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投資歴30年の大家が語る「区分所有の買い方・持ち方・売り方」【前編】

収益物件購入・売却/物件選び ニュース

2018/03/01 配信

東京都内在住で、大手企業に勤めながら不動産投資歴がおよそ30年という、小林孝雄氏(仮名/55歳)。これまでに、一棟アパート、一棟マンション、貸しビルや区分を売買していて、いまでは3サイクル目(1サイクル=約10年)に入るほどだという。

「学生時代の起業で得た利益を元手に、20代半ばで新宿区に1棟RCの中古マンションを買ったのがきっかけです。不動産の知識はなかったものの都心という立地の良さが功を奏しました。ここはマンションといっても住居用ではなくオフィス向けの貸しビルで、スモール~ミドルビジネスのオーナーによく借りていただきました」

当初はキャピタルゲイン狙いで、短期的に売り買いを繰り返すことも多かったとか。しかしながら「安定した生活が一番」という理由で会社員になった小林氏が、仕事と並行して仕入れと売却を定期的に行うには無理があり、次第に賃貸収入を目的に、ミドルリスク・ミドルリターンの手法にシフトしていった。

「そのころから、将来的に日本では税金が上がり、少子高齢化の進展で社会保障費の負担も増えていくだろうと考えていました。キャピタル狙いで頻繁に売買をすると税負担が大変ですし、それよりは長期的に保有し、安定的に家賃収入を得る方が有利でラクだと思ったわけです」

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不動産投資歴30年の小林氏。東京23区内にこだわり、物件を売買してきた。安定的に家賃収入を得続けるのが目的だ。

狙うのは23区内でも9区に絞り
価格競争に陥らない物件

小林氏が物件を買うのは東京23区内。かつ、千代田区、港区、中央区、文京区、新宿区、渋谷区、目黒区、品川区、大田区といった9区に集中していて、現在はこれらエリアを中心に一棟アパートやマンション、貸しビル、区分で合計10以上の建物・物件を所有。総資産は約6~7億円、年間家賃収入は数千万円という規模だ。

「基本的にはニーズが高く資産価値が担保できるエリアだということ。ただし、価格や環境の面から、都心になればなるほど区分マンション、貸しビルもしくは一棟マンションになり、郊外にならば一棟アパートも検討します」

そもそも、都心3区でアパート需要はほぼない。狙うのはおのずとマンションになるが、一棟だと高すぎるので区分マンション、大田区、品川区や目黒区だとマンション需要があると同時に、地域によってはアパート需要もあるので、それも考えるといった具合だ。

「都心マンションは家賃が高くても、仮に新橋近辺なら近くに勤める大手企業のサラリーマンが借りてくれるなど安定したニーズがあり、高所得なので延滞リスクも避けられます。

他方、例えば学生が多いエリアは『賃貸ニーズがある』と考えて参入するライバルが多く価格競争になるばかりか、学生は4年たてば引っ越す可能性もあり、私にとってはリスキーだということです。

また近年は開発が進む江戸川区、足立区や葛飾区は新規参入者が増えそうで、意外と賃料が取れない地域ですので、そういった理由から投資対象としては避けています。さらに細かいことを言うと、近年の都心はゲリラ豪雨が増えていますから、高台など災害リスクを避けられる立地ということも気にしています」

区分購入は実質利回り5%以上が条件
利回り低下が著しい物件は10年以内に買い替え

都心では新築・中古区分マンションも定期的に売買しているという小林さん。購入の際に条件や自身なりのメソッドはあるのだろうか。

「エリアは先ほど申し上げた通りで、都心9区がメイン。まず試算するのは、新築であれ中古であれ“表面利回り”ではなく“実質利回り”です。修繕積立金や管理費、管理委託費、固定資産税といったコストも考慮し、実質利回りが5%以上にならないと手を出しません。

また中古区分は築10年を過ぎると安く購入できますが、賃料低下、管理費・修繕積立金・管理委託費の値上りで実質利回りが意外と悪いケースが多く、過去の経緯が分からない状況で修繕費用もかかり始めて(築20年までに必ず給湯器、レンジ、エアコン[数回分]等の修繕費50万円前後が発生)、さらに賃料を下げなければ客付けも大変な状況となっていきます。

売却しようとする10年後には築年数がさらに経過し苦労するのであまり買わないようにしています。あるいは、利回りの低下が著しい物件は買ってから10年以内に買い替えを検討します」

よって、中古マンションであれば、過去の修繕の実施状況、修繕積立金の引き上げ回数や今後の方針、管理組合の収支報告書にも目を通し、物件の管理やファイナンスが良好かどうかを確かめる。

「例えば、今後も修繕積立金の引き上げを予定しているなら実質利回りの低下を招くので買わないといった選択もできます。あるいは、ガラス部分や装飾など、マンション資材にも注目して、特注品や珍しいものだと修理や交換に費用がかかり、これも収益性を圧迫するので、あくまでもオーソドックスな物件を選ぶなど、建物の端々に目を向けることで、いろんなことがわかってきます」

ただし、この点は管理組合によって開示・非開示の姿勢が異なるので、誰もがチェックできるわけではない。小林氏の場合、これまでいくつも区分を持ち、管理組合にも積極的に携わった結果、多くの管理組合とツテがあることが大きいという。

「区分を所有する投資家は複数の物件を持っていて、それぞれのマンションの管理組合に参加しているケースがあります。私の場合、そういった方たちとコミュニティを作っていて、情報交換や開示について教えてもらいやすい立場にあります。

こればかりは経験がなせるワザということで(笑)。ただし、これから区分を持つ、すでに持っている方も積極的に関わり、私と同じように輪を広げていくことで必ず有益な情報が得られますから、これはお勧めです」

マンションの“戸数”にも注目
狙い目は50~60戸の区分マンション

小林氏は、マンションの規模にも注目して区分を購入している。狙い目は「50~60戸」だ。

「総戸数が40未満のマンションは、将来的に管理費や修繕積立金の増額が避けられません。

戸数が少ないので、一世帯に対するコスト負担が重くなるからです。なら、戸数は多い方が均等割りで負担を抑えられることになりますが、逆に100戸以上のマンションだと住民の意見がまとまりにくく、判断の迅速性に欠け、仮に規約の改正などに75%以上の議決権を回収するのは大変です。その点で、50~60戸の規模なら運営がしやすく、ほどほどのコスト負担ですみます」

なお、新築マンションで修繕管理費が同規模の物件よりも高い場合、これを材料に値引きに応じる可能性も少なからずあるという。

「新築の値引きは基本的に難しく、これも多少は付き合いが関係しますが…。営業の方は、マンション管理について知識はあっても経験がない方が多く、マンション管理に関する問題点を指摘することで値引きに結びつけることもあります。

また近年のマンションは販売価格を抑える代わりに修繕積立金や管理費を多めに設定することが、ままあります。工事や管理はグループ会社が手掛けるので、長期的に収益を得ようという考えです。

いまは価格の高騰が目立つので、余計にそうして集客を図っていると思います。販売側はランニングコストで儲けられますから、こういった事情を知っていて、かつ指摘することで、竣工後の物件で売れ残りがあるなど、ケースに応じては値引きをしてくれることもあります」

【後編】(3月4日掲載)に続く

健美家編集部(協力:大正谷成晴)

■取材協力 小林孝雄氏(仮名)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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