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意外と知られていない保険料の地域格差 “地震保険金は渋い“ことを踏まえた上で重要なこと

賃貸経営/保険 ニュース

2023/05/31 配信

「火災保険・地震保険料に地域格差があり、期間ごとに変動もすることを大家の会で話すと大抵の場合驚かれます」。こう話すのは、全国規模で展開する大家の会・Japan Landlord TEAM(ジャパンランドロードチーム:以下、J L T)に所属すると同時に福井大家塾・副塾長を務める藤田清彦氏だ。有限会社アトラスで保険代理店を手掛けるほか、自らも不動産オーナーとして活躍している。

地震保険の基準料率は太平洋側が他の地域と比べて割高に設定されている傾向がある。例えば2022年10月時点で、賃貸の人気エリアである北海道の木造物件の場合は1000万円あたり1万1200円なのに対し、東京、神奈川、埼玉、千葉の場合は4万1100円。比較すると3万円もの差がある。

一般的な木造住宅の地震保険基準料率におけるリスク区分は3段階で設定されており、日本海側に面する地域は最もリスクの低い“1等地”とされるのに対し、太平洋側に面する地域は主に津波のリスクまで考慮された2等地、3等地とされている。つまり、3万円もの差の理由は北海道は“1等地”、一都三県は“3等地”とされているためだ。

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地震保険基準料率における建物所在地による区分

地震保険料だけではなく、火災保険料にも地域格差がある。「例えば地震保険ではリスクが低いとされた日本海側は雪の被害に遭いやすく、九州地方の場合は他のエリアよりも台風被害が多いため、火災保険料に連動しています」と藤田氏は解説する。

トラブルが発生するごとに保険金を請求しても個人の火災保険料・地震保険料が上がることはないが、自然災害や大口事故の発生により損害保険会社の収支に影響があると、全体の保険料が変動する。

そのため、保険料はエリアごと、年によって上がったり下がったりする。例えば耐火構造の場合、2022年10月から改訂された地震保険料は、福島県、徳島県、高知県、茨城県、埼玉県で値上がりし、それ以外では値下げか据え置きとなった。

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年間保険料の例と増減

地震保険の付帯判断は入居者を守れるかを基準にすること

地震保険は単体では申し込むことはできず、火災保険とセットで付帯して契約する。火災保険のみでは補償されない地震・噴火・津波を原因とする火災・損壊・埋没・流出による損害を補償してくれる。

火災保険も地震保険も割高な地域で両方を契約すれば手元資金があまり残らなくなってしまうオーナーも出てくるだろう。藤田氏も、地震保険に関してはあくまでオーナーの判断で付帯するかどうかを決めるよう推奨している。

なぜ地震保険の加入は検討の余地があるのか。

「火災保険の場合は新たに新築する際にかかる想定金額の全額を支給してもらう契約が可能ですが、地震保険は時価額の50%まで、と非常に渋いのです」と藤田氏は事情を話す。

例えば、土地が5000万円、建物が5000万円で、合計1億円の物件を購入し、全損により5000万円が支給される火災保険に加入したとする。だが、地震保険でかけられる金額は契約している火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内。つまり、火災保険で5000万円の保険金をかけている場合、地震が原因で起こった火災で全損しても支給額は1500万~2500万円しか支給されないということだ。

せっかく高い金額をかけて火災保険に加入しても、地震が原因の全損の場合は最大50%しか補償されない。

そこで地震保険を付帯しないと決めた場合、

◆仮に建物が全損しても修繕が可能な資金力を常に持つ

◆地震でも倒壊しない建物を建築する

◆地震が発生した際のクラックなどの損壊は無視せず修理すること

上記を徹底するなら入居者を守ることができる上、信頼されるオーナーになることで結果的には投資効率も良くなるということだ。

不動産オーナーが経年劣化した設備を放置し修繕費用を出し渋ったために死亡事故が発生したという悲しい事件は現在も後を絶たない。「地震保険に入っていない」という理由で、地震発生後のわずかな損壊を放置すれば不動産オーナー人生を棒に振る可能性もあるのだ。

有限会社アトラス・藤田清彦社長
取材協力/有限会社アトラス・藤田清彦社長

「大家の会のメンバー間で意識を合わせていることですが、オーナーが一番大切にしなければいけないのは、目先の利益や損得ではなく、入居者の生活を守ることなのです。そこを忘れないことを前提にした上で、地震保険の付帯を検討するよう声を掛け合っています」(藤田氏)。

取材・文:土田絵理(つちだえり)

土田絵理

■ 主な経歴

取材記者、クリエイター、アーティストなど様々な肩書きを持つ。
アメリカ・ニューヨークでの広告営業経験をきっかけにライター業を開始。投資家向け(IR)資料作成業務や不動産専門の新聞社でのデスク経験等を経てフリーの取材記者へ転身。不動産業界の取材数が多く、業界に太いパイプを持つ。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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