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木造・築古アパート再生の「目からウロコ」アイディア満載、モクチンレシピの使い方

賃貸経営/リノベ・修繕 ニュース

2018/02/26 配信

ここ1~2年、相続絡みの新築アパート増で競合が激増、苦戦している木造、築古アパートが目に付く。そんなマイナスの多い物件を安価に再生するノウハウを集めたサイトがある。モクチンレシピである。

これは連勇太朗氏が代表理事を務めるNPO法人モクチン企画が生み出したノウハウをまとめたウェブサイトで、2015年にはグッドデザイン賞を受賞している。

対象となっている建物は木造在来のいわゆる木造賃貸アパート(木賃)。そしてもうひとつは軽量鉄骨などのハウスメーカー造のアパート。もちろん、いずれも古くて競争力が無くなった物件である。

■単身者向け物件のレシピは汎用性あり

サイトではレシピと呼ばれる改修アイディアが50近く掲載されており、実際の改修に当たってはそのうちのいくつかを組み合わせて利用する。単身者向けのアパートは規格、間取り、寸法が似通っており、大体のノウハウは汎用性があるのだという。

たとえば、京王線西調布駅から歩いて8分、築40年以上の木造2階建てのアパートでは以下の写真にあるようなレシピを投入した。

部屋自体はどこにでもあるワンルームで過去にリフォーム業者が何度か改修を重ねている。だが、畳をフローリングにする程度ではとうてい入居希望者から選ばれるようにはならない。急行の止まらない駅でもあり、もっと印象的な改修が必要なのである。

レシピそれぞれは、さほどすごいものではない。たとえばKKNと表記されているのは「きっかけ長押」。一般的な長押を改良したもので、モノをかけたり、置いたりするスペースになる。たった一本設置するだけで印象を変え、使いやすくしてくれる優れモノである。

あるいはMDBは「まどボックス」。木造アパートでは床から40㎝ほどの高さに窓があることに着目、そこにベンチになり、収納にもなる造作家具を置くというもの。畳には置けないため、床をフローリングに変える必要はあるが、それだけで木造アパートと思えない雰囲気になるから不思議だ。

上からレシピ投入前、投入後、どのようなレシピを使ったかを表す写真。当初の段階まではたいてい、どこの管理会社、工務店でもできるが、プラスアルファの一味違うができない。それを補うのがモクチンレシピだ
上からレシピ投入前、投入後、どのようなレシピを使ったかを表す写真。当初の段階まではたいてい、どこの管理会社、工務店でもできるが、プラスアルファの一味違うができない。それを補うのがモクチンレシピだ

こうしたレシピを散りばめた結果、家賃5万円で1年間空いていた部屋が再生された。

連氏は当初、6万円でと提案したが、不動産会社からは「この地域で6万円の賃料を払えば、1.2倍広い、バス・トイレ別の新築が借りられる」と言われ、5万5000円で出すことにしたが、わずか1週間で決まったという。

しかも、借りた人はバイク乗りで、駐輪場がないため、別に借りてまで引っ越してきてくれたという。地域の相場プラスアルファを払ってでも住みたい部屋になったのである。

■外構に80万円かけて1階5室が満室に

従前のアパート。実によくある、特に個性のないアパートである
従前のアパート。実によくある、特に個性のないアパートである

内装だけでなく、外構に使えるレシピもある。川崎のアパートの事例では、部屋自体は南向きで明るいのに、公道に面しているため、部屋が丸見えというデメリットがあった。そのため、1階は5室全部が空いていたという。

相続対策のためにコンサルティングをしていく中で、測量費などを捻出する必要があることが分かり、また、満室の状態で相続したほうが相続税の評価減が受けられるため、改修をすることになったという。

投入したレシピはわずか2つ。ひとつは「ポツ窓ルーバー」で、これは居室の前に目隠しとして木格子を設置し、視線をコントロールするというもの。これによって互いの視線が気にならなくなるというものだ。

さらにそこに「縁側ベルト」なる、建物の前に一続きの長い縁側を設置。外に出ても楽しい空間を生んだ。

1階の外構を変えたことで5室全室が埋まった。室内を変えるより遥かに効率良い手だ
1階の外構を変えたことで5室全室が埋まった。室内を変えるより遥かに効率良い手だ

それ以外では1部屋だけ室内にも手を入れたが、主な改修は外のみ。そのわずか80万円ほどの改修で5室が満室になったというから、効率の良さは驚くほどだ。

■スイッチプレート類を変えるだけでも効果

こうした事例がいくつも出ているのだが、そのうちでも個人的になるほど!と思ったのは「チーム銀色」なるノウハウ。実に簡単な話で、室内にあるスイッチプレートやドアノブ、取っ手、ハンガーパイクなどのパーツ類を全部銀色に統一するというもの。それだけで部屋の雑然とした印象がなくなり、統一感が生まれるのである。

■万人向けを狙うのは無駄

需要と供給のバランスが崩れている今、大事なのは差別化だと連氏。そこで大事なのはターゲットを設定しない、世界観を作らないこと。建築家やデザイナーによるリノベーションはターゲットを明確にし、お金をかける。パッケージプランのリノベーションはある世界観を作るやり方だが、こちらも安くはない。

その上、ニーズが多様化する現在、設定したターゲットや世界観が当たるかどうかは分からない。そこに多額を投ずるよりも、既存を活かす、天井の高さを活かす、和室を活かすなど元々ある価値に少し手を入れて顕在化させるほうが効率的だというのである。

「これまでは万人向きにと考えてきた。でも、これからは10人いたら10人に受けるものではなく、10人のうち、2人、3人がすごくいいと思うものを作るべきです」。

■家賃1年分で大きな魅力を付加する

そのための予算としては家賃1年分くらい。無理なく出せ、変化が分かる改修ができる予算という設定である。ただし、水回りの改修を考えるとその額では済まない。やはり、家賃2年分~が必要になるが、その辺りは発想の問題だという。

「3点ユニットだからダメというわけでないのです。居室に魅力を付加できれば水回りはそのままで良いというケースもあり、部屋がダメなら水回りを良くすることもあります。洗濯機置き場が廊下にあるのも、だからダメなのではなく、置き方、置くスペースを再考、ネガティブな感情を持たれないように改修すれば良いのです」。

賃貸の場合、どこか1点、非常に気に行った部分を作ればそれが七難を隠すことがある。一点豪華主義とでも言うべきか、住宅を購入する人とは異なる行動がある。それを考えると、まんべんなく、万人受けを狙い、気になるところ全てに手を入れようと思うより、どこか、強力に心を掴む場を作る。そのほうが選ばれるということだろう。

レシピの利用法だが、アイディア自体は無料で見られるが、会員登録をすれば仕様書をダウンロードするなど、掲載されている情報を全て活用できるようになる。会費は月額1980円(税別)。サイトにある情報以外に不定期のメルマガ購読、内覧会参加などの特典もある。

また、モクチン企画と連携しながら、そのノウハウを日々実践する「パートナーズ」と呼ばれる管理会社等に依頼することも可能だ。

健美家編集部(協力:中川寛子)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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