不動産投資家にとっては毎年支払う税金で、おなじみだろう。地方税で、市町村税収の4割を占める「基幹税」となっている。

固定資産税は、3年に1度見直される土地の評価額から算出する課税標準額から税額が決められる。

地価が上がった場合には、納税額が急激に増えるのを抑えるため、ルール上、前年度の課税標準額の5%分を上限に加算されることになっている。

ただ、21年度は、すべての土地について、地価が上昇しても、税額を据え置く措置をとった。

新型コロナ禍の影響によって、勤め先や経営する店の経済状況が苦しくなり、収入が減るなどした人が続出したからだ。これらの人たちの家計負担を減らすため、税額を据え置く措置がとられた。

22年度は、住宅地と農地については税額の据え置き措置をやめ、元の通り、前年度の課税標準額の5%分を上限に加算する仕組みに戻す。一方、商業地については、加算される上限を2.5%に半減する。

地価が上がった場合、持っている物件が住宅地にあるか商業地にあるかで、支払わなければならない固定資産税の額が変わってくるので注意したい。

コロナ禍で苦しいホテルや飲食店に配慮
自民は緩和廃止、公明は継続で対立、最後までもめる

商業地だけ軽減措置をやめるのは、ホテル、飲食店、商業施設などへの新型コロナの影響が、今も強く残っているとの考え方からだ。

実は、与党で税制改正大綱をまとめるのに向けた議論をするとき、軽減措置を継続するかどうかについては、意見が分かれた経緯がある。

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先ほど説明した通り、固定資産税は市町村税収の4割を占め、大きい。このため、軽減措置を続けることは市町村の財政にはダメージとなり、自民党の税制調査会はすべての軽減措置の延長に反対していた。総務省なども同じだった。

これに反対したのが公明党の税調と国土交通省だ。かりに軽減措置をやめた場合、商業地の約6割が増税になるとして、軽減措置を続けることを主張した。

結局、自民党と公明党の折衝は最後までもつれた。最終的に住宅地と農地に関しては、自民党の主張に沿う形で軽減措置をやめて元のルールに戻す一方、商業地は公明党の主張に近寄り、加算上限を半減させる形で決着した。

2022年度税制改正では住居の負担増ほかにも
住宅ローン減税は控除率を1%から0.7%に引き下げ

見てきたように、固定資産税に関しては、多くの不動産投資家が運営しているマンション、アパート、戸建てなどの「住宅」にとって、基本的に〝不利〟な決着となった。

22年度税制改正はこのほかにも、「住宅」に負担増となる施策が盛り込まれた。

その一つが住宅ローン減税だ。

不動産投資を目的として住宅ローンを組むことは許されないので、厳密には、投資家には関係がない減税といえる。

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ただ、住むために住宅ローンを組んで戸建てやマンションを購入したものの、転勤などのやむをえない状況で貸さざるをえなくなる人もいる。この場合も広い意味では賃貸経営になり、あながち無関係とも言えないので、住宅ローン減税について説明しておきたい。

21年末までとなっていた住宅ローン減税は、25年まで4年間の延長となった。

ただし、これまでの所得税などからの控除率は年末のローン残高の1%となっていたが、これを0.7%まで引き下げる。

控除率を引き下げることにした理由は、今の「低金利」にある。かりに1%を下回る金利で住宅ローンを組んだ場合、支払う利息よりも控除のほうが大きくなるため、不必要な住宅ローンの利用につながっているとの批判があった。

ただし、減税対象の期間は新築住宅の場合で10年から13年に延びる。

控除率が1%から0.7%に下がり、1年あたりの減税額は最大40万円から最大28万円に下がる。支払う税金が少なく、実際の減税額が40万円に満たない人は、期間が13年に延びる恩恵のほうが大きく、全体の減税額が大きいケースもある。

新型コロナの新型株「オミクロン株」の影響はまだ読み切れないものの、日本国内では新型コロナは落ち着きつつある。その結果、コロナ禍で行われていた税制の緩和や支援策が順次、終わっていく可能性がある。損をしないよう、不動産投資家はしっかり目を光らせていきたい。

取材・文:小田切隆(おだぎりたかし)

■ 主な経歴

経済ジャーナリスト。
長年、政府機関や中央省庁、民間企業など、幅広い分野で取材に携わる。

■ 主な執筆・連載

  • 「経済界」(株式会社経済界)
    「月刊経理ウーマン」(研修出版)
    「近代セールス」(近代セールス社)
    ニュースサイト「マネー現代」(講談社)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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