マイナス金利の導入によって日銀は、金融機関に企業への積極的な融資を促した。
ただ、企業サイドとしては、過去のバブル期の反省のもとで財務体質の健全性を第一に考えたため、日銀の当初の目論見とは違い企業の資金需要は盛り上がらず、貸出先の発掘に窮した金融機関は不動産市場に向かっていった。
特にマイナス金利のあおりを大きく食った地域金融機関ほど不動産向け融資に傾倒する。
三井住友トラスト基礎研究所は6月、「都心の不動産売買を支える地域金融機関マネー」と題したリポートを発表した。不動産の売買記事をもとに分析したものだ。
それによると、売買市場で地方銀行や信用金庫の融資件数が増加しているといい、企業が不動産を取得する場合のデットファイナンスの担い手(レンダー)として存在感を強めていると指摘する。
東京都内の不動産売買の場合、東京都以外に本店を構える地域金融機関が貸し手となった事例が多いのが特徴だ。
レンダー企業の件数は2013年に急増し、ここ数年を見ると、年間200件を超えている。都市銀行などが年間90件前後にとどまる一方で、2015年を境に地域金融機関の件数が都市銀行などを大きく上回る状況という。
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