2008年3月30日に開業した新交通日暮里・舎人ライナー。足立区西部の公共交通空白地帯を埋める路線として誕生したもので、誕生当初は尾久橋通りを走る都バス路線の代替扱い。それほどの発展は期待されておらず、東京都の当初の1日乗客数予測は5万1000人だった。
ところが、開業から6年後の2014年度には1日の平均利用者数は7万人を突破するといういう当初予測以上の伸び。特に平日朝の通勤時間帯には乗客が集中、2015年度の朝の通勤時間帯の混雑率(赤土小学校前→西日暮里)は京浜東北線、東海道線並みの183%となっているほどだ。この乗客増に対応し、2017年5月10日には新型車両320形が投入され、混雑緩和が図られることに。
人口の流入に伴い住宅も増えているが、元々それほど大きく開発されてこなかった地域でもあり、新築物件が多いのが特徴。たとえば、マンション購入情報サイト「住まいサーフィン」で同路線を見ると、2006年以降で新築マンションは38物件供給されており、2017年4月以降に入居が可能にんる新築物件も10件ほど。新築建売一戸建て、賃貸住宅も増えている。
以下、どんな沿線か見て行こう。始発は線名の通り、JR山手線・京浜東北線・常磐快速線と京成線が走る日暮里駅。すぐに尾久橋通りの上に出て、そのまま直線で10キロ。終着駅は足立区舎人の見沼代親水公園だ。ここは埼玉県との境界に近く、見沼代親水公園駅前のロータリーからは埼玉県草加市、川口市のコミュニティバスが利用できる。
●ワンルーム投資なら日暮里駅、西日暮里駅
物件、街の様子から考えると日暮里駅とお隣、西日暮里駅は駅周辺、通り沿いを中心にビルが多く、どちらかといえば、単身、カップル向けのマンションが多いエリア。利便性が高い割にはあまり知られていないところであり、価格的にも手頃なため、比較的コンスタントに新築マンションの供給がある。投資先としてはワンルームであろうか。
西日暮里駅はJRの山手線、京浜東北線の他、東京メトロ千代田線が利用でき、足回りの利便性は高いが、駅周辺に商店街らしいものがなく、生活の利便性は今ひとつ。その辺りからあまり女性には受けないかもしれない。
●熊野前までは空き家も多数
そこから赤土小学校、熊野前までは荒川区。尾久橋通りから一本裏通りにはっぴーもーる熊野前、おぐぎんざ商店街などが延々続いており、カップル、ファミリーには住みやすいエリア。熊野前からは都電荒川線も利用できる。また、熊野前には首都大学東京の荒川キャンパスもある。空き店舗、空き家が目立つエリアでもあり、そうした物件を活用する手も考えられる。
熊野前の隣、足立小台からは駅名通り、足立区に。足立小台は墨田区と荒川区に挟まれた細長いエリアで大型店、マンションが並ぶ地域だが、それほど物件はなく、投資を考えるなら、隣駅の扇大橋駅以遠だろう。
●アパート建設で考えるなら江北、西新井大師西駅周辺
扇大橋以遠は商店街ではなく、大型商業施設中心の地域となり、それが集積しているのが江北駅、西新井大師西駅両駅周辺。買い物の便利を考えると、この2駅周辺がカップル、ファミリー向けのアパート建設には向きそうだ。
特に江北には東京女子医大東医療センター移転の計画があり、これができると地域の人気も高まりそう。当初の報道では2021年度の開院を目指すとあったが、それに対し、現在立地している荒川区の反対もあり、多少遅れる可能性もあるが、長い目で見れば発展する土地と思って良いだろう。
●谷在家以遠は将来に期待
大型店があるのは西新井大師西駅辺りまで。それ以遠はコンビニエンスストア、ドラッグストアなどはあるものの、まとめて買い物をできる場所は少なくなっており、開発はまだまだという印象がある。ただ、その分、土地価格などは安いはずなので、将来を見越してこのエリアを狙うという考え方もある。
実際、尾久橋通り沿いではスーパー、クリニックモールの建設などが進んでおり、年々姿が変わっていると地元の人の声もある。沿線には尾久の原公園、荒川江北橋緑地、舎人公園などの公園もあり、残るは商業施設。このままのテンポで開発が進めば、あと数年後が楽しみだ。
健美家編集部(協力:中川寛子)